将来の事業基盤構築に向け取組強化 貿易保険、農薬散布用ドローン保険を開発 JA共済連29年度事業計画2017年3月23日
JA共済連は「平成29年度のJA共済事業計画」を決定した。併せてこの4月から農業者向けの新たな保障を展開することも明らかにした。
JA共済では、平成28年度から30年度までのJA共済3か年計画で「地域に広げる助け合いの心―くらしと営農を支えるJA共済―」をスローガンに、25年度から27年度の3か年計画から引き継いだ課題や、農協改革およびJAグループの自己改革を踏まえた新たな課題に対応しながら、確実に前進していくための実践事項に取り組んでいるが、29年度は現行の3か年計画」の中間年度として、3つの基本方針を定め実践に取り組んで行くことにしている。
事業計画では、現在の状況を、「日本銀行の金融政策による金利低下等に伴い、事業推進や資金運用に大きな影響が生じて」いるが、「JA共済3か年計画」の中間年度として、これを「着実に実践する必要がある」とし、以下の3つの基本方針を掲げている。
◎基本方針1:将来の事業基盤構築に向けた生命共済を中心とする保障性仕組みの取組強化
▽将来を見据えた事業基盤構築に向け、タブレット型端末機(Lablet's)を活用した推進活動や訪問・保全活動により接点拡充を図り、仕組改訂・セットプランを活用して保障性仕組みの取組みを強化する。
◎基本方針2:共済事業としての自己改革への取組強化
▽JAの地域活性化・農業経営に貢献する取組みを後押しするため、県域ごとの独自施策の展開促進や農業リスク分野への更なる取組強化を図る。
▽JAによる自己改革の着実な実践に資するため、JA指導・サポート部門による普及推進と事務指導が連携した総合的なJA支援の実現や、ペーパーレス・キャッシュレス手続きの定着によるJAの事務負荷軽減に取り組む。
◎基本方針3:マイナス金利等による影響を踏まえた健全性の確保
▽資金運用・利差収支への影響に対処するため、弾力的な資金配分等による運用益確保および長期的な視点に立った利差収支改善に取り組む。
▽将来的な巨大災害リスクが高まるなかで永続的に共済責任を全うするため、再保険によるリスク移転等により支払担保力の更なる強化に取り組む。
これを受けて、JA共済連では、農業リスク事業およびJA支援の専門部署を設置することにしている(別掲)
◆輸出代金の回収不能に「貿易保険」新設
この4月からJA共済連と共栄火災が、新たに保障するのは、農業経営の大規模化・多角化や農業技術の進展等、農業を取り巻く環境変化に伴い、組合員・農業者を取り巻くリスクが増大・多様化していることから、貿易保険と農薬散布用ドローン総合保険を新たな保障として展開する。
貿易保険は、(独法)日本貿易保険との業務委託契約を締結することでJA共済連は、日本貿易保険の提携金融機関として、農家組合員やJAに対して、日本貿易保険の保険商品を10%割り引いた保険料で提供することが可能となる。
この貿易保険(中小企業・農林水産業輸出代金保険)の保障概要は、
▽農家組合員やJAが輸出を行った農産物・加工品等について、海外の取引先の財務状況悪化等により代金が回収できなかった場合に、農家組合員やJAが被る損害を保障する。
▽輸出先国における政情不安や輸入制限によって、輸出を行った農家組合員やJAが代金を回収することができずに被った損害を保障する。
というもので、引受保険会社は、(独法)日本貿易保険。なお、日本貿易保険は貿易保険法に基づき、政府が100%出資および再保険を行っている独立行政法人だが、平成29年4月1日に株式会社化し、「株式会社日本貿易保険」となる。
農産物および農産加工品の輸出には、1)輸出途中の損害(輸送中に腐敗等による損害)、2)海外消費者への損害賠償(輸出した加工品による食中毒・異物混入)、3)売掛金回収不能(海外取引先の財務状況悪化等による売掛金が回収不能)の3つのリスクが考えられる。JA共済では、1)は「外航貨物海上保険」(共栄火災)、2)はJA共済連「海外PL」保障制度(共栄火災)がすでにあり、今回の「貿易保険」で、この3つのリスクすべてに対応することになる。
◆農薬散布用ドローン総合保険
農業技術の進展に伴い、農薬の散布等において、ドローンを活用する農業者が増加傾向にあるが、ドローンの操作誤りによって、ドローン本体の損害だけでなく、農薬飛散や他人にケガを負わせる等の損害賠償義務を負うケースも懸念される。このようなケースに備え、農薬散布用ドローンにかかるリスクを包括的に保障する仕組みだ。
保障概要は、
▽農薬散布用ドローンの墜落・接触・盗難等によって、ドローン機体自体に生じた損害を保障する。
▽農薬散布用ドローンによる農薬飛散や接触事故等によって生じた他人への身体・財物への賠償損害を保障する。
そのことで、農薬散布用ドローンの使用に伴い生じるリスクを、包括的に保障することが可能となる。また、契約加入後の事故の有無によって、契約期間ごとにドローン機体自体の保障に関する保険料の割引・割増を行うため、事故の少ない契約者に対しては、低廉な保険料負担での保障が可能となる。
引受保険会社は、共栄火災海上保険(株)。
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