農政:自給率38% どうするのか?この国のかたち -食料安全保障と農業協同組合の役割
【対談】韓国農協「農の価値」国民にアピール(3)2018年10月21日
<出席者>
キム・ビョンウォン韓国農協中央会会長
山田正彦元農林水産大臣
司会:ミン・スンキュ農林畜産食品部元副大臣
資材価格抑え市況リード
◆何事も「不狂不及」
キム また、農協の飼料工場は23か所にあります。世界の穀物価格は18%上昇し、本来なら農協も6月に価格を引き上げます。しかし農協は価格を引き上げず、そのまま年末まで持ち越すことにしました。すると面白いことが起きました。他の企業の半分が値上げせず、農家に90億円のコスト削減効果を生み出しました。また、値上げした企業から離れ農協に買い求める農業者が増えました。農協のシェア拡大も実現し農民に利益を与えることもできました。これこそ農協の役割であり、存在価値だと思います。
こうした取り組みには組織内外からの圧力が多くあります。しかし、農民のために一度「狂ってみよう」という考えの方が強いです。いわゆる、狂うほど無我夢中に没頭しないと成し遂げられない「不狂不及」の精神です。
(写真)山田正彦・元農林水産大臣
ミン 農協問題や食料、種子の問題など情報交換しましたが、韓国と日本はこうした共通の問題があります。提携して問題に当たりたいものです。
山田 日本でも農協のあり方で疑問を持っている人もいます。そうした人たちに会長から話していただく機会をつくりたいと思います。
キム 今回、日本を訪れてさまざまな人に会うことができました。千葉県の農家も大変印象的でした。日本の農業、農協は韓国よりはるかに進んでいます。文化や歴史、さらには農業・農協などにそれぞれの違いはあると思いますが互いに長所を学び合い、それぞれがシナジー効果を発揮することを期待したいと思います。
【対談を終えて】
韓国農協中央会のキム会長は韓国の全羅南道の1農協の組合長から立候補して全国農協のトップになり、1000万人署名、徹夜討論、生産資材引き下げなど、さまざまな新基軸を打ち出している。その姿勢は「不狂不及」という会長の言葉に象徴される。時には引っ張り、時には引っ張られ、対米FTAという同じ問題を抱えた日韓の農協が協力しあうには最も時宜を得た登場だといえるのではないだろうか。(編集部)
最新の記事
-
発電と営農を両立 荒廃農地再生にまちづくりも 市民エネルギーちば2023年3月30日
-
「国民のための基本法に」有機農業や農地、種子などめぐり意見交換 民間団体、学者と農水省職員2023年3月30日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】食料危機に立ち向かう作物科学~evidenceとfeasibility2023年3月30日
-
搾乳の機械化と規模拡大の進展【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第233回2023年3月30日
-
健診結果チェックを新たに提供 契約者サイトで JA共済連2023年3月30日
-
【人事異動】JA熊本経済連(4月1日付)2023年3月30日
-
鶴岡市など6市町 歴史的風致維持向上計画(2期)に認定 農水省など2023年3月30日
-
「春の茨城県産野菜フェア」アサヒブロイラー直営中食39店舗で開催 JA全農2023年3月30日
-
組合員数は延べ1億人強 預貯金は324兆円に 20年度JCA協同組合統計表2023年3月30日
-
新生活の新習慣に「ひょうごの野菜&お米セット」サブスク新登場 JA全農兵庫2023年3月30日
-
自転車ヘルメット着用安全性を検証 HP掲載 JA共済連2023年3月30日
-
「岐阜県産和牛とお米のフェア」東京・大阪で開催 JA全農2023年3月30日
-
「長崎和牛」、小玉すいか「うり坊」など20%OFF「もぐもぐながさき」年度末大決算セール開催中 JAタウン2023年3月30日
-
春野菜と全国各地のイチゴが集結「JA共済マルシェ」開催2023年3月30日
-
「農業経営計画策定支援システム」開発と社会実装へ 試行者を公募 農研機構2023年3月30日
-
しらかわ七酒 3年ぶり一堂 JA夢みなみ【ほっとピックアップ・JAの広報誌から】2023年3月30日
-
水素燃料電池搭載 環境にやさしい「電動ラジコン草刈り機」開発 ネクスティ エレクトロニクス2023年3月30日
-
メインは「ガッツリ」2022年人気レシピ5部門のベスト5発表 パルシステム2023年3月30日
-
「培養肉未来創造コンソーシアム」設立 大阪大学・島津製作所・伊藤ハム米久など5者2023年3月30日
-
特産の桃 春を迎え花満開「早生桃」栽培盛んな加茂地区で 兵庫県川西市2023年3月30日