子実用トウモロコシ 労働時間当たり所得 主食用の20倍 農水省試算2022年2月7日
子実用トウモロコシの10a当たりの所得は主食用米などより少ないが、労働時間当たりの所得は主食用米の約20倍となると農林水産省は試算をしている。農水省は麦、大豆との輪作体系に組み込んでいくことを想定し、麦や大豆と同様、水田活用の直接支払交付金で10a当たり3.5万円を交付するほか、令和3年度補正予算の水田リノベーション事業では同4万円を交付して産地の取り組みを支援する。
国際的な穀物価格の高騰による飼料価格の上昇は畜産経営に打撃を与え、輸入とうもろこしの過度な依存から脱却することが求められている。農水省はエコフィードや飼料用米などの国産濃厚飼料の利用拡大を図ってきたが、今後は耕種農家の輪作作物の1つとして子実用とうもろこしの生産・利用の拡大を図る考え。
ただ、とうもろこしは湿度に弱いため乾田や畑で麦や大豆などの輪作体系に組み込むことを想定している。
子実用とうもろこしは、面積当たりの労働時間が極めて小さい。農水省の調査によると、10a当たりの労働時間は主食用米が24時間、大豆が7時間で、子実用トウモロコシは1.2時間と主食用米の20分の1となっている。
10a当たりの所得は主食用米3.3万円、大豆4.3万円(戦略作物助成10a3.5万円含む)、子実トウモロコシ3.5万円(戦略作物助成と子実用トウモロコシ支援4.5万円含む)と助成金を入れて主食用米とほぼ同水準だ。
しかし、1時間当たりの所得で考えると、主食米は1時間1400円にとどまるが、子実用トウモロコシは同2万9200円tと約20倍となる。農水省は「限られた労力で規模拡大を進めるには有効な作物」として、投下労働時間当たりの所得に着目した経営を行う大規模生産者に生産を奨励していく。
麦、大豆の輪作に組み込むことでそれらの生産性が向上するという。排水性の改善、トウモロコシの茎葉の緑肥利用による地力改善、連作障害の回避などの効果がある。また、麦・大豆と同じ機械体系で作業ができることもメリットとなる。
子実用トウモロコシの作付は平成20年ごろから試行的に栽培され、2019(令和元年)で北海道約460ha、都府県約150haの610haほどとなっている。トウモロコシの利用について、農水省は自家配合で利用する養豚、養鶏農家をターゲットとして需要を開拓する方針。
国の支援策は、令和4年度予算では水田活用の直接支払交付金の戦略作物助成として10a当たり3.5万円のほか、水田農業高収益化推進助成のうち子実用トウモロコシ支援として10a当たり1万円がある。
令和3年度補正予算の水田リノベーション事業では戦略作物助成の単価が10a当たり4万円となる。ただ、水田リノベーション事業で助成を受けた場合は本予算の水田活用交付金の対象にはならない。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(146)-改正食料・農業・農村基本法(32)-2025年6月14日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(63)【防除学習帖】第302回2025年6月14日
-
農薬の正しい使い方(36)【今さら聞けない営農情報】第302回2025年6月14日
-
群馬県の嬬恋村との国際交流(姉妹)都市ポンペイ市【イタリア通信】2025年6月14日
-
【特殊報】水稲に特定外来生物のナガエツルノゲイトウ 尾張地域のほ場で確認 愛知県2025年6月13日
-
【注意報】りんごに果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 岩手県2025年6月13日
-
SBS輸入 3万t 6月27日に前倒し入札2025年6月13日
-
米の転売 備蓄米以外もすべて規制 小泉農相 23日から2025年6月13日
-
46都道府県で販売 随意契約の備蓄米2025年6月13日
-
価格釣り上げや売り惜しみ、一切ない 木徳神糧が声明 小泉農相「利益500%」発言や米流通めぐる議論受け2025年6月13日
-
担い手への農地集積 61.5% 1.1ポイント増2025年6月13日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】生産者米価2万円との差額補填制度を急ぐべき2025年6月13日
-
井関農機 国内草刈り機市場を本格拡大、電動化も推進 農機は「密播」仕様追加の乗用田植え機「RPQ5」投入2025年6月13日
-
【JA人事】JA高岡(富山県)松田博成組合長を新任(5月24日)2025年6月13日
-
【JA人事】JAけねべつ(北海道)北村篤組合長を再任(6月1日)2025年6月13日
-
(439)国家と個人の『食』の決定権【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年6月13日
-
「麦とろの日」でプレゼント 東京のららぽーと豊洲でイベントも実施 JA全農あおもり2025年6月13日
-
大学でサツイマイモ 創生大学と畑プロジェクト始動 JA全農福島2025年6月13日
-
JA農機の成約でプレゼントキャペーン JA全農長野2025年6月13日
-
第1回JA生活指導員研修会を開催 JA熊本中央会2025年6月13日