カロリーベース食料自給率38%-29年度2018年8月9日
農林水産省は8月8日、平成29年度の食料自給率を公表した。カロリーベースの食料自給率は2年連続で38%となった。生産額ベースの自給率は2ポイント下がって65%となった。食料・農業・農村基本計画では平成37年度にカロリーベース自給率を45%に引き上げることを目標としているが、計画決定時の39%よりさらに1ポイント下がった状況が続いている。
29年度の1人1日当たり供給カロリーは2444kcalで、このうち国産供給カロリーは924kcalだった。この結果、カロリーベース自給率は38%となった。
29年度は前年に天候不順で生産量が減少した小麦の単収が16%、てん菜の単収が25%増加したことでカロリーベース自給率を0.6ポイント上げる要因となった。しかし、食料消費全体に占める米の割合が減少したことで自給率を0.2ポイント引き下げ、また、生乳生産量の減少(▲0.7%)、鶏卵輸入量の増加(+20%)など畜産物で0.2ポイント引き下げる要因となった。
その結果、昨年の37.65%にくらべてわずか0.13ポイント上昇したものの、37.78%となり、前年に続き38%となった。
一方、生産額ベースの自給率では、米の単価が16.2%上昇して0.5ポイント上げる要因となったものの、野菜は国産単価の減少(▲8.3%)と輸入量の増加(+7.8%)、果実は生産量減(▲4.3%)と国産単価の低下(▲5.7%)、畜産物は牛肉単価の低下(▲7.5%)と鶏肉の輸入額増(+29.7%)などが引き下げ要因となった。また魚介類も輸入額が増加(プラス12.9%)して0.6%の引き下げ要因となった。輸入額の増加には円安(1ドル108円→111円)も影響した。
その結果、28年度の67%から65%に下がった。基本計画では平成37年度に73%とすることを目標にしている。
農水省は今回から飼料自給率を反映しない食料自給率も参考値として公表することにした。29年度の飼料自給率は26%。トウモロコシ、大麦など飼料の7割以上を米国をはじめとする海外から輸入している。カロリーベース自給率は輸入飼料を反映させるため、畜産物は16%にとどまる。
これに対して飼料自給率を反映しないと畜産物の自給率は62%となり、総合食料自給率も38%ではなく46%となる。
このような参考値を示す理由について、農水省は▽国内で畜産物が相当量生産されているにも関わらず、そのことが食料自給率上みえない、▽高品質な畜産物の生産に取り組む畜産生産者の生産努力が反映されない、といった問題をあげている。
また、水田フル活用のもと、飼料用米の生産拡大に取り組み、29年産では約50万tとなっている。飼料用米は輸入飼料に代わるものとして飼料自給率の向上を通じた食料自給率に反映される。
一方で飼料用米は不測の事態が生じたときに主食用に回して食料の安定供給を図る面もある。今回、農水省は国内で生産される飼料用米と同じ量の輸入が減少し、それを飼料用で補った場合の総合食料自給率を参考値として示した。それによると39%となり、平時にくらべ1ポイント上昇した。
重要な記事
最新の記事
-
【注意報】シロイチモジヨトウ 全道で多発に注意 北海道2025年8月25日
-
【JAの安心・安全な24年産米調査】25年産主食用 作付増加傾向(1)2025年8月25日
-
【JAの安心・安全な24年産米調査】25年産 飼料用米の作付け減少(2)2025年8月25日
-
【JAの安心・安全な24年産米調査】24年産で高温耐性品種の割合増える(3)2025年8月25日
-
水稲用除草剤「ノックアウト楽粒」の効果・作業性は? 2年連続導入の生産者に聞いた 北興化学工業2025年8月25日
-
【人事異動】JA全中(9月1日付)2025年8月25日
-
ひとめぼれの概算金2万8000円 「3000円台で安定供給」 全農いわて2025年8月25日
-
観光地の熱海再生に学ぶ 新たな事業創造の実践【JA全中教育部・ミライ共創プロジェクト】2025年8月25日
-
耕畜連携・資源循環ブランド「3‐R」6周年フェア 広島のみのりカフェで開催 JA全農2025年8月25日
-
特大野菜と岡山県産豚の"晴ればれバーガー"を期間限定販売 JA晴れの国岡山2025年8月25日
-
県のオリジナル新品種「桃太郎トマトシルク」をPR 天満屋ストアでイベント開催 JA晴れの国岡山2025年8月25日
-
【農と杜の独り言】第3回 コンテストが園芸博の特色 千葉大学客員教授・賀来宏和氏2025年8月25日
-
秋元真夏の「ゆるふわたいむ」山梨県で大玉で濃厚な甘みの すもも「皇寿」を収穫 JAタウン2025年8月25日
-
【推しの子】コラボの福島県産もも 好評で追加注文受付開始 JAタウン2025年8月25日
-
北海道産牛乳・チーズを買って当てよう「Choose!&Cheese!キャンペーン」ホクレン2025年8月25日
-
ジャガイモシストセンチュウ類 新たな土壌検査法を開発・検査サービス開始 農研機構2025年8月25日
-
日本の農業技術をインドへ エムスクエア・ラボと共同事業開発契約を締結 誠和2025年8月25日
-
世界初スイッチ型分解ペーパーポット 持続可能な農業資材を開発 ニッテン2025年8月25日
-
化学工学会の粒子・流体プロセス部会主催国際シンポジウム「MMPE2025」に協賛 丸山製作所2025年8月25日
-
LED植物工場で「甘くて栄養価の高いミニトマト」安定生産に成功 東京大学2025年8月25日