「モノ」より「コト」を売る オタフクホールディングス 佐々木茂喜社長に聞く(1)お好み焼きで「団らん」2024年1月19日
原爆で焼け野原となった広島で生まれたソウルフードの「お好み焼」。鉄板と小麦粉、キャベツがあれば、安く簡単に作ることができ、復興に奮闘する人々の胃袋と心を満たした。オタフクソース(株)(広島市)の、お好み焼きに欠かせない「お好みソース」をメイン商品に、お好み焼き文化を全国に発信している。第12回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞(経済産業大臣賞)を獲得、「団らん」をキーワードに、社員を大切にする企業運営が評価された。オタフクホールディングス(株)の佐々木茂喜社長に聞いた。
お好み焼きで「団らん」
オタフクホールディングス社長 佐々木茂喜氏
――お好み焼きは、国内はもとより、いまや世界で親しまれるグローバルフードです。社長のお好み焼きへの思いを聞かせて下さい。
佐々木 お好み焼きのキーワードは「団らん」です。お好み焼きを広めることは、家族や知人、友人と団らんできる平和な社会をという、広島ならではの願いでもあります。
「団らん」のきっかけは、30年ほど前、大阪と東京のスーパーで出口調査を行い、お好みソースを買っていただいた理由を聞いたことがあります。すると8割の人が「今日は家族がそろっているから、お好み焼きにする」という回答でした。
文化を全国に発信
ソースというモノを売るだけでなく、家族でお好み焼きを食べるというコトを売る。これがオタフクソース社員の共通意識です。お好み焼きの文化を全国に発信するため、社員が店頭でデモ販売するなど、直接お客様に召し上がっていただく機会をつくるとともに、さまざまな出版物を制作して積極的に活用しています。その一つに、お好み焼きにまつわる悲喜こもごもの思い出を募集し、優れた作品を一冊にまとめたエッセイ集があります。
全国のお好み焼きファンから応募があり、1952(昭和27)年お好みソースを作って以来70年間の思い出がたくさん詰まっています。5~6年ごとに制作し、2020年に発刊した4冊目は、約2500通のエピソードが寄せられ、うち50作品を選びました。
寄せられたエッセイを読むと、むかし苦労した時代の小さな幸福感であったり、家族や友人・知人のやさしさや思いやりであったりです。エッセイ集を寄贈したお得意先さまや図書館などから、「昔を思い出し、感動した」「貧しかったが、家族一緒に食べたことを思い出す」などの声をいただいています。
料理には、栄養やおいしさなどの機能的な価値と家族あるいは友人や仲間と楽しみながら食べる情緒的な価値の二つの面があると思いますが、お好み焼きはその両方の価値を備えた食べものです。
お好み焼きを囲んで家族や友人・知人とわいわいやる「団らん」、当社ではこれを「お好ミュニケーション」と呼んでいます。食事は、何を食べるかよりも誰と食べるかが大切で、そこにお互いのコミュニケーションが生まれ、そこはかとなく温かみを感じる。お好み焼きはそのようなコトを生む食べものです。
――どのような会社をめざしてきましたか。
佐々木 「いい会社ですね」と言われることですね。社員の家族が、子どもや配偶者の勤め先を聞かれて「オタフクソースです」と答えたとき、ごく自然に「いい会社ですね」と言ってもらえるような会社です。
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