企業主導の農政改革 新浪氏がまた提案2014年5月9日
4月24日開かれた政府の産業競争力会議農業分科会では、新浪剛史主査(ローソン取締役会長)が今後の農政改革に関する新たな提案を行った。米の生産調整廃止の着実な実行や、企業の農業参入を促すために農業生産法人への企業の出資制限緩和などを求めている。
◆6次化ファンドの出資要件緩和求める
提案では「農業の産業化」を強化・加速化していくことが重要と強調している。
そのための基本方向として1次産業だけではなく、2次、3次産業のリーダシップによるプロジェクトを支援することや、食品加工メーカーなどの活躍の場を拡大する必要があると提案している。 また、生産現場では▽創設された農地中間管理機構による農地の集約化・農業経営の効率性の向上、▽米の生産調整廃止等による作物選択自由の確保など、当面の農政改革の着実な実行を求めたほか、企業の農業参入を拡大するため、農業生産法人への出資制限の改革や役員の農業従事者要件の緩和なども行うべきだとしている。
具体的な検討課題として農林漁業成長産業化支援機構(A-FIVE)の機能見直しを挙げている。現在は、6次産業化事業体は現場の農林漁業者が主体となりパートナー企業と連携して設立することになっており、ここにA-FIVEが出資する。これについて新浪氏は農林漁業者の出資がパートナー企業の出資を上回らなければならないとする制度を改め、次期国会で法律改正をして企業側の出資について自由にすべきと主張している。
6次産業化ファンドについては、あくまで農林漁業者が主導する目的で出資要件が定められた経緯がある。さらに新浪氏は、食品加工メーカーなどから6次産業化関連事業への投資を促進するため、規制改革や制度整備も必要だとしている。
◆企業主導の農政改革案
そのほか、生産現場の改革では、新規就農希望者を排除しない農地集積を実現させるため、現在、各地で策定が進められている「人・農地プラン」のゼロベース見直しを提案。米政策では米の現物市場の創設も求めた。また、農協の対しては▽農協と農業法人との公正な競争環境の速やかな実現、▽単協直販・契約販売の拡大、農協間・農協と商系の間の公正な競争の確保などを求めている。
輸出拡大のための「オールジャパン輸出体制」構築や畜産酪農の大規模化、国際競争力の強化なども提案しているが、全体として企業主導で農政改革を進める考えが強い。また、今後は農地の集約化や大規模などを進めていくにあたって「企業の農地所有を一気に認めることは時期尚早であるにしても」、新しい農地改革を行っていくべきと提案している。
農水省はこれらの提案を産業競争力会議からの提案として、現状と農政改革方向をふまえて検討する。
(関連記事)
・協同組合は弱者切捨ての競争を否定する(2014.03.24)
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・米政策で研究会 「政策決定に現場の声を」(2014.03.11)
・農業委員会に中立性求める 規制改革会議(2014.02.04)
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