【アメリカ大統領選2016】国民の結束か 既成政治打破か(上)2016年8月8日
国民の判断世界が注目
萩原伸次郎横浜国立大学名誉教授
米国大統領の候補が7月に正式に決まった。共和党は大方の当初予想をくつがえし、ドナルド・トランプ氏が党大会で正式に候補に選ばれた。民主党はヒラリー・クリントン氏が候補となったが、既成の政治経済勢力を批判し若者を中心に最後まで選挙戦を戦ったサンダース候補に苦しめられた。いよいよ11月の本選挙に向け、来年1月からのホワイトハウスの主を決める選挙戦が始まる。この問題を節目節目に分析してもらってきた萩原伸次郎横浜国大名誉教授に再び解説してもらった。
◆異例の全国党大会
2016年11月に一般投票が行われる米国大統領選挙に臨む民主、共和両党からの候補者が決定した。共和党は、オハイオ州クリーブランドで7月18日から21日まで全国大会を開催し、実業家ドナルド・トランプが、獲得代議員の圧倒的多数を背景に選出された。
その数日後、25日から28日まで、民主党大会がペンシルベニア州フィラデルフィアで開催され、やはりヒラリー・クリントン前国務長官が選出された。
◆共和党 主流派が欠席
両党の全国大会では、しかし、いずれも前例にない異常事態が発生した。まず共和党は、歴代の大統領職を務めたブッシュ一族が大会をボイコットし、親子ともども誰も出席しなかった。また4年前に共和党から大統領候補に指名され、オバマ現大統領と争ったミット・ロムニーも共和党ドナルド・トランプを支持せず、いかなる政府機能も認めない極端な自由放任主義を党是とするリバータリアン党から立候補する元ニューメキシコ州知事ゲーリー・ジョンソンを支持するといって出席しなかった。
また、最後までドナルド・トランプと指名を争ったティー・パーティーの急先鋒テッド・クルーズは、大会3日目の20日に登場し、「指名を獲得したトランプ氏を祝福する」と切りだして演説を始めたのはいいのだが、いつになっても「トランプ支持の表明がなく」会場から「トランプ! トランプ!」と催促される始末で、挙句の果てには会場から大ブーイングが起きる事態だった。
◆TPP反対のトランプ
こうした状況が引き起こされたのは、これまでまったく政治経験のない実業家のドナルド・トランプが、かつての共和党主流派の政治戦略を派手な立ち振る舞いでこき下ろし、ブッシュのイラク戦争は間違いだったとか、グローバリズムへは懐疑主義的スタンスをとり、労働者の利益にならないTPPには反対するという今までの共和党では考えもつかない姿勢を当然のごとく主張する「扇動ぶり」に、共和党主流派は、とてもついていけないということがその背景にあるのだろう。だから下院議長のポール・ライアンは、トランプ支持とは言ってはいるが、どこまで信頼しているかははなはだ疑問なのだ。
【アメリカ大統領選2016】国民の結束か 既成政治打破か (上) (下)
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