農薬:防除学習帖
みどり戦略に対応した防除戦略(23) 果樹の防除暦【防除学習帖】 第229回2023年12月16日
令和3年5月に公表され、農業界に衝撃を与えた「みどりの食料システム戦略」。防除学習帖では、そこに示された減化学農薬に関するKPIをただ単にKPIをクリアするのではなく、できるだけ作物の収量・品質を落とさない防除を実現した上で、みどりの食料システム法のKPIをクリアできる方法がないかを探ろうとしている。
前回より、ナシを題材に散布回数の多い果樹を検討している。果樹も水稲と同様に防除暦が整っている作物ではあるが、暦の内容が地域によって異なるため、一律的なリスク低減方策を示しにくい作物であることから、栽培ステージごとに一般的なリスク換算量低減法の検討を試みようとしている。
今回は、リン片脱落期~開花期(受粉終了)の病害防除について検証してみる。
1.リン片脱落期~開花期(受粉終了)の病害防除
この時期は、黒星病の初期防除と赤星病の防除がメインとなる。特に黒星病は、休眠期に除去しきれていなかったり、休眠期防除から免れた病斑、リン片基部など初期病斑からの感染を防ぐことに重点を置くようにする。この初期の菌密度を少なくすることができれば、その後の黒星病の発生を少なくすることができる。
2.リン片脱落期~開花期(受粉終了)防除の実際
(1)伝染源除去
この時期にリン片基部にビロード色した黒星病胞子が確認した場合は、出来るだけ取り除いて圃場外に出し、適切に処分する。園地内の伝染源を出来るだけ少なくすることが肝要である。
(2)防除例
この時期は特に重要な時期でもあるので、効果の高い薬剤を使用して確実に防除するようになっている防除暦が多い。以下にモデル防除暦を示したが、この時期は、リスク換算量を気にすることなく、しっかりとした防除を行うことを念頭に置いた方が良い。
3.リスク換算量削減方策
この時期は黒星病の防除に重要な時期で、発生初期の菌量を減らすために重要な時期である。
基本的に防除効果を落とさないように、効果最優先で薬剤を選ぶようにする。
その上で、あえてリスク換算量を減らすなら次のような方法が考えられる。
(1) 作用性の異なる薬剤の中からリスク換算量の少ないものを選んでローテーションで使用する。
(2) 希釈倍数が複数ある場合は薄い方を選択する。
(3) できるだけ、1剤で黒星病と赤星病の両方に効果のある薬剤を選択する。
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