近江米新品種「きらみずき」11月2日から順次販売開始 滋賀県2024年10月30日
滋賀県では、2023年にデビューした近江米の新品種「きらみずき」の販売がスタート。11月2日から順次、滋賀県内と京阪神地域の量販店・生協で販売する

「きらみずき」は、滋賀県農業技術振興センターにて育成された新品種。農薬や化学肥料を極力使わない「環境こだわり栽培」で栽培されており、県域でここまで厳しい栽培基準を設けた米としては全国初という点でも注目を集めた。
デビュー2年目となる今年、生産者数は令和5年度の74人から令和6年度は272人に増加。また、販売初年度の2023年は、栽培面積55ヘクタール、生産量約200トンで、ほとんどが滋賀県内のみの販売だったが、今年は、栽培面積192ヘクタール、生産量800~1000トンと、生産量も約4倍となる見込みで、「きらみずき」の本格生産に力を入れている。
「きらみずき」は、大粒でしっかりとした食感、すっきりとした瑞々しい甘さが特長で、噛むほどに甘さが広がる。粒が大きいことから丼物にも合うほか、洋食、肉料理など幅広い料理との相性が抜群。食味官能検査においても、「コシヒカリ」と同等以上の数値が出るなど高い評価を得ている。
自然と共生する「環境こだわり農業」
世界有数の古代湖、琵琶湖を擁し、多くの河川や山々に恵まれた滋賀県では、1000年以上に渡って受け継がれる自然と共生する農業を進め、琵琶湖やその周辺環境を守るため、農薬や化学肥料をなるべく使わない、人や環境にやさしい「環境こだわり農業」を推進。環境保全型農業の取組面積の割合は、滋賀県が全国トップとなっている。
「きらみずき」の生産方法は、化学肥料や殺虫・殺菌剤を使用しない栽培とオーガニック栽培がある。滋賀県では今後、「きらみずき」の生産拡大の推進により多くの生産者にオーガニック栽培に取り組んでもらい、滋賀県産オーガニック米生産量の底上げを図る。
一方、オーガニック米の需要はあるが、生産量が少なく、生産者個人での販売が多いことから、まとまった量での安定した取引が課題となっている。こうした背景の中、今年は、オーガニック「きらみずき」の生産から販売まで協力する生産者グループ「近江オーガニックライス研究会」が発足。生産者が協力して生産から販売まで手がけることで、オーガニック米の安定した取引をめざす。
滋賀県では、世界農業遺産にも登録された「琵琶湖システム」の取り組みの一つ「魚のゆりかご水田プロジェクト」にも注力している。「魚のゆりかご水田米」は、琵琶湖から田んぼに遡上してきた魚が、産卵し魚の子どもが成育するのに適した環境の水田で育てられた減農薬・減化学肥料の米。この「魚のゆりかご水田」の一部でも、「きらみずき」が栽培されている。
琵琶湖を拠点に活動する生物採集系YouTuber「マーシーさん」がプロジェクトについて紹介する動画も公開中。
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