【特殊報】セグロウリミバエ 県内で初めて確認 鹿児島県2025年6月2日
鹿児島県病害虫防除所は、県内に設置しているウリミバエ等侵入警戒トラップの複数地域で、セグロウリミバエの誘殺が県内で初めて認められたことから、5月28日に令和7年度病害虫発生予察特殊報第1号を発表した。
鹿児島県病害虫防除所によると、鹿児島県が設置しているウリミバエ等侵入警戒トラップにおいて3月17日以降、伊仙町、与論町、知名町でセグロウリミバエ疑義成虫を誘殺。門司植物防疫所が同定した結果、いずれもセグロウリミバエと確認された。鹿児島県で同種の確認は初めて。現時点では県内の他地域で誘殺は確認されていない。
セグロウリミバエは、雌成虫が寄主果実に産卵管を差し込み、産卵する。それにより産卵孔付近が壊死して果実の腐敗を引き起こしたり、幼虫が果実内部を食害することによって、商品価値が著しく低下するとされている。
図1:セグロウリミバエ成虫(提供:鹿児島県病害虫防除所)
成虫(図1)は体長8~9mmで、頭部は黄褐色。触角下方に1対の楕円形の黒色斑がある。胸背部は全体的に黒褐色で3本の黄色縦帯がある(図2)。腹部は黄褐色で、第2及び第3節背板に沿った黒状の帯状斑があり、第3~5節背板の正中線上に黒色の縦状斑がある(図3)。翅の斑紋は前縁帯の頂端に半円形の黒斑があるが、近縁種のミスジミバエ(在来種で作物への被害はほとんどない)と異なり、中肘横脈に斑紋はない。卵は白か黄白色で幅0.2mm、長さ0.8mm。幼虫は成長すると体長7.5~9.0mm、幅1.0~1.5mmとなる。
図2:胸背部と図3:腹部(提供:鹿児島県病害虫防除所)
主な寄主はウリ科(キュウリ・スイカ・カボチャ・メロン・トウガン・ニガウリ・ヘチマ等)。その他、ナス科(トマト・ピーマン・トウガラシ等)、パッションフルーツ、スモモ、パパイア、ドラゴンフルーツ、グアバ、インゲン等にも寄生する。幼虫は果実内で発育し、老熟すると果実から脱出して土中で蛹化する。成虫の寿命は6か月以上(気温により異なる)。
海外では、朝鮮半島を除くアジア全域に広く分布。国内では、1998年と2003年に沖縄県石垣市でトラップへの誘殺が確認された。このほか、2024年3月以降、主に沖縄本島でトラップへの誘殺、家庭菜園や栽培管理が放棄されたほ場のウリ科果実等への寄生が確認されている。
同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
(1)ウリ科等の摘果した果実や収穫残さ等は野外に放置せず、地中深くに埋めるか、丈夫なビニール袋に入れ、ガムテープ等でしっかり密封し、1か月程度放置してから処分する。また、家庭菜園等の不要な果実は放置せず早急に処分する。
(2)施設栽培では、側面、天窓、出入口に目合い1.6mm以下の防虫ネットを設置し、出入口は二重カーテンにする。また、被覆ビニール及びネット等の破損部分は直ちに補修する。
(3)ほ場周辺のウリ科等の野生寄主植物は除去する。
重要な記事
最新の記事
-
【注意報】ネギ軟腐病 県内全域で多発のおそれ 鳥取県2025年7月30日
-
【役員人事】JA共済連(7月30日付)2025年7月30日
-
日米交渉結果 主食用増えず 改めて強調 小泉農相2025年7月30日
-
ハナエチゼンの概算金、7000円引き上げ 一部買い取りも JA福井県2025年7月30日
-
【今川直人・農協の核心】全中再興(3)2025年7月30日
-
能登半島地震の支払い共済金 1519億円に 7月25日時点 JA共済連2025年7月30日
-
女性当選者過去最多を喜ぶのはまだ早い【小松泰信・地方の眼力】2025年7月30日
-
令和7年度3-R苗植え体験会開く JA全農広島県本部2025年7月30日
-
「岡山白桃フェア」岡山県内の直営飲食店舗で開催 JA全農2025年7月30日
-
「岡山県産夏野菜フェア」岡山県内の直営飲食2店舗で開催 JA全農2025年7月30日
-
JAたまな、夏芽アスパラガスの出荷順調 しっかりした食感と甘みが好評2025年7月30日
-
秋元真夏の「ゆるふわたいむ」兵庫県産「たじまピーマン」を収穫 JAタウン2025年7月30日
-
秋元真夏の「ゆるふわたいむ」JAたじまのあぐりキッズスクールに参加 JAタウン2025年7月30日
-
【スマート農業の風】(17)ドローンだけがスマート農業じゃない!水田用自動給水機とパワースーツの実力2025年7月30日
-
簡単操作とメンテナンス性で低コスト農業を支援 シンプル田植機「LD6」「LD8」発売 三菱マヒンドラ農機2025年7月30日
-
楽刈機能で作業を簡単に 2条刈りコンバインの新製品「XC217/220」 三菱マヒンドラ農機2025年7月30日
-
きれいに仕上がる植付、安心・安全機能も充実 使いやすさを追求した4条田植機「LD4」新発売 三菱マヒンドラ農機2025年7月30日
-
安全性検査クリアの農業機械 1機種1型式を公表 農研機構2025年7月30日
-
カンキツの階段畑用に改良 傾斜地向け「片側S.マルチ」開発 農研機構2025年7月30日
-
新安全性検査で初 安全性検査クリアの農業機械 2機種39型式を公表 農研機構2025年7月30日