農薬:防除学習帖
【防除学習帖】第34回 水稲の雑草防除52020年1月10日
前回、水稲除草で使用される一発除草剤は、ヒエ剤とヒエ以外の雑草を枯らす成分の組み合わせでつくられていること、並びにどの成分にも枯らすことのできる雑草やその葉齢に違いがあることを紹介した。
つまり、除草剤が最高の性能を発揮するためには、一番効果を発揮することができる「処理適期」を守って使用する必要がある。その目安とするため、主な水田雑草の葉齢進展の目安を図に示した。
1.雑草の葉齢進展と一発剤の処理時期の目安
図を見てわかるように、どの雑草も暖かい地域の方が葉齢進展も早くなる。
このため、暖かい年などでは葉齢が例年より早く進み、登録の処理時期範囲内であっても、枯らすことのできる葉齢の限界を超えてしまい、結果として雑草を枯らし損ねてしまうこともあり得る。また、田んぼを見回して見える範囲が処理適期であっても、目が届かなかった場所には、葉齢限界を超えている雑草があるかもしれない。
このようなことを避けるため、一発剤も、登録の処理時期の範囲内でできるだけ早く使用する方が効果も安定し、取りこぼしも少なくなる。
2.代かき時期と一発剤の処理タイミングの目安
このことを踏まえ、代かき時期別に一発剤の処理タイミング(初期剤無使用の場合)の目安を図に示した。実際の作業日程を考慮し、いつまでに一発除草剤を使用すれば良いかあるいは一発剤選びの目安にしてほしい。
田植えの2日前に代かきをした場合を例にとると、田植え直後から田植え後8日までは全ての一発剤を使用できるが、田植え後9~10日ではヒエの葉齢限界が2葉期の一発剤が、同11~12日では2.5葉剤が、同13~14日では3葉剤が必要になる。15日以降の処理では、どの一発剤を使用してもホタルイや一年生広葉雑草を取りこぼすリスクが高くなる。
初期剤と一発剤を体系で使用する場合は、これに初期剤の残効日数分だけ一発剤の処理日数を登録の使用時期範囲内で後ろにずらせばよい。
3.中後期除草剤
どんなに優れた除草剤でも、ほ場条件(代かき状況、処理時の湛水程度、漏水田など)や気象条件などによって、本来の効果を十分に発揮できずに雑草を取りこぼしてしまうことがある。
取りこぼした雑草が水稲の収量や品質に影響を与えるような場合には、中後期除草剤を使用する必要が出てくる。
主な中後期除草剤の有効成分と効果のある雑草の一覧を表に示したので、除草剤を選ぶ際の参考にしてほしい。ただし、枯らせる雑草や使用方法、使用時期は、除草剤の製品に含まれる成分の組み合わせで異なってくるので、使用前に必ず農薬ラベルを確認し、正しく使用するようにしてほしい。
この中で、多く使われている中後期は、幅広い雑草を枯らすベンタゾンを含有するバサグランや、同剤に高葉齢のヒエを枯らすシハロホップブチルを加えたクリンチャーバスなどである。
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