JAの活動:全国集落営農サミット
【全国集落営農サミット】〈事例発表1〉定年制で次世代に経営感覚2022年2月10日
「次世代につなぐ集落営農の実践」をテーマにした第6回全国集落営農サミットでは、山形県白鷹町の(株)サンファームしらたか代表取締役の小口 尚司氏が世代交代の取り組みを発表した。
サンファームしらたか
代表取締役
小口 尚司氏
後継者が育つ夢ある産業に
山形県白鷹町で、経営面積89・7haで水稲をはじめ、転作作物やメロン、啓翁桜などを生産している。当初、若い力で農業を変えたいという想いの具体化として、1992(平成4)年に地区の農家の後継者6人で稲作組合を設立して水稲育苗を行うなど、共同による取り組みを進めていた。水田のほ場整備事業を契機に、法人化の検討が進められ、1998(平成10)年に農事組合法人サンファームしらたかを設立した。
法人化に際し、法人が世代を超えて永続的に発展することを目指し、合理的、効率的な労働による休日確保などゆとりある労働体制や、従業員相互の協調による経営発展への挑戦、後継者が育つ夢ある産業の確立をめざすことを経営方針に掲げた。
法人設立後23年間で経営規模は約2倍となり、売り上げは約3倍まで拡大し、安定した利益を確保している。また、県内トップクラスの米生産の効率化を実現し、週休2日制の実現や、町役場並みの給与水準で年2回の賞与も確保している。地域との共生により、農地集積・規模拡大が図られ、作業の効率化・低コスト化と売り上げ確保が可能となる。これにより、安定した経営とゆとりが創出され、新たな雇用も確保できることで、地域からの信頼が向上し、一層の地域共生につながるという好循環を実現したと感じている。
しかし、「設立時の理事がある一定の年齢に達すると現状に満足して経営の発展を妨げるのではないか」、「いつまでも今の理事がいると若い社員の成長やモチベーションアップを阻害するのではないか」と議論するようになり、世代交代の重要性を共有するようになった。こうしたなかで、円滑な世代交代に向けた取り組みとして「役職員定年制(役職員65歳定年、70歳での臨時雇用終了)」を導入した。設立時の理事全員が、年を追うごとに「自分たちだけの法人ではない」という意識が芽生え、いつかは潔く法人を離れることを自覚していたと思う。
そして2021(令和3)年に株式会社に組織変更した。事業上の制約や意思決定のスピード感など農事組合法人の限界はこれまでも議論していたが、役職員定年制により設立時の理事4人が退職するタイミングで創設メンバーの子弟2人を役員に選任するということもあり、若い役職員が自由に事業を行える環境を作ろうと考えた。
経営感覚を磨く
新体制の組織では、若い役員を事業部長に配置するとともに、次世代の役職員が生産部門を担当し、生産計画から予算・人員配置・作業・販売・収支の把握・総括検証までの一連の事業管理を行っている。役職員のスキルを高めるため月例会で業務の進捗(しんちょく)管理と1カ月の計画を打ち合わせているほか、税理士による決算書に基づいた経営分析と改善策の勉強会も開いている。次世代に経営の責任や権限を付与することで、将来の役員としての経営スキルを高め、経営発展を目指す。
10年間の経営計画を昨年2月に策定。今までの事業にとらわれず若い役職員が何度も議論を重ね「農業の未来へ挑戦」を新経営理念とし、売り上げ2億円、スマート農業への挑戦などの経営方針を掲げた。今後は次世代の若い役職員を支えていくことが使命であり、両親をはじめ地域の先輩方への恩返しだ。
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