農林水産業者の所得向上へ、コンサルティングや輸出促進策を積極化 農林中金2024年11月20日
農林中金は2024年度上半期業績で農業融資新規実行額が減少したが、今後は農林水産業者の所得向上に向けて、担い手向けのコンサルティング活動や輸出促進などへの取り組みを積極的に進める。奥和登理事長は「四半世紀ぶりの食料・農業・農村基本法改正もあり、食料安全保障などにも関心が高まっている。金融だけでなく非金融も含めて農林水産業が持続可能であるように貢献したい」と意欲を見せた。
24年度上半期のJAバンクの農業融資新規実行額は前年同期比で約7%減の4017億円、農業関連融資残高も1.5%減の2兆6335億円となった。生産資材価格の高止まりや夏場の高温被害など担い手の投資マインド低下から資金需要が減少したためだ。しかし、JAバンク中期戦略で重点とした「出向く活動」や「大規模経営体へのアプローチ」により、農業法人取引者数は744社増の1万4835社に拡大するなど「相応の実績を確保した」としている。
グループ会社のアグリビジネス投資育成を通じた農林漁業法人・食農関連企業への出資は24年9月末時点で累計726件・164億円となり、前年同期比で7件・4億円増えた。出資金額の内訳は農林漁業法人119億円、食農関連企業45億円。
出資事例では徳島県海陽町でスマート牡蛎養殖に取り組むリブルに対して、アグリビジネス投資育成が投資を実行。効率的な稚貝生産技術の開発や養殖手法の導入、生産プロセスの可視化といった生産改革により水産業が抱える人材不足などの課題解決に取り組んでいる。日本政策金融公庫などのネットワークも活用して成長支援を後押しする方針だ。
JAバンクの担い手コンサルティング活動では、宮城県白石市の養鶏業、竹鶏ファームに対して22年度から実施。販売先に対する単価改定ルールの設定、有望先の選定方法、コスト削減策などを提案している。提案後1年超で進捗があり、適切な価格改定などによる収支改善、経営安定化といった効果が出ている。
輸出促進は海外の提携銀行と連携し、JAグループ一丸となった輸出促進に取り組んでいる。
香港の商業銀行、大新金融集団とは22年7月に業務提携し、グレーターベイエリア(香港・マカオ・広東省の3地域の呼称)において日本の食品・農林水産物の輸出促進で連携している。同集団の顧客網を活用し、スーパーマーケットなど香港現地企業とJA全農グループとの橋渡しを行い、販路拡大を支援している。
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日