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アサガオの花の寿命を延ばす化合物を発見 農研機構・愛媛大学2024年9月25日

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農研機構は愛媛大学と共同で、アサガオの花の寿命を延ばす新たな化合物Everlastin(エバーラスチン)を発見。この化合物は、花弁(花びら)の老化を調節する因子を標的とした大規模な化合物のふるい分け(化合物スクリーニング)により見い出された。同成果は、花の日持ちを延ばす新たな薬剤の開発につながることが期待される。

図1:Everlastin1を処理した開花後24時間目のアサガオの花図1:Everlastin1を処理した開花後24時間目のアサガオの花

切り花では、消費者や花き業界から日持ちの良さが強く求められている。カーネーションなどの一部の切り花では、花弁の老化を早めることが知られているエチレンの働きを阻害する薬剤の処理により日持ちを延ばすことができる。一方、ユリやチューリップなどの切り花はエチレンの影響を受けにくく、エチレンの働きを阻害しても日持ちを延ばすことができない。

農研機構はこれまでに、エチレンの影響を受けにくいアサガオを実験植物として用いて、花弁の老化を進める遺伝子EPHEMERAL1(EPH1)を特定していた。今回、農研機構は愛媛大学と共同で、この遺伝子から作られるEPH1タンパク質の活性を阻害し、花の寿命を延ばす新たな化合物「Everlastin1(エバーラスチン1)」と「Everlastin2」を発見。Everlastinを溶かした水に切り取ったアサガオの花を浮かべた場合、花の寿命(花弁がしおれるまでの時間)が24時間程度となり、処理していない場合の約12時間に比べて約2倍に延びた(図1)。この化合物は、約22万種類の化合物を対象とした大規模な化合物のふるい分け(化合物スクリーニング)により見い出された。

EPH1タンパク質は、転写因子と呼ばれる他の遺伝子の働きを調節する司令塔的な役割を持つタンパク質の一種。転写因子は動植物において形や各種性質の決定に重要な役割を果たしている。このことから、転写因子の働きを調節する化合物の選抜は薬剤開発においてキーポイントと考えられてきたが、解析に必要なタンパク質の合成などが難しく、大規模な化合物スクリーニングは難しかった。

同成果では、試験管内で効率良くタンパク質を合成できる実験系を用いることで、植物において、転写因子を直接の標的とした阻害化合物の選抜に世界で初めて成功。同本成果は、花の日持ちを延ばす薬剤の開発につながることが期待される。また、この実験系を応用することで、ストレス耐性など農業上重要なさまざまな性質の改良に効果のある薬剤の開発につながると考えられる。

同研究成果は8月29日、『Nature Plants』オンライン版に掲載された。

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