米生産費は1.9倍 差額が大きい農機具費 日韓の生産資材を比較 生産資材削減で 自民PT2016年2月25日
自民党は2月24日、農林水産業骨太方針策定PT(プロジェクトチーム、委員長=小泉進次郎農林部会長)を開き、日本と韓国の米の生産費と生産資材の価格について検討した。米の生産費では日韓で2倍近い差があり、特に農業機械は、単品の価格差はほとんどないものの、生産費に占める割合には大きな開きのあることが分かった。
このPTは、TPP大筋合意に伴う中長期の農業政策を検討するチームで、今回は、コスト低減のために必要な農業機械や肥料、農薬、飼料など、生産資材に係る課題を中心に検討した。
この中で、農水省が日韓の米の生産コストを明らかにした。それによると60kg当たり生産費が韓国の8571円に対して日本(全農家平均)は1万5229円と、約2倍のコストがかかっている。
農水省の説明によると、韓国では作業受委託が進んでいるため、農家個人が農業機械を所有しないことに加え、肥料・農薬などの物材費が安くなっているためだという。
作業受託割合をみると、耕起、田植え、収穫の作業で、韓国の63%、66%、84%に対し、日本はそれぞれ8%、8%、16%にとどまる。また1経営体当たりのトラクターの保有台数は韓国の0.6台に対して、日本は1.2台となっている。
資材のなかで農機具費に次いで大きいのが肥料費だが、10a当たり韓国の4424円に対し、日本は9500円と2倍以上かかっている。その背景として、主要肥料メーカーの生産能力の差がある。韓国の大手は日本の主要メーカーに比べ4、5倍多く生産している。一方、銘柄数は少なく、日本のメーカーの4~10分の1しかない。
また農業資材の価格引き下げでは、メーカー間の機種の比較や相見積りを採用しているJAが6割に達する。飼料では、メーカーとの交渉で配合割合を変えて価格引き下げするケースも増えている。
PTの委員からは、作業受委託が「韓国でできて、なぜ日本でできないのか」「農家アンケートによると、JA系統の資材が高い傾向にあるが、もっと幅を広げたデータが必要だ」「営農類型別の生産コストを知りたい」などの意見があった。
なお、次回は農業ハウス、種子、米の流通、製粉、製糖、食肉、乳牛などについて検討する。
(関連記事)
・現場ニーズふまえ資材を開発・供給-自民PTでメーカーが報告 (16.02.19)
・農機価格、為替変動や農業特性など強調-自民部会で (16.02.17)
・企業の農地取得「選択肢増やすのが政治の役割」-小泉氏が容認論(16.02.17)
重要な記事
最新の記事
-
「大手米卸が500%増益」 小泉農水大臣発言はミスリード 取引関係者が指摘2025年6月9日
-
【稲作農家の声】大規模化一辺倒は周回遅れ 米自給は国防そのもの 藤松泰通さん(静岡)2025年6月9日
-
【稲作農家の声】米価は流通業者が決めるものじゃない 生産者・消費者の相互理解こそ 石塚三津夫さん(新潟)2025年6月9日
-
「JAいわてグループ農業機械フェア2025」6月20、21日に江刺で開催 JA全農いわて2025年6月9日
-
令和7年度「第2回農業体験研修」で田植え作業実施 JA全農あきた2025年6月9日
-
6月5日「環境の日」3-Rインスタグラムでプレゼントキャンペーン JA全農ひろしま2025年6月9日
-
【動き始めたバイオスティミュラント】(1)アクプランタ社長の金鍾明氏に聞く 科学的に作用を説明できる資材こそBSに2025年6月9日
-
【動き始めたバイオスティミュラント】(2)アクプランタ社長の金鍾明氏に聞く 科学的に作用を説明できる資材こそBSに2025年6月9日
-
JA全農みえサービス明和合同イベント「雨季雨季(ウキウキ)感謝祭」を開催2025年6月9日
-
農水省 野菜のコスト指標 複数の産地別に作成検討 野菜WG2025年6月9日
-
【人事異動】農水省(6月9日付)2025年6月9日
-
農水省「BUZZ MAFF」米の情報発信について小泉進次郎新大臣に相談2025年6月9日
-
JA全農主催「WCBF少年野球教室」岩手県盛岡市で14日に開催2025年6月9日
-
有機農業・環境保全型農業の優れた取組「令和7年度未来につながる持続可能な農業推進コンクール」募集開始 農水省2025年6月9日
-
給付還元安定財源 基準上回る186億円確保 JA全国共済会2025年6月9日
-
令和7年産の栃木県産イチゴ販売額 過去最高額を更新 "31年連続"日本一へ JA全農とちぎ2025年6月9日
-
年に一度のパンの祭典「世田谷パン祭り2025」11月1日、2日開催2025年6月9日
-
朝採れトウモロコシなど地元農産物が集合「神奈川 地産地消マルシェ」開催2025年6月9日
-
「ファームコネクト」と三井住友海上が業務提携 農家向け相続対策・資産形成サービス提供2025年6月9日
-
「スマート農業イノベーション推進会議設立総会」開催 農研機構×農水省2025年6月9日