安倍首相、TPP重要品目の扱いは交渉次第2013年6月7日
JA全中は6月6日の理事会にTPPをめぐる情勢を報告した。国会の動きなどを整理してみる。
◆国会の動向
5月8日の参議院予算委員会。安倍首相は重要品目の扱いについて「現在これは絶対大丈夫だと申し上げることは残念ながらできない」と答弁し、すべては交渉のなかで決まっていくとの考えを改めて示した。
衆参の農林水産委員会はTPP交渉についての決議で、重要品目が守れない場合は交渉からの脱退も辞さないとしている。5月9日の参院農林水産委員会で林農相は日本の主張が受け入れられなかった場合の交渉脱退について「これはあってはならないこと」としながらも、「仮にそういう場合には、この決議をふまえながら判断する」と述べた。
ただ、TPP交渉は秘密交渉といわれ、そもそも交渉状況について国民への情報開示が問題になる。5月13日の参院予算委員会で甘利経済財政担当相(政府TPP対策本部長)はこの点について「条約文書そのものが出たりすると、即退場となりかねない」、「交渉に関わる内容は、参加国が公開に同意しない限り秘密扱いにするとの規定がある」などと述べた。山田俊男参院議員の質問への答弁。 一方、国会には食品表示を一元化する新食品表示法案が提出されているが、5月28日の衆院消費者問題特別委員会は「食品表示法案に対する付帯決議」を採択、そのなかで「環太平洋パートナーシップ協定の交渉に当たっては、遺伝子組み換え食品の表示など、食品表示を含め、消費者の安全・安心に資するため万全を期すこと」が盛り込まれた。
◆交渉参加国の動向
TPP交渉は第17回会合が5月15~24日にペルー(リマ)で開催された。ペルーのバスケス首席交渉官は記者会見で「知的所有権、競争、環境がもっとも難しい章として残り、市場アクセス(物品、サービス)、投資、政府調達ではさらに協議が必要」と発言。また、日本の交渉参加については「正式に参加手続きが終了しないと詳細な議論はできない」と述べるにとどめた。
米国は、関税交渉でNZ、ベトナム、マレーシア、ブルネイ、カナダと二国間交渉を行っている。米国内では07年に失効したままになっている大統領貿易促進権限(TPA)の再成立に向けた動きが出てきたという。大統領がTPAを与えられると、通商協定について内容の修正を求めずに、一括して承認するかしないかを議会に問うことができる。
TPAが成立すればオバマ大統領は議会から大きな権限を与えられることになり交渉合意に弾みがつくとの見方もある。ただし、民主・共和両党での協議が難航しているとの報道もあることから、JA全中では8月の米国議会休会前までにどのような動きあるか注視していく必要がある、としている。
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