食肉を食べるときに感じる「複雑さ」数値化の方法を考案 農研機構2023年11月16日
農研機構は、食肉などを食べた時に感じられる味と匂いの「複雑さ」の指標を見出し、客観的に数値化する方法を考案した。同成果により得られた指標と実際に消費者が主観的に感じる複雑さの関係を明らかにすることで、食肉のおいしさにとって重要な要素と考えられる「複雑さ」の数値化が可能となり、国産畜産物の品質評価や高付加価値化につながる。
食品を食べるときに感じられる味、匂い、食感が複合した"複雑さ"は食べ物の好き嫌いに直結する重要な感覚要素。例えば、コーヒーにおいては豆の種類や焙煎の程度が「酸味」、「苦味」および「匂い」など様々な感覚要素に影響し、その組み合わせにより生み出される複雑な風味が「おいしさ」に影響する。また、ワインは、複雑な味わいのワインを好む消費者とシンプルな味わいを好む消費者がどちらも存在することが知られている。
食肉はうま味成分などが引き起こす「味」、加熱時に発生する「匂い」、筋肉内の脂肪含量の違いや加熱の程度が影響する「食感」など、多くの感覚要素が寄与する複雑な官能特性を有する食品で、食肉を食べるときに感じる「複雑さ」は食肉の「好ましさ」や「おいしさ」に関係する重要な品質要素の一つと考えられる。しかし、食肉を食べるときに感じる「複雑さ」は、食肉を食べた一人一人が主観的に評価しているのが現状で、「複雑さ」を客観的に評価するためには、「複雑さ」を数値化する方法が必要だった(図)。
そこで、農研機構は食肉を食べるときに感じる「複雑さ」を数値化する方法として、味や匂いなど「評価中に注目を引き付けた感覚の数」、「評価中に注目を引き付けた感覚が切り替わった回数」、「同じ時点での感覚の入り組み度合い」という3種類の指標を考案。食肉のエキスを用いたモデル実験でこれらの指標が複雑さの評価に活用可能であることを明らかにした。
今後、同成果により得られた指標と実際に消費者が主観的に感じる複雑さの関係を明らかにすることで、食肉のおいしさにとって重要な要素と考えられる「複雑さ」の数値化が可能となり、国産畜産物の品質評価や高付加価値化への活用が期待される。
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