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特集:第3回全国集落営農サミット

2018.12.27 
【第3回全国集落営農サミット】地域農業の持続へ 経営戦略の策定を一覧へ

・集落営農発展の道探る

 JA全中は12月11日、12日の2日間、東京都内で第3回集落営農サミットを開いた。今回のテーマは「わが組織の未来を描くために」。集落営農の持続は農業生産のみならず、地域の住民が心豊かに暮らし、次世代につなげていくために不可欠な取り組みである。そのため今回のサミットでは集落営農組織の経営戦略・経営計画策定の意義について研究者らから学び参加者で討議した。同サミットの報告・講義概要を紹介する。

◆経営の中身考えよう

JA全中の肱岡弘典常務 JA全中の肱岡弘典常務は主催者あいさつで、農業の現場では課題山積との声も聞くが、地域から展望を拓くことが求められており「徹底して議論し、3年後、5年後のあるべき姿を思い描き計画を立てることが重要だ」と強調した。
 来年3月の第28回JA全国大会議案では地域農業の将来像をJA支店単位で描く方針を打ち出しており、集落営農の組織化・法人化・広域連携の取り組みも基本方向に掲げる。農地の利用調整、農機の導入、兼業農家を含めた労働力の確保など、地域での徹底した話し合いをもとに集落営農の組織化を引き続き促進するとともに、すでにある集落営農組織の経営安定と広域連携などの支援にもJAは取り組む。
 営農指導でも集落営農などの法人も含め経営分析、戦略策定、経営計画策定まで含めた農業経営コンサル機能を強化することにしている。
 また肱岡常務は農政課題として農地中間管理事業の5年後見直しにともない、農地の集積・集約化を加速化させる観点から人・農地プランへの取り組みが改めて求められる情勢になっていることを指摘し、JAグループが取り組んできた「地域営農ビジョンの再起動が必要になっている」として集落営農組織への期待も語った。

(写真)JA全中の肱岡弘典常務

 

広島大学大学院の小林元助教 広島大学大学院の小林元助教は集落営農の課題と今回のサミットの目的について解説した。
 地域の農地、農業を守っていこうと組織化されてきた集落営農は地域の実情に応じて経営の高度化とともに、地域再生や広域での組織再編などに取り組んできた。しかし、人手不足や高齢化は進行し新たな担い手の確保や、米政策の見直しにともなう経営の多角化、高度化なども求められている。小林氏は「集落営農はつくって終わりではない。地域を磨き続けることが必要」だとして、今回のサミットでは「集落営農の経営について真剣に考え全国の仲間と共有、次の発展につなげてほしい」と話した。

(写真)小林元助教

 

◆地域内で話し合い推進 ニーズの変化捉え生産

農林水産省経営局の依田學経営政策課長 農林水産省経営局の依田學経営政策課長は「農地の担い手への集積・集約化に向けた取り組み状況について」を解説した。29年度の担い手への農地集積状況は4.1万ha増加しシェアは55.2%となった。35年の集積シェア8割に達成に向けてさらなる加速化が必要となっている。農地集積の傾向を分析すると集落営農の取り組みや水田率、基盤整備率が高いほど集積率は高い。一方、大都市圏を抱える関東・東海・近畿や、中山間地域を多く抱える地域(中四国)の集積率は総じて低いという結果になっている。
 集積を進めるため地域農業の将来展望を描く人・農地プランを各地で作成しているが、農地の出し手が明確でないプランが多く、今後は地域で集約化にむけた方針を共有することや、農業者の話し合いに農業委員らが参加することも制度化する。
 集落営農については法人化の推進や、経営の多角化のための6次産業化の推進などが必要だと話した。

(写真)依田學経営政策課長

 

JA全農営業開発部の寺嶋晋上席主管 JA全農営業開発部の寺嶋晋上席主管は「実需サイドからみた今売れるモノについて」を話した。現在はマスマーケットは縮小し、志向が多様化。それに対応して提供手段を変えていかなければならないと指摘。たとえば野菜の消費は年々減っているが、サラダの購入金額は伸び続けており、カット野菜としての提供が求められている。今後は煮物など加熱野菜のニーズも伸びが見られ、ボイルやスチームなどの技術革新に注目する必要があるという。
 米も同様にカレーやチャーハンと寿司は求められる米が違い、さらに春巻きや麺など、さまざまな加工品でも麦では応えられず米が必要になる。
 こうしたニーズの変化にはチームをつくることが必要でJA全農営業開発部はサプライチェーンからバリューチェーンへの発展をめざす。それは生産、販売、流通それぞれが、これまでの役割を超えたところまで入り込んで一緒になって商品価値を高めることだという。
 それはストーリーのある商品開発であり、誰がどこでどうやって原材料を作っているのかに始まり、歴史や風土なども背景に生活者が語りたくなるような物語としての商品づくりである。こうした取り組みを通じて、農村地域を活性化し日本の生産基盤を育て、都市の消費者のより豊かな生活を支えることをめざすと強調した。

(写真)寺嶋晋上席主管

 

農業経営コンサルタントで税理士の森剛一氏 そのほか、農業経営コンサルタントで税理士の森剛一氏による「集落営農法人が留意したい税務ポイント」、特定社会保険労務士の入来院重宏氏による「集落営農組織が留意すべき労務管理について」の講義がそれぞれあった。
 森氏は消費税率引き上げと軽減税率の導入などを解説。農畜産物では、たとえば主食用米、生乳は軽減税率(8%)の対象品目となるが、飼料用米や種もみ、子牛や経産牛などは対象外(10%)となることや、集落営農法人の消費税還付のメリットなどについて話した。また、集落営農法人の広域再編の場合の組織形態のあり方なども解説した。

(写真)森剛一氏

 

特定社会保険労務士の入来院重宏氏 入来院氏は労働基準法と農業について解説し、農業には、その特質から労働基準法の適用除外事項もあるが「農業は休日は少なくていい」などと誤った運用をしないよう、十分に留意しなければならず、労働基準法で定める基準は労働条件の最低基準であり、農業だからこれを下回っていいはずがないことなどを指摘した。

(写真)特定社会保険労務士の入来院重宏氏

 

 

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