JAの活動:2025国際協同組合年 持続可能な社会を目指して 協同組合が地球を救う「どうする?この国の進路」
【2025新春トップ座談会】営農畑出身全国機関会長の思い JA全農折原会長・家の光協会栗原会長・大金義昭氏(4)2025年1月9日
今年は巳(み)年。巳年生まれの人は、知恵深く粘り強い性格を持つと言われる。JA全国機関の会長で、奇しくもJAの営農指導員出身であり「年男」でもあるJA全農経営管理委員会会長の折原敬一氏と(一社)家の光協会会長の栗原隆政氏に、今後の農に思うことを体験を交えて語ってもらった。司会は文芸アナリストの大金義昭氏。
所得増大前面に 農の反転攻勢へ
大金 JA全農は2000年代に入ってからTAC(TeamforAgriculturalCoordination)に本格的に取り組みます。ここにJA全中会長で同じく営農畑出身の山野徹さんがおられたら、JAそお鹿児島が始めたTAF(TotalAdviserふれあい)の話などもお聞きしたかった。
折原 TACは地域農業の担い手に出向く担当者の愛称で、全国に約3000人のメンバーがいます。昨年11月には「TAC・出向く活動パワーアップ大会2024」を開きました。表彰制度も設け、全国展開しています。
もともと営農指導員は現場に出向き、組合員の多様な相談事に対応してきました。資材を推進するだけでなく、その資材を扱うことで農産物の販売や農家所得の増大にどう結びつくのか、役立つのかという事業展開を考えることが大事です。特に大規模経営体には、様々な提案・提言をJAグループから発信することが必要です。ともすれば、全国連は縦割りになりがちですが、横串を通して、相手の課題を解決する提案・提言をおこなう。その点で、混迷する時代に営農指導員の役割は大変に大きいと思っています。
栗原 TACのような取り組みも、昔は営農指導員がやってたんでしょうが、営農指導員の仕事は多岐にわたるし、技術も年々進化しているから、専門の制度が活発に稼働し、脚光を浴びるのは結構ですね。肥料も農薬も大規模経営体ほど系統利用率が落ちていますから、そのニーズにどう応えるか。経営指導ができたら一番いいし、困ったことがあった時は解決策を提案するなど、JAは信頼いただける相談相手になりたい。
自然災害が頻発し、世界情勢が混迷を深める困難な時代だからこそ、協同活動に結集したい。そのためにJA役員はもちろんですが、現場で農家と直接向き合っている営農指導員には大きな期待をしたい。
いい成績をあげている生産組織は「自助」が徹底している。自分たちでできることは自分たちでやり、できないことは「共助」のJAに言ってくる。そのすみ分けがきちんとしている。
折原 同感です。協同組合の原理・原則は大切です! 生産現場を預かるJAグループとして、悩ましい問題が毎年続発しています。この難局にどう打ち克つか。気候変動対策などはJAグループだけで解決できる問題ではないので、「公助」の国や自治体も含め、環境変化にも耐えられるような品種改良や技術革新もしていかなければなりません。
2025(令和7)年は「国際協同組合年」ですから、「食と農」を基軸に、みんなで力を合わせ、明るく笑顔で過ごせる1年にしたいですね。1953(昭和28)年生まれの二人は「年男」なので、互いに研鑽しながら頑張らねば。(笑)
栗原 「みどりの食料システム戦略」や「6次産業化」なども農業や地域の振興には欠かせない。「食料安全保障」という観点からは、自給率や自給力を高め、国内生産を積極的に拡大する必要がある。いずれにせよ、国や自治体にも「環境」と「生産」の両面から力強い政策を展開してもらい、協同組合としてのJAグループに何ができるか。先ずは組合員の結集力が問われています。その現場を一身に担って奔走する営農指導員を始めとする役職員の皆さんと共に、時代の大きな「反転」の出発点にするために頑張りたい。折原さんが言われたように、二人は「年男」ですから。(笑)
大金 歳を忘れ(笑)、なんか元気が出てきました!
司会・進行 文芸アナリスト 大金義昭氏
【座談会を終えて】
東西の地域を隔て、協同組合に一身を投じてきたご両人の「阿吽(あうん)の呼吸」が部屋に満ち、差し込む外光と相まって新春にふさわしい会談になった。筆者には後ろ髪がないが、さらに話を聞いていたいような明るい気分で退出した。農協の営農指導員として積み上げてきた現場の豊富な体験が魅力的な語らいを裏打ちしている。いただいた元気で新年も頑張ろう!と思った。その元気が愛読者の皆さんにも伝わればうれしい。超多忙な折から時間を割いてくださったご両人に心から感謝したい。(大金)
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日
-
キウイブラザーズ新CM「ラクに栄養アゲリシャス」篇公開 ゼスプリ2025年4月30日
-
インドの綿農家と子どもたちを支援「PEACE BY PEACE COTTON PROJECT」に協賛 日本生協連2025年4月30日
-
「日本の米育ち 平田牧場 三元豚」料理家とのコラボレシピを発表 生活クラブ2025年4月30日
-
「子実トウモロコシ生産・利活用の手引き(都府県向け)第2版」公開 農研機構2025年4月30日