【特殊報】ネギえそ条斑病 県内で初めて発生を確認 岡山県2022年6月16日
岡山県病害虫防除所は6月6日、ネギえそ条斑病の発生を県内のネギに初めて確認。これを受け、同14日に病害虫発生予察特殊報第2号を発令した。
6月に岡山県南部の露地栽培ネギほ場で、葉身に淡黄色から白色の条斑を生じる症状が発生した。岡山県病害虫防除所で、RIPA法(イムノクロマト)による検定を行ったところ、IYSVによるネギえそ条斑病であることが確認された。同では、2004年にトルコギキョウでIYSVによるトルコギキョウえそ輪紋病の発生が確認されている(平成16年度特殊報)が、ネギ類における同病の発生は初の確認となる。
同ウイルス(IYSV)による病害は、1996年に千葉県のアルストロメリアで国内で初めて確認されて以降、全国30以上の都府県のタマネギ、ネギ、トルコギキョウ、テッポウユリなど様々な作物で発生が確認。近隣では、兵庫県、鳥取県、広島県、香川県、愛媛県のネギ、タマネギ、ラッキョウ、トルコギキョウ、テッポウユリでの発生が過去に報告されている。
病徴としては、発病初期には葉身に不明瞭な退緑斑が発生し、その後紡錘形で白色~淡黄色のえそ条斑を生じる。病勢が進行すると病斑が癒合拡大し、大型のえそ条斑症状となり、葉が萎凋・枯死することがある。
同ウイルスはネギアザミウマによって媒介。ネギアザミウマが感染植物を吸汁することによって本ウイルスを獲得し、一度ウイルスを獲得したネギアザミウマは終生ウイルスを伝搬する。
なお、経卵伝染はせず、その他のアザミウマによる媒介は確認されていない。また、土壌伝染や種子伝染はせず、管理作業による汁液(接触)伝染の可能性も低いとされている。
宿主範囲は、17科40種以上の植物でIYSVの感染が確認されている。
圃場における発生状況・ネギ葉身の病斑。白矢印は紡錘型のえそ条斑、
黒矢印はネギアザミウマの食害痕(写真提供:岡山県病害虫防除所)
同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇同ウイルスに対する有効な薬剤はないため、媒介昆虫であるネギアザミウマの早期発見・早期防除に努め、本虫の発生初期に薬剤散布を実施する。なお、薬剤防除の際は、ネギアザミウマまたは、アザミウマ類に登録のある農薬を散布する。また、薬剤抵抗性害虫の出現防止のため、同一系統の農薬の連用を避け、ローテーション防除を実施する。
〇施設栽培の場合は、紫外線カットフィルムの被覆や開口部に防虫ネット(0.8ミリ目合以下の赤色ネット等)の設置、施設周囲に光反射シートを敷設し、外部からのネギアザミウマの侵入を防ぐ。
〇ほ場周辺の雑草および発病株や収穫後の残渣は、ウイルスの感染源やネギアザミウマの生息場所となるため、除草や残渣の持ち出しを徹底する。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(174)食料・農業・農村基本計画(16)食料自給率その他の食料安全保障の確保に関する目標2025年12月27日 -
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(91)ビスグアニジン【防除学習帖】第330回2025年12月27日 -
農薬の正しい使い方(64)生化学的選択性【今さら聞けない営農情報】第330回2025年12月27日 -
世界が認めたイタリア料理【イタリア通信】2025年12月27日 -
【特殊報】キュウリ黒点根腐病 県内で初めて確認 高知県2025年12月26日 -
【特殊報】ウメ、モモ、スモモにモモヒメヨコバイ 県内で初めて確認 高知県2025年12月26日 -
【注意報】トマト黄化葉巻病 冬春トマト栽培地域で多発のおそれ 熊本県2025年12月26日 -
【注意報】イチゴにハダニ類 県内全域で多発のおそれ 熊本県2025年12月26日 -
バイオマス発電使った大型植物工場行き詰まり 株式会社サラが民事再生 膨れるコスト、資金調達に課題2025年12月26日 -
農業予算250億円増 2兆2956億円 構造転換予算は倍増2025年12月26日 -
米政策の温故知新 価格や流通秩序化 確固たる仕組みを JA全中元専務 冨士重夫氏(1)2025年12月26日 -
米政策の温故知新 価格や流通秩序化 確固たる仕組みを JA全中元専務 冨士重夫氏(2)2025年12月26日 -
米卸「鳥取県食」に特別清算命令 競争激化に米価が追い打ち 負債6.5億円2025年12月26日 -
(467)戦略:テロワール化が全てではない...【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年12月26日 -
【スマート農業の風】(21)スマート農業を家族経営に生かす2025年12月26日 -
JAなめがたしおさい・バイウィルと連携協定を締結 JA三井リース2025年12月26日 -
「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業」採択 高野冷凍・工場の省エネ対策を支援 JA三井リース2025年12月26日 -
日本の農畜水産物を世界へ 投資先の輸出企業を紹介 アグリビジネス投資育成2025年12月26日 -
石垣島で「生産」と「消費」から窒素負荷を見える化 国際農研×農研機構2025年12月26日 -
【幹部人事および関係会社人事】井関農機(1月1日付)2025年12月26日


































