家族経営体 4割で後継者決定 「継承未定」3割超-農水省調査2021年3月3日
農林水産省が家族経営体を対象に行った経営継承に関する意向調査によると、経営を他者に引き継ぐ意向をもっているのは5割であり、そのうち後継者が決まっているのは4割との結果だった。一方、自分の経営を他者に引き継ぐか「決めていない」との回答も3割を超えた。また、経営を継承しないと回答した農業者の理由は「地域に農地の受け手となりうる農業者がいない」がもっとも多かった。
調査は、2020(令和2)年8月上旬から下旬にかけて認定農業者のいる家族経営体の経営主である60歳代農業者を対象に実施。690人から回答を得た。
現在の経営を全体または一部を継承すると回答した割合は50.1%ともっとも高く、次いで「決めていない」が34.6%、「何も継承しない」が7.8%だった。

経営を継承する意向の農業者で本人の同意を得て後継者が決まっていると回答したのは40.1%、「後継者が決まっていない」と回答は9.9%だった。
継承したい資産は「農地」が94.8%、「施設・機械等の有形資産」が86.4%、「生産技術・ノウハウ」が61.0%だった。なお、農地のみ継承したいという意向の農業者は7.4%いた。
後継者が決まっている農業者の経営継承の取り組み状況は「経営継承計画等があり、すでに経営継承の取り組みを進めている」との回答がもっとも高く30.7%だった。次いで「経営継承計画等は策定していないが、すでに経営継承の取り組みを進めている」が23.5%、「具体的に取り組んでいない」が23.5%だった。
経営継承を進めるうえでの課題は「後継者の育成(経営管理面)」が43.7%、「後継者にいつ、どのように継承を進めるかの計画策定」が42.2%、「後継者の育成(技術面)」が41.2%だった。後継者をとくに経営者として育成することが課題となっていることが浮かび上がった。
後継者の属性では「同居の子」が72.9%、「非同居の子」が23.5%だった。
「後継者は決まっていない」と回答した農業者のうち、「候補はいる」との回答は72.1%で、「子(同居)」36.7%、「子(非同居)」34.7%だった。ただし、候補者に経営継承の同意を得られると考えているかとの質問には「現状のままで可能」は29.4%にとどまり、「現状のままでは難しい」が63.2%となった。
その理由でもっとも多かったのは「農業所得が不足している」で76.7%。次いで「施設・機械が老朽化している」が34.9%だった。そのほか「後継者への技術面の取得に必要な研修等を実施できない」も20.9%あった。
経営継承について相談している機関や組織は「普及指導センター」が50.0%、「JA」が37.5%、「農業委員会」が12.5%だった。「まだ相談をしていない」人に相談を想定している機関・組織を聞くと「JA」が56.8%。「農業委員会」が54.5%という結果だった。JAへの期待は高いことが示された。

農地の継承が課題
一方、経営を継承しない意向の農業者に、その理由を聞くと「地域に農地の受け手となる農業者がいないため」が29.6%ともっとも高かった。次いで「地域に農地の受け手となりうる農業者はいるが、これ以上農地を引き受けきれない状態のため」が24.1%だった。
農水省は地域の農業者と農地の現状、将来の意向などをアンケートによって分析したうえで、今後の中心経営体など誰がどう農地を担っていくか地域で合意する「人・農地プランの実質化」を進めている。今回の調査結果について、経営継承の意向を決めていないとする回答が3割を超えていることについて「地域での話し合いを進めてほしい」(経営局経営政策課)と話す。また、経営を継承するには現状の農業所得では不足との回答が多かったことについては補助事業などの活用も含めて「経営を磨き継承できるよう準備してほしい」とする。
また、農地の利用集積が大規模経営体を中心に進み、「これ以上農地を引受けられない」との声は現場から聞く。一方、スマート農業の実証事例のなかには、スマート農機などの導入による省力化、効率化で集落の農地を引き受けようという経営体も出てきている。こうした技術の導入による農地継承も課題となる。
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