高齢社会進展でサポート事業に活路 ヤマト運輸に学ぶ③ 地域交流がキーワード【全中・ミライ共創プロジェクト研修】2023年12月14日
JA全中教育部は、11月7、8の両日、ミライ共創プロジェクトの第3セッションを東京都町田市で開いた。ヤマト運輸が「暮らしのために、できること、いろいろ」をコンセプトに展開している社会課題解決ビジネスを学んだ。少子高齢化が進むなかでJA事業のヒントにもなりそうだ。
高齢社会進展でサポート事業に活路 ヤマト運輸に学ぶ② から続く
団地内を見学
しかし、人口減のほか、企業から企業への配送が増え同社は営業所を集約するなど事業拠点の見直しのなかで、地域コミュニティーをキーワードにしたビジネスモデルを検討してきた。
そのなかで見守りサービスは、新しい地域社会を考えながらふさわしいサービスを考えるという点で注目されるとの指摘が研修のなかであった。JAも地域活性化を課題としているが、農業振興ビジョンと同じようなグランドデザインを持って事業を構想していくことが求められている。
JA事業との相関点グループ討議
グループ討議
JA事業との関連を念頭に研修ではヤマト運輸の事業をどう考えるべきかディスカッションした。以下にグループ討議の結果などをまとめる。
◇
〈グループ①〉
▽2024年物流問題は目前に迫っており運送業を取り巻く環境は厳しい。JAにとっても運送業務は欠かせず他人事ではない。収益性を上げるため拠点を削減する一方、余った拠点をどう活用するかという課題があると考えた。ネコサポはそのための活用法としても考えられていると思い、企業イメージを高めることにもなる。
▽JAにとっても今まである施設を有効に使っていくことも課題だ。
▽全国展開の事業にするには「介護」という共通のテーマを設定し、それだけではカバーできないサービスを提供していくことで可能になる余地はあるのではないか。
〈グループ②〉
▽ネコサポは社会のこの先を考えた事業だと思う。これから先は人口が減少し、自動運転やAIも進んでいくなか機械にできることは機械にやらせて、人にしかできないことをヤマト運輸はめざすということではないか。町田市や多摩市の団地に住む住人が高齢化し、さらに一人暮らしも増えていくとき、孤独感を感じている人の心を動かせるような事業に投資していこうということではないか。現在は利益は出ていないが企業価値を高めるための投資でもあり、利用者に対して価値を共感してもらう。それができれば全国展開も可能ではないか。
▽地域の課題を解決するという目的であれば単体の企業だけでなく行政との連携も必要ではないか。行政にはこうした生活支援サービスを必要としている人を集めてもらい、そこに企業がサービスを提供する。さまざまな企業と提携すればサービスも広がる。ただし、価値観を共有する必要がある。
〈グループ③〉
▽ネコサポへの取り組みの背景には、人口減少で宅配事業は頭打ちということがあるのではないか。宅配から宅配先の生活関連事業への取り組みとして発展させるため、宅配事業で得たビッグデータを活用して投資をするという判断があったと考えられる。
▽その結果、生活関連事業を行うことでその地域の住民の暮らしが向上し、メルカリ教室を開くなどで宅配便の利用増にもつながるというサイクルができていると思う。
▽ネコサポの全国展開には、高齢者の生活支援という面だけでなく、終活相談や遺品、遺産の整理、清掃など新しい事業が必要ではないか。また、既存の施設の利用という観点からの宅配事業所での併設だけでなく、商店街や大規模商業施設などニーズに合わせた開設も必要になるのではないか。
重要な記事
最新の記事
-
(382)「ファミリー・ビジネス」の生き残り【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年5月3日
-
むらの掟【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第289回2024年5月2日
-
主食用多収品種の「にじのきらめき」が人気になる理由【熊野孝文・米マーケット情報】2024年4月30日
-
令和6年春の叙勲 5人が受章(農水省関係)2024年4月29日
-
シンとんぼ(90)みどりの食料システム戦略対応 現場はどう動くべきか(1)2024年4月27日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(8)【防除学習帖】 第247回2024年4月27日
-
土壌診断の基礎知識(17)【今さら聞けない営農情報】第247回2024年4月27日
-
【欧米の農政転換と農民運動】環境重視と自由化の矛盾 イギリス農民の怒りの正体と運動の行方(2)駒澤大学名誉教授 溝手芳計氏2024年4月26日
-
【注意報】麦類に赤かび病 県内全域で多発のおそれ 佐賀県2024年4月26日
-
【注意報】麦類に赤かび病 県内で多発のおそれ 熊本県2024年4月26日
-
【注意報】核果類にナシヒメシンクイ 県内全域で多発のおそれ 埼玉県2024年4月26日
-
【注意報】ムギ類に赤かび病 県内全域で多発のおそれ 愛知県2024年4月26日
-
「沖縄県産パインアップルフェア」銀座の直営飲食店舗で開催 JA全農2024年4月26日
-
「みのりカフェ博多店」24日から「開業3周年記念フェア」開催 JA全農2024年4月26日
-
「菊池水田ごぼう」が収穫最盛期を迎える JA菊池2024年4月26日
-
「JAタウンのうた」MV公開 公式応援大使・根本凪が歌とダンスで産地を応援2024年4月26日
-
中堅職員が新事業を提案 全中教育部「ミライ共創プロジェクト」成果発表2024年4月26日
-
子実用トウモロコシ 生産引き上げ困難 坂本農相2024年4月26日
-
(381)20代6割、30代5割、40/50代4割【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年4月26日
-
【JA人事】JA北つくば(茨城県)新組合長に川津修氏(4月20日)2024年4月26日