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付加価値を高める変革を 農業と連携し新たな可能性を(下) 菊地 唯夫・一般社団法人日本フードサービス協会会長2016年10月26日
ロイヤルホールディングス(株)代表取締役会長兼CEO
◆規模の成長が期待できる業態

(図2 事業別の成長性と人材確保)
それを自らが率いるロイヤルホールディングス傘下の「ロイヤルホスト」と「天丼てんや」で分かりやすく説明してくれた。
図2のように縦軸に供給力(人材確保)、横軸に市場成長力をとり、4つの象限に分けると、右上の市場が大きくなり人の確保もしやすい「規模の成長」ゾーンに、天丼てんやが、左下のチェーン理論で多店舗化してきたが(当時は右上に位置していた)が、人の確保が難しく、質を上げて生き残りを図らねば退場するしかないという「質的成長」ゾーンにロイヤルホストが位置づけられる。
天丼てんやは、シニア層とインバウンドに親和性がある。天ぷらを家で揚げるのは大変だからとシニア層に受けがよい。さまざまな日本食が海外に進出しているが、天ぷらは職人の世界であまり海外では食べられないので、「日本に行ったら食べたい」という思いが強い。だが「てんやなら5ドルで食べられる」というリーズナブルな価格でインバウンドの人気が高い。さらに問題の人の確保も「フランチャイズ方式でパートナーが持っている力を活用すること」ができ、「規模の成長」が期待できる。
◆質を高め評価される業態に
一方、ロイヤルホストは、市場が縮小し人の確保も難しいが、生き残るには「質=付加価値を増やし、その価値を評価してもらい対価を払っていただくことで、生産性を向上させる」必要がある。
「外食が何に苦しんでいるかといえば、長いデフレによって価格が下がる一方でコストが上がっているが、製造業のように機械を導入して人を削減することができにくい」。だから、生産性を上げるためには効率化だけではなく、「コアとなる価値を磨き上げるとともに、新たな需要を掘り起すことで付加価値を向上させるような産業化モデルを実現すること」ということだ。
これまで日本では農業も含めて「大規模化して効率化し生産性を高めること」が善しとされてきたが、これからはそれだけではなく、「付加価値をしっかりつけそれを評価して頂くことが必要な時代に変わってくる」ということだ。
その付加価値を高めるためにポイントなるコンテンツは何かと聞くと「国産の農産物やそれを作る農家」だという答えが返ってきた。「国産なら多少高くても良いというマインドが日本人にはある」。
◆農協は国産の供給量確保を
だが、国産農産物にも課題があるという。その最大のものは「供給量」だ。付加価値を高めた農産物を生産する農家はあるが、地元の小規模な店には対応できても、全国展開する大規模な外食店には対応が難しい。だから外食が輸入農産物に頼ることになる。
「これはという国産農産物を使って付加価値を高め正当な評価を得るためには、それに耐えうるボリュームを確保できる生産者のネットワーク化が必要になる」と指摘する。それなら「農協は...」と聞くと、「農協はこれまで画一性を求めすぎてきた。これからは、付加価値を追求する農家も参加できる多様性をもつネットワークをつくり、年間を通して均一な品質の農産物を提供するようにする必要があると思う」と返ってきた。
いま「6次産業化」といわれるが、農業サイドが、ノウハウをもつ外食企業と組み、「一緒になって付加価値のある農産物をつくっていけば、ブレークする可能性がある」と菊地会長はインタビューの最後に語ってくれた。
・付加価値を高める変革を 農業と連携し新たな可能性を(上)ー30年で3.5倍に伸張、生産性向上が今後の課題に、団塊世代が押し上げた消費
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