農家の所得どう上げる? 輸出効果検証を-自民党部会2018年12月5日
自民党の農産物輸出促進対策委員会は12月4日、福田達夫衆議院議員を新委員長に初の会合を開いた。2019年に農林水産物輸出1兆円を政府は目標に掲げているが、福田氏は「あくまで売上げ高。それによって儲かっているのか、検証していかなければならない」と指摘した。
農林水産物・食品の輸出額は平成29年度で8071億円となった。前年比7.6%の伸び。過去10年間で米は5億円が32億円へと340%伸びた。牛乳・乳製品は426%伸びて144億円、ブドウは628%伸びて29億円、いちごは890%伸びて18億円などとなっている。農林水産物全体では平成19年の5160億円から64%伸びている。
輸出先は香港がもっとも多く今年1月~9月実績で1515億円、中国(954億円)や米国(854億円)を大きく上回っている。農林水産省によると、香港は中国本土からの買い物客が増えているなど、ここを窓口としてアジア全体に輸出が広がっているという。実際、今年はアジア地域への伸び率が高い。1-9月実績で中国は対前年比34.4%、ベトナム同26.7%、フィリピン17.6%、タイ16.7%となっている。
2019年に1兆円目標を達成するにはここ2年で毎年11.3%の伸び率が必要だが、昨年1-9期から今年にかけて15.2%と着実な伸びを示したことから「2019年の1兆円は視野に入ってきた」と福田委員長は話す。しかし、農業者の所得増大につながっているのか実感できず、輸出への取り組みは浸透していないとの声も多い。
会合で福田氏は「あくまで売上げ高。輸出によって儲かっているのか。計画的に儲かっていくかを検証していかなければならない」と強調した。 野村哲郎農林部会長も「農家の所得をどう上げるかが課題。1兆円は目標だが、目的化してはいけない」と指摘し、農家の所得が上がれば「輸出にも力が入る」と話した。この日の会合で農水省は北海道のJA帯広かわにしのナガイモの輸出の取り組みについて紹介した。
◆ナガイモの単価、輸出で上昇
同JAは平成11年ごろから国内市場の価格維持と、低価格でカット販売される太物ナガイモの販路拡大をめざして台湾向けの輸出に取り組む。その後、台湾での高評価が米国に伝わり米国向け輸出も始まる。輸出手続きや運送は現地業者に委託しJAは生産に専念。選果場が土もの野菜として世界初の国際HACCP認証を取得した。また、十勝9JAの広域連携で生産量も拡大してきた。
現在はJA帯広かわにしが一元的に集荷・選別・出荷。28年には「十勝川西長いも」でGIを取得した。
農水省によるとこうした取り組みによって全国のナガイモの輸出単価は平成19年の1t32.3万円が平成29年には同54.2万円と上昇していることや、生産単価も同期間に26.1万円から40.3万円への増えているとして、輸出への取り組みが所得増大につながる例として示した。
また、農林水産省は輸出に取り組む生産者などを登録してコミュニティ化し支援するサイト、GFP(ジー・エフ・ピー)を8月末に立ち上げた。スマホで登録すれば無料で輸出の可能性を診断する「輸出診断」が受けられる。11月末までに616が登録。326社ほどが輸出診断を希望しているという。
この日の部会では産地での輸出セミナーの開催や、現地の日本食レストランや量販店とタイアップした輸出促進のほか、国内産地向けにはGAP取得支援対策の必要性も指摘された。農産物輸出促進対策委員会は小泉進次郎議員が委員長を務めていたが、同氏が厚労部会長に就任したため福田氏が新委員長に就任した。
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