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流通:時の人話題の組織

【時の人 話題の組織】田井修司・コープみらい理事長 持続可能な経営基盤を築きくらしの協同を守る2013年4月10日

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・生協のあり方を連帯の視点から追求
・組合員が判断した連帯の形
・組合員一人ひとりのくらしにどう向き合っていくのか
・JAとも連帯して安心してくらせる地域づくりを

 首都圏の東京・埼玉・千葉の3生協が3月21日に組織合同し組合員約300万人という巨大な生協「コープみらい」が誕生した。協同組合として組織合同した意味は何か。そして今後どのような活動を展開していくのかについて、田井修司理事長に聞いた。

事業革新を進め
事業・活動のメリットを組合員に還元

◆生協のあり方を連帯の視点から追求

田井修司・コープみらい理事長――組合員300万人という大きな生協が誕生しました。協同組合が組織合同する意味についてお話しください。
 「私がちばコープの理事長に就任したのは、東葛市民生協と合併した2002年ですが、そのときすでにさいたまコープとコープとうきょう、コープネットの3者が『新しい協同(実質合同)』という連帯のレベルで、3者共同で中期計画をたてていました。一方、ちばコープも日本の生協運動の末来を創るため、3者との可能な限りの連帯・共同化を進めていく中期計画を策定しました。それは事業的な側面とか組織的な側面ということよりは、生協のあり方そのものを連帯の視点から深めるということでした」。
 「次のステップはコープネット加盟生協が一つの理念やビジョンを共有し、一つの生協のごとく活動できるあり方をコープネット全体で考えようということでした。これは連帯の面からみて全国初の画期的な出来事でした」。

◆組合員が判断した連帯の形

――冷凍餃子事件で状況が変わった…。
「コープネットグループの各生協が共通の理念、ビジョンを決定した半年後に『冷凍餃子事件』が起きました」
 「餃子事件では、生協の存立そのものが問われました。組合員からは、こうした危機に直面する中でこそ協同、連帯が大切であり、日本生協連とか、コープネット、ちばコープということではなく『生協は一つ』だから、一体となって安心や信頼を確立して欲しいといわれました。法人という視点からは、単協があって、コープネットがあって日本生協連があるという三層構造になっているが、組合員の視点からはどういうあり方がいいのかという新たな連帯の課題が提起されたといえます」。
――議論のなかでは組織合同に対する抵抗感はなかったのですか。
 「まず、最初に事業連合の現状と到達点を理解することから始まりました。そして事業連合を強化する方向と組織合同で新しい生協をつくるという二つの方向がある。それを組合員がどう判断するかですから、時間をかけて議論をしていきたい、というのが最初の問題提起です」
 「大きくなれば組合員の声が届きにくくなるという意見は当然ありました。しかし、それは組織の大小の問題ではなく、マネジメントの問題ですから議論を深める障害とはなりませんでした。むしろ二つの方向性は生協の協同や連帯のあり方の問題として正面から受け止められました」。
 「協同とか連帯は生協の価値ですから、協同組合にとっては理念やビジョンを基礎づけるような重みを持っています。この連帯をどう戦略化していくかという視点を大切にしてきました」。
 「その追求のプロセスでは、あくまでも組合員との論議を深めるというガバナンスの視点が絶対に欠かせません。そして組合員が自己決定することが原則であり、その結論が今回は組織合同でした。これは、理念・ビジョンや年度方針などを議論するときと同じで、何か特別な議論の仕方をしたわけではありません」。

◆組合員一人ひとりのくらしにどう向き合っていくのか

「ひとつになって、みらいへ。」とコープみらい誕生を伝える「コープネットリポート」――単一組織で300万人というのは、生協だけではなく国内にはないと思いますから、注目の的ですね。
 「この成果や力をどう組合員のくらしに役立てていくか、その責任は大きいです。東京・埼玉・千葉と広域ですが、地域の中だけでは解決できない生活や社会的な課題があるので力を合わせて取り組むと同時に、それぞれの地域ごとに優先課題や固有の課題があり、大事な活動がありますからそれも大切にしていくという両面があります」
 「組合員300万人を抽象化してはいけないと思っています。一人ひとりのくらしが300万世帯結集した。その一人ひとりのくらしと向き合っていくことが目ざすところで、大切にしたい視点だと考えています」
――組織合同による事業面でのメリットは…。
 「組合員のくらしの協同を大事にして問題解決していくことが生協の使命です。そのためには、生協そのものの持続可能な経営基盤をどう築くかです。システムや物流についてはこれまでコープネットとして積み上げをしてきていますが、これで十分かといえば、ITやこれを活用した宅配や通販などさまざまなビジネスモデルがでてきています。それらを検討しながら新しい事業の改革をどう進めるかは大きな課題です。店舗も同じです」
 「組織合同により事業革新のテーマを絞り込み、優先順位をつけながら、しかも迅速な意思決定で判断できる条件が整ったと考えています」 

