御蔵島で野生化ネコによる大量捕食 実態が明らかに 森林総研2025年7月9日
森林研究・整備機構森林総合研究所、東京大学、北海道大学、かながわ野生動物サポートネットワーク、山階鳥類研究所の研究グループは、伊豆諸島御蔵島(東京都)に野生化しているネコの冬季の食性を調べたところ、従来の調査によるオオミズナギドリの帰島記録より5週間早く、ネコがオオミズナギドリを捕食し始めていることが判明した。この新知見に基づき、御蔵島でのネコ1頭あたりの年間オオミズナギドリ捕食数が330羽と推定。現在実施中のネコの生息状況調査に基づき、御蔵島全域でのネコのオオミズナギドリ年間捕食数は最低でも3万4980羽にのぼると算定された。
図2:御蔵島のオオミズナギドリ
同研究グループは、海鳥オオミズナギドリの世界最大繁殖地の御蔵島において、島に野生化しているネコの冬季の食性を調べたところ、オオミズナギドリの繁殖のための帰島を人が感知するよりもずっと早いタイミングで、ネコがオオミズナギドリを捕食し始めていることを明らかにした。
この結果は想定外で、これまでの人の調査によるオオミズナギドリの最も早い帰島記録を、ネコが5週間更新するもの。同時に、ネコがオオミズナギドリを探知し、捕食する能力がきわめて高いことを示唆している。
この新たな知見に基づき、御蔵島におけるネコ1頭あたりの年間オオミズナギドリ捕食数はこれまでの研究チームの推定値である313羽から330羽に更新。さらに、同種がネコに捕食される総数は、年間で少なくとも3万4980羽と推定された。
図1:研究の主要結果の概要
また、オオミズナギドリ以外にも、国内希少野生動植物種で国の天然記念物のアカコッコ、準絶滅危惧種で国の天然記念物のカラスバト、オオコノハズクの3種の陸鳥への捕食も確認され、陸鳥全体で最低でも年間2120羽がネコに捕食されていると推定された(図1)。
現在、御蔵島における野生化ネコ対策は、御蔵島村、および有志グループによる小規模な体制にとどまる。一刻も早く国や都も含めた関係機関が一丸となって問題の終わりを見据えた対策を実施することが望まれる。
同研究成果は4月23日、国際学術誌『MammalStudy』にオンライン掲載された。
重要な記事
最新の記事
-
【注意報】水稲にイネカメムシ 県南部で多発のおそれ 栃木県2025年7月9日
-
2025参院選 各党に聞く「米・農政・JA」 【公明党】米政策が農政の柱 谷合正明参議院議員2025年7月9日
-
2025参院選 各党に聞く「米・農政・JA」 【日本維新の会】農業者への直接支払い実現を 池畑浩太朗衆議院議員2025年7月9日
-
2025参院選 各党に聞く「米・農政・JA」 【国民民主党】食料安全保障基礎支払いの創設めざす 舟山康江参議院議員2025年7月9日
-
2025参院選 各党に聞く「米・農政・JA」【社民党】ミサイルよりコメを! 福島みずほ党首(参議院議員)2025年7月9日
-
2025参院選 各党に聞く「米・農政・JA」【参政党】10年以内に自給率を倍増 神谷宗幣代表(参議院議員)2025年7月9日
-
【第46回農協人文化賞】地域ブランドつなぐ 営農経済部門・福岡県・にじ農協組合長 右田英訓氏2025年7月9日
-
【第46回農協人文化賞】「不易流行」で農支援 営農経済部門・熊本県・球磨地域農協組合長 福田勝徳氏2025年7月9日
-
【第46回農協人文化賞】人とのつながり糧に 営農経済部門・長野県・グリーン長野農協元組合長 竹内守雄氏2025年7月9日
-
「不幸の書簡」とストックホルム症候群【小松泰信・地方の眼力】2025年7月9日
-
【アンパンマンはなぜ生まれたか】 ノンフィクション作家・梯久美子さん 第46回農協人文化賞特別講演2025年7月9日
-
7月21日、広島でトラクターデモ 令和の百姓一揆 欧米並みの所得補償求め2025年7月9日
-
【人事異動】農水省(7月10日付)2025年7月9日
-
【JA人事】JA上士幌町(北海道)高橋昭博組合長を再任(6月6日)2025年7月9日
-
【JA人事】JA筑前あさくら(福岡県)熊本廣文組合長を再任(6月26日)2025年7月9日
-
【JA人事】JAグリーン近江(滋賀県)大林茂松組合長を再任(6月21日)2025年7月9日
-
【JA人事】JA新得町(北海道) 組合長に太田眞弘氏を再任2025年7月9日
-
秋元真夏の「ゆるふわたいむ」鳴戸部屋で兵庫の食材使用「ちゃんこ」を堪能 JAタウン2025年7月9日
-
健診施設機能評価認定更新 JA熊本厚生連2025年7月9日
-
JA鹿本のグリーンハウスミカン出荷順調 7月中下旬ピーク、総量130トン見込み2025年7月9日