【インタビュー 馬場利彦JA全中専務理事】「対話」基本に前に進もう(3)2020年9月9日
8月20日に就任した馬場利彦専務に抱負などを聞いた。自己改革や地域農業振興、持続可能な経営基盤の確立などがJAの課題だが、取り組みの基本は「組合員との対話」だと強調する。
売れ残らない米づくりを
次代がつくる農協運動へ
--改めて対話に基づく地域営農ビジョンの実践について現場ではどう取り組む必要があるでしょうか。
地域営農ビジョンは手段であり組合員が一緒になって、たとえば機械の共同利用をしながらこの品目をこれだけ生産拡大していこう、それがこの地域の農業に必要だということを考えてもらうということです。そのベースは集落座談会から始まるわけで、組合員自身が当事者としてそうした話し合いを動かしていくことが大事です。そのためにJAの職員は地域の課題や、課題解決の方法を提案しなければなりません。基本計画をきっかけに、地域営農ビジョンや地域の農業振興の計画づくりを通じて目標を共有化することが大事です。例えば生産努力目標を地域でどうするかをみんなで考える。「もうこれしかない」となるまでみんなで考えてもらって話し合って決めるということです。
売れ残らないコメづくりを
米は生産数量目標の配分から「目安」に変わったわけですが、需要が減っているのに2年産の主食用米は前年並みの作付けという傾向になっています。その結果、どうなるかというと売れ残りが出ます。何のために「目安」に変えたかといえば「売れるコメづくり」のためというより「売れ残らないコメづくり」の目安だったはずです。それが作りすぎとなれば、在庫が増え、価格は下がる。そうしたことをしっかり発信して生産者と共有しなければなりません。
少し観点を変えていうと、もう一度、自分たちで農協をつくろうということだとも思います。われわれの父親世代は合併を含めて、今の農業協同組合を作ってきた世代であり、われわれはそれを親を通して知っていますが、次の世代にとって農協はすでにあるものという感覚があるのではないか。協同活動をするということはどういうことかも考えてもらうことが必要で、そのことによって協同組合の良さも分かると思います。その取り組みも求められている時期だと思います。
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