(写真)
「ひとつになって、みらいへ。」とコープみらい誕生を伝える「コープネットリポート」

◆3つの知恵を結集してイノベーションしていく

――事業革新や合理化など進めることで、組織合同のメリットをだす…。
 「合理化というよりは、3つの『ともに』を指針に、知恵を集めてイノベーションに挑戦していくことです。3つの『ともに』とは、店舗、宅配など業態と業態の『ともに』、組合員活動と事業の『ともに』、組合員・消費者の『くらしの知恵』と生産者・メーカーの『つくる知恵』の『ともに』です。そして、いままでは会員生協それぞれが決めたうえで調整していましたが、これからは一つの組織として意思決定し、実行することが可能になってきます。厳しい競争環境のなかで、事業革新を迅速に推し進めていくことが組織合同の大きなメリットです」
 「もう一つのメリットは、人材開発です。一つの組織としてそれぞれの職員が自己実現できるよう人材を育成できる基盤ができた。そうした人の成長を軸にしたイノベーションの力を掘り下げていくことができるようになりましたから、これをメリットにしていきたいです」
――事業革新を進めることで、組合員にさまざまなメリットが還元されていく…
 「組合員のくらしに何を成果として生みだすのかが、事業メリットであり、組織活動のメリットです。もちろん成長ないし増収増益は願うところですが、その根幹は組合員のくらしの役立ちに支えられているということです。組織としての供給高がいくらになっても一人ひとりの組合員には直接的には関係ありませんし…」
――事業面ではとくに店舗事業を取り巻く環境は厳しいですね。
 「店舗だけではなく宅配でも安穏とはしていられません。一人当たり利用高は競合が厳しくなればなるほど下がってきます。それに対抗できるだけの事業革新ができるのかが問われています」
――いずれかの生協が経営的に厳しくなったので、その救済のために統合したわけではないですね。
 「組織合同の話し合いが始まって以降の決算ではそういうことはありません。むしろ3生協ともに内部留保もかなりありますので、事業革新のために有効に活用していこうと考えています」
――組織運営とか組合員とのコミュニケーションについてはどうですか。
 「コミュニケーションのあり方は組織のあり方だと私は考えていますから、組合員一人ひとりとのコミュニケーションもある個人と個人がするのではなく、組織の誰かと誰かがするわけですから、組織のあり方として深めていけるし、そのことを組織風土としていく取り組みはすでに始まっています。それは組織が大きくなろうと小さかろうと変えてはいけないと思います」

◆JAとも連帯して安心してくらせる地域づくりを

――最後にJAグループや生産者へのメッセージをお願いします。
 「コープネットとしてエリア内の全農の皆さんとの協議会とか、産地との協議会があります。それを前提としながら千葉県では、全農千葉県本部が集品センターをつくりJAだけではなく産地で収穫されたものをここへ持ってくれば選別されるようになり、それをきちんと運営するために『千葉産地協議会』を設置しました。今後はコープみらいとして、さらに発展させていきたいと考えています」
 「今後も協同の組織を大事にしていきたいと考えています。農産物の取引きだけではなく、いまの地域農業の現状や困っていることとか、生協としてできることにはどういうことがあるのかとかを突き詰めて課題化し、一緒に解決していくことが産地協議会ができた趣旨です」
 「また、同じ協同組合人ですから、生協はどういう人を育てようとしているのか、農協はどういう人づくりやマネジメントを行っているのか、国際協同組合年だからそこまで踏み込みましょうと全農千葉県本部にお話したら受け止めて頂き、若手の職員同士の交流が実現し、いろいろな意見交換をすることができました。 コープみらいにとっても人材育成は、持続可能性の一番のメルクマールだと考えていますので、農産物を介してだけでなく、人と人が直接交流できるような関係をさらに深めたいと思います。」
 「私たちの組織は300万人・3600億円といわれますが、組合員一人ひとりのくらしは地域にありますし、何かが起こればその地域、地域で起こるわけです。それをコープみらいとしてどう受け止め解決していくかが基本です。だからそれぞれの地域のみなさん、とりわけ協同組合同士の協同・連帯はもっともっと大切にして、一緒に地域にくらしている人たちが安心してくらしていけるような地域づくりをしていきたいと願っています。とくに農協の皆さんとは一緒に地域の課題を議論し、問題解決に向けて協力し合いたいと考えています」

【田井修司氏略歴】
(たい・しゅうじ)1945年香川県生まれ。1980年?2001年立命館大学教授、02年?ちばコープ理事長、コープネット事業連合理事、02年?千葉県生協連理事、03年?08年 日本生協連理事、09年?10年日本コープ共済生協連理事、さいたまコープ理事、東京都生協連理事、11年?日本生協連副会長、千葉県生協連会長理事、コープとうきょう理事

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