生乳生産量 2年連続で減産見通し 価格改定で「需給ギャップの拡大懸念」 Jミルク2023年5月26日
Jミルクは5月26日、2023年度の生乳及び牛乳乳製品の需給見通しなどを発表した。生乳生産量は22年度実績で4年ぶりに前年割れとなり、さらに23年度も北海道、都府県とも前年を下回って2年連続の減産となる見通しであると説明した。当面の課題として、生乳価格引き上げに伴う価格転嫁が消費を押し下げる可能性があり、「需給ギャップが拡大することが懸念される」としている。
発表によると、2022年度の生乳生産量の実績は、需要が伸び悩む中で全国的に生産抑制に取り組んだ結果、全国で753万3000t、前年比98.5%となり、2018年以来、4年ぶりに前年度を下回った。
また、2023年度の生産量は全国で741万8000tの見通しで同98.5%、北海道は423万3000tで同99.5%、都府県は318万5000tで同97.1%となる見通しを示し、全国、北海道、都府県ともに2年連続の減産となる見通しを示した。
今回の需給見通しについて、Jミルクは生乳価格引き上げに伴う製品価格の改定に伴う消費への影響などを盛り込んだと説明、北海道を中心に計画的な抑制な取り組みもあり、秋ごろまでは前年を下回るが、23年度後半の生産量は前年よりやや増えてくるとみている。
2023年度の乳用雌牛頭数については、2歳未満頭数は北海道で約1万2000頭、都府県で約6000頭減少する見通しを示した。搾乳牛となる2歳以上の頭数は都府県では約2000頭減少、北海道で約6000頭増加する見通しで、北海道では12月以降、2022年度を上回る予測となっている。
Jミルクは当面の課題について、生乳生産量をめぐっては生産コストの上昇による経営体数の減少(廃業の増加)や輸入飼料の価格変動、需要量をめぐっては製品価格改定の影響などを挙げた。そのうえで今後の取り組みとして、乳価引き上げに伴う価格転嫁は消費を押し下げる可能性があり、「生産量と需要量のアンバランスから生じる需給ギャップがさらに拡大することが懸念される」と指摘、生産者の厳しい経営状況を価格に反映させやすい環境整備のために需給環境を安定させるとともに、引き続き需要に応じた生産に取り組む必要があるなどと強調した。
一方、農水省は乳製品需給等情報交換会議」を開き、バターや脱脂粉乳等の輸入枠数量の検証を行った結果、現時点でバターや脱脂粉乳はいずれも必要量以上の在庫があることから、今年1月に示した令和5年度の輸入枠は、WTOで約束した最低数量(生乳換算で13万7000トン)にどとめ、品目別の輸入量を据え置くこととしたことを明らかにした。
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日