「ドローンによる農薬散布の暫定運行基準」を公表 (一社)農水協2016年3月14日
(一社)農林水産航空協会(以下農水協)は、ドローン等「マルチローター式小型無人航空機」(以下マルチローター)の安全適正な運行基準を策定するための検討会を開催してきたが、このほど「マルチローター式小型無人機による農薬散布の暫定運行基準」を公表、3月9日に農水省講堂において同暫定運行基準の説明会を開催した。
マルチローターによる農薬の空中散布防除技術は、農業新時代を拓くものと期待されている。主に中山間地などの狭いほ場での利用が想定されているが、実施に当たっては、さまざまな課題がある。
安全・適正な活用のためには、(1)機体性能の確認、(2)オペレーターの技能確認、(3)飛行方法の確認、が不可欠だ。マルチローターでの防除に関するニーズは、主に効率性よりも機動性が求められる中山間地での活用とされている。
昨年12月に施行された改正航空法では、これまで航空法の規制対象外だった無人航空機が(重量200g以下の機体を除く)規制対象となり、無人航空機の飛行ルール(飛行禁止空域や飛行方法など)が新たに定められた。
これにより新たに産業用無人ヘリを含む無人航空機を農薬散布等に利用する場合には、事前に国土交通大臣の許可・承認を受けることが必要となった。
これを受け農水省では、これまでの指針を廃止し昨年末に「空中散布等における無人航空機利用技術指導指針」(以下ガイドライン)を制定した。
具体的な機体性能確認等は、まず製造者(輸入も同様)が作成する仕様書(部品番号の記載があるものに限る)のとおりであることを確認した上で、50m×30mの空域を設定し、GPS等の位置安定機能を使用しない状態で、離陸・上昇、水平飛行、ホバリング、下降・着陸の安定性を判定する。
また速度15km/hで距離50m散布幅4mの設定コースを模擬散布飛行し、その間のコースからのズレが50cm以内であることや、通信・推進系統、電源や自動制御系統に不具合が生じた場合は、即時に着陸する機能などで、危険を回避できることなどが判定される。
耐久性能に関しては、20時間以上の運用実績の間、大きな不具合が発生しないこと、製造者が機体各部分の耐久年数を保証すること、機体を整備することにより100時間以上の飛行耐久性を有すること(最大離陸重量が25kg以上の機体にのみ適用)など。
散布装置性能の判定では、散布の開始や停止を迅速かつ容易に行える操作性を有すること、吐出量0.8L/分を目安に散布量8L/haの均一な噴霧及び落下量の確保ができること、農薬により腐食しない等の耐久性があること、配管系統やノズルからの漏れがないこと、散布作業終了時にタンクや配管等に農薬が残留しにくい構造であることなど。
飛行方法は、飛行高度2m、散布間隔3~4m、飛行速度15km/h、風速3m/s以下などだが、安全対策マニュアル(研修や各種保険の加入、操作の習熟、点検など)は、ほぼ産業用無人ヘリと同様だが、農薬を散布する作業の特性から、航空法、電波法のほか、農薬取締法、食品衛生法の知識なども必要となる。
農水協は、マルチローター式小型無人機による農薬散布作業について、6月頃の防除も視野に入れ、早い時期での実用化・実施を目指している。
重要な記事
最新の記事
-
【JA全農の若い力】家畜衛生研究所(3)病気や環境幅広く クリニック西日本分室 小川哲郎さん2025年9月18日
-
【石破首相退陣に思う】米増産は評価 国のテコ入れで農業守れ 参政党代表 神谷宗幣参議院議員2025年9月18日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】協同組合は生産者と消費者と国民全体を守る~農協人は原点に立ち返って踏ん張ろう2025年9月18日
-
「ひとめぼれ」3万1000円に 全農みやぎが追加払い オファーに応え集荷するため2025年9月18日
-
アケビの皮・間引き野菜・オカヒジキ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第356回2025年9月18日
-
石川佳純の卓球教室「47都道府県サンクスツアー」三重県で開催 JA全農2025年9月18日
-
西郷倉庫で25年産米入庫始まる JA鶴岡2025年9月18日
-
日本初・民間主導の再突入衛星「あおば」打ち上げ事業を支援 JA三井リース2025年9月18日
-
ドトールコーヒー監修アイスバー「ドトール キャラメルカフェラテ」新発売 協同乳業2025年9月18日
-
「らくのうプチマルシェ」28日に新宿で開催 全酪連2025年9月18日
-
埼玉県「スマート農業技術実演・展示会」参加者を募集2025年9月18日
-
「AGRI WEEK in F VILLAGE 2025」に協賛 食と農業を学ぶ秋の祭典 クボタ2025年9月18日
-
農家向け生成AI活用支援サービス「農業AI顧問」提供開始 農情人2025年9月18日
-
段ボール、堆肥、苗で不耕起栽培「ノーディグ菜園」を普及 日本ノーディグ協会2025年9月18日
-
深作農園「日本でいちばん大切にしたい会社」で「審査委員会特別賞」受賞2025年9月18日
-
果実のフードロス削減と農家支援「キリン 氷結mottainai キウイのたまご」セブン‐イレブン限定で新発売2025年9月18日
-
グローバル・インフラ・マネジメントからシリーズB資金調達 AGRIST2025年9月18日
-
利用者が講師に オンラインで「手前みそお披露目会」開催 パルシステム東京2025年9月18日
-
福島県に「コメリハード&グリーン船引店」10月1日に新規開店2025年9月18日
-
鳥インフル 米モンタナ州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年9月18日