【特殊報】サツマイモに「サツマイモ基腐病」県内で初めて確認 山口県2023年9月13日
山口県病害虫防除所は、サツマイモにサツマイモ基腐病の発生を県内で初めて確認。これを受けて、9月13日に令和5年度病害虫発生予察特殊報第1号を発令した。
図1:ほ場での発生状況(左)、図2株元の病変部(写真提供:山口県病害虫防除所)
山口県病害虫防除所によると7月中旬頃、県東部のサツマイモ栽培ほ場で萎凋し、株元が黒変した株の発生が確認されたと報告があった(図1、2)。県農林総合技術センターによる病原菌の形態観察および遺伝子診断、農林水産省神戸植物防疫所における遺伝子解析の結果、山口県で未発生のサツマイモ基腐病と判明した。同病は、2018年に沖縄で初めて発生が確認され、その後、計32都道府県で報告されており、近隣県では、広島県、岡山県、鳥取県、愛媛県で確認されている。
病変部の微小な黒粒(柄子殻)、図4:柄子殻の内部から噴出した胞子(写真提供:山口県県病害虫防除所)
サツマイモ基腐病が発病すると、葉が赤変、黄変し生育不良となり、茎は地際部から暗褐色~黒色に変色する。また、病変部に柄子殻(へいしかく)とも呼ばれる微小な黒粒(図3)を多数形成し、その内部に無数の胞子を形成する(図4)。収穫時に健全に見えても、貯蔵中に腐敗することもある。
病原菌は、主に、感染した種イモや苗(つる)を植え付けることでほ場に持ち込まれる。盛夏を除き、ほぼ年間を通して発生し、春から秋の多湿条件下で多発。発病株の病変部に形成された柄子殻からおびただしい数の胞子が漏出し、ほ場の湛水、降雨による跳ね上がりで周辺株に拡大する。
本ぽでは、茎葉が繁茂する生育旺盛期は、株の異常に気付きにくいため、収穫期が近づいた秋頃になり枯れ上がったように見えることが多い。収穫後は、つるや塊根のり病残さ中で病原菌が越冬し、翌年の伝染源となる。

同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇サツマイモ基腐病の未発生ほ場で生産された健全種苗を使用する。
〇未消毒の苗を使用する場合は、本病に適用のある薬剤で苗を消毒する(表)。
〇同病は、排水が悪いほ場で発生しやすいため、排水対策を徹底する。
〇発病を認めた場合、発病株は速やかに抜き取り、適切に処分するとともに、周辺株への二次感染防止のため、薬剤を散布する(表)。また、収穫後の残さは、ほ場から持ち出し、適切に処分する。
〇同病が発生したほ場で使用した資材及び機械類等は、十分に洗浄、消毒を行う。
〇同病が発生したほ場では、次作の植付前に土壌消毒を行う(表)。
〇同病が多発生したほ場では、サツマイモの連作を避け、ヒルガオ科植物以外の作物を栽培する。
〇対策等の詳細は、農研機構生研支援センターイノベーション創出強化研究推進事業(01020C)及び戦略的スマート農業技術等の開発・改良(SA2-102N)のマニュアル「サツマイモ基腐病の発生生態と防除対策(令和4年度版)」を参照する。
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