イネのカドミウム・マンガン輸送体タンパク質 働きを調節するアミノ酸部位を特定 農研機構2022年12月6日
農研機構は、イネのカドミウム・マンガン輸送体タンパク質の働きを調節するアミノ酸部位を特定した。この成果は、安全性の向上と生産性を両立したた水稲品種の開発に役立つ。
突然変異によるOsNRAMP5-Q337Kタンパク質のアミノ酸配列とカドミウムとマンガン輸送能の変化(模式図)
農研機構はこれまでに、日本人が食品から摂取するカドミウムの約40%を占めるコメ中のカドミウム濃度を画期的に低減するカドミウム低吸収性品種「コシヒカリ環1号」を開発。この品種はカドミウム吸収を司るOsNRAMP5遺伝子の機能が欠失しているため、カドミウム吸収が著しく抑制される。同時に生育に必要なマンガンの吸収も抑制されるため、マンガン不足により、ごま葉枯病に罹病しやすい傾向があった。
今回、農研機構は突然変異育種法と遺伝子解析技術を組み合せることで、カドミウムとマンガンの輸送が緩やかに低下した新たな変異型のOsNRAMP5遺伝子をもつ突然変異イネを選抜。変異したOsNRAMP5タンパク質のN末端から337番目に位置するアミノ酸が、カドミウムとマンガン輸送の調節に重要な部位であることを突き止めた。
一般的に栽培されているイネが持つOsNRAMP5は337番目のアミノ酸がグルタミンだが、突然変異によってそれがリジンに置き換わったこの変異イネでは、コメのカドミウム濃度が抑えられ、同時にマンガンの吸収も抑制されたものの生育に必要な吸収量は確保。さらに、マンガン不足によるごま葉枯病の発症程度は、「コシヒカリ環1号」よりも明らかに抑制されていた。
アミノ酸変異の特定と併せて、OsNRAMP5の337番目のアミノ酸がグルタミンからリジンに変異したOsNRAMP5-Q337K遺伝子を検出できるDNAマーカーを開発。このマーカーを活用したイネ育種を行うことで、マンガン不足を回避しつつ、カドミウム吸収量を減らした新たな水稲品種が開発できる。また、この部位のアミノ酸をさらに別のアミノ酸に置き換えた実験から、アミノ酸の種類によって両元素の輸送が大きく変化することも分かった。
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