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JAの活動:持続可能な社会を目指して 希望は農協運動にある

【特集:希望は農協運動にある】対談:萬代宣雄JAしまね元組合長×村田武九大名誉教授 「協同組合教育 高まる重要性」(1)2020年11月19日

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農協の先人の多くは、自ら農業を営みながら、いかに住みよい地域をつくるかに腐心してきた。しかし今日、地域における農業の重みが減り、JAの事業の拡大もあって、組合員との距離ができた。元JAしまね組合長の萬代宣雄氏は、政治家を含め、JA役職員も、農業への思い、食料の重要性への認識が希薄になったことを危惧し、特に協同組合教育の重要性を強調する。この対談では、村田武・九州大学名誉教授に萬代氏の農業・JAへの思いを引き出してもらった。

農業、農村守る指導者を 萬代氏


萬代宣雄JAしまね元組合長萬代宣雄
元JAしまね組合長
新世紀JA研究会名誉代表

農業守る気概が希薄

村田 評論家の内橋克人氏は「FEC(フェック)自給圏」を唱え、食と農・エネルギー・ケア(介護、医療、福祉、人間関係のすべて)の地域内自給の必要性を強調されています。自ら仕事を起こし、それで得たお金を地域で回そうという考えです。地方では、その中心になるのは第1次産業です。いま地方で生活インフラを支えているのは農協です。萬代さんは島根県で1県1JAを実現されましたが、これから農協はどのような役割を果たしたらよいと考えていますか。

萬代 日本の農業は、経営規模や生産費、労働力などからみても、国際競争に勝てるはずがありません。国は自給率45%を目指すと言っていますが、結果的に数字は悪くなる一方です。その原因の究明が必要です。

食料自給がいかに重要かということは、スイスの例を見ていただきたい。近隣の大国と争い、食料が自由に輸入できなくなった苦い経験があり、今は国策として、子どもの時から食料の大切さを教えています。

日本は戦中・戦後の一時期を除き、深刻な食料不足になったことはありません。それどころか、今はあり余るほどあり、国民は食料のありがたさを実感できないでいます。国会議員にこの問題を投げかけても反応はなく、特に都会出身の議員にとっては、議論のテーマにもなりません。関心事は選挙で、食料問題は票にならないと考えているのでしょう。さみしい限りです。政府は真剣に考えてもらいたいものです。

今の農業政策は、地域に根差していない学者や政治家などが、経済性だけで考えています。その結果、全中は必要ない、として監査機能を剥奪してしまいました。もともと全中は国がつくった組織であり、本来は農水省が守らなければならないにもかかわらず、官邸と一緒になって、つぶしにかかっています。けしからんことです。

日本の農業に大きな影響を与える種子法にしても、わずか5、6時間の国会審議で廃止してしまいました。国会議員に聞いても、議論していないから、廃止がどのような意味を持つか分からないと言っています。万事がこの調子です。一連の政府の農協攻撃で農協が目覚め、改めて危機意識を持ったという面はありますが、真に農業、農村を守ろうとする気概が、全体に希薄になっているのではないかと心配しています。

村田 食料自給率38%と言われても米は余っているので、国民の多くはピンとこないかも知れませんね。自給率に関しては、畜産の飼料自給率が低いことに問題があります。かつての日本の畜産は牧野を利用した繁殖・肉用牛、あるいは水田酪農であって、飼料は地域で自給していました。飼料用米を始め、麦や大豆を作り、水田利用率を高めるべきだと思います。飼料自給率がアップすると総合自給率は確実に高まります。

多様な経営の共存を

萬代 いまの日本の農政には二つの方向があると考えています。自由主義経済のなかで、我々が生産費の保障を主張しても、一般国民にはなかなか理解してもらえないでしょう。従って、海外と競争できるくらいの経営を育てることは必要です。日本でも米で20~30haの経営、牛の多頭飼育はなんとか成り立っています。

しかし多面的機能を発揮しながら、地域を守る小規模経営も重要です。つまり専業と兼業農家の機能をきちんと分けて育てるべきです。特に兼業農家の育成については農林予算だけでなく、例えば環境省や国交省あたりの予算を組み合わせ、地域を守る対策が必要だと考えます。

村田 地域にしっかり足をおろした対策を考えることが重要だということですね。

萬代 そうです。地域を守る農家は、兼業でも副業、あるいは年金プラス農業でもいいのです。このまま経済合理主義の考えでいくと、田舎が本当になくなってしまいます。

沖縄の離島の例ですが、いまはサトウキビの生産に補助金を出しているので島に人が住んでいますが、サトウキビがなくなると人がいなくなり、外国人が来ても分からなくなりますよ。島はサトウキビ農家が門番をしているようなものです。同じことが地域でもいえます。専業・兼業を含め、所得は少なくても地域を守ることのできる環境を、それぞれ地域の実情に合わせてつくらないとだめです。

村田 今回のコロナ禍をみると、可能な限り地域で自給する「地域循環共生圏」の考えが必要です。内橋さんのFEC自給圏と同じです。過疎地から下りてこいという集落再編成ではだめです。それではイノシシや鹿の進出を防ぐことができなくなります。

萬代 地域で生まれ育った人は、その地域に対する愛があります。そこで生活できるように支えることが行政や農協の役割です。

村田 愛媛県西予市の野村地区では、(株)百姓百品という農業生産法人が、松山にあるコープ愛媛の店舗で「百姓百品コーナー」を開いて、地域の高齢者の野菜作りを応援しています。100戸を超える高齢農家に年間150万円を超える農業所得をもたらしており、村で頑張ろうという気にさせています。

それをみても、高齢農家が定住するには、国民年金6万円を最低でも10万円にしてほしいと思います。


対談:萬代宣雄JAしまね元組合長×村田武九大名誉教授 「協同組合教育 高まる重要性」(2)

村田武 九州大学名誉教授


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