肥料製造2社で不適正表示 農水省・全農2015年12月7日
JA全農は11月5日、取引ある業者に調査票を送付し、肥料品質管理実態に関する調査を実施していることを公表しているが、この調査を契機とした疑義情報に基づいて農水省が肥料取締法に基づいて(独)農林水産消費安全技術センター(FAMIC)に、肥料製造会社2社への立入検査を指示。その結果を12月4日に公表した。
JA全農が肥料を購入している旭肥料(株)(本社:東京都北区)と相模肥糧(株)(本社:小田原市)の2社に、全農の契約とは異なる原料や配合割合で製造された肥料が存在することが、全農の調査で判明。
両社は自主的に出荷を停止し、FAMICへ報告。農水省は、肥料取締法第30条の2第2項に基づきFAMICへ両社への立入検査を指示した。
この立入検査の結果、両社が「国に登録・届出を行い生産・販売していた普通肥料について、原料の種類の記載が不適正な肥料などを確認」。農水省は両社に対して「肥料の保証書の記載を改めるまでの間の出荷の停止等の指導を行うとともに、肥料取締法に基づく報告徴収を実施」した。
なお、この検査によると、「安全性に懸念のある原材料が使用されていないこと」「重金属等が公定規格で定められた上限値を十分に下回っていた」ことを確認し、「当該肥料を施用したほ場で生産された農作物の安全性に問題はない」ことも公表した。
立入検査結果の概要は以下の通り。
【旭肥料】
○原料の種類の記載不適正 168件中145件
○原料または材料の使用不適正 168件中1件
○保証成分量不足 168件中2件
【相模肥糧】
○原料の種類の記載不適正 129件中52件
○原料または材料の使用不適正 129件中0件
○保証成分量不足 129件中5件
農水省は、全農など両社の肥料を販売している業者に、今回、法違反が認められた肥料について「自主回収を行い、その結果を報告するよう」指導通知を発出した。
JA全農は、農水省が検査結果を公表した12月4日に「農水省の指導通知を受け、法違反が認められた肥料を自主回収し、結果を報告」すること。両社に対して「原因究明と今後の品質管理の徹底を強く申し入れる」とした。
そのうえで、後日、「他のメーカーの調査結果、太平物産に対する調査結果、全農の品質管理強化策について」報告することも表明した。
なお、全農によれば、両社が使用している原料は「通常の肥料に使用されている」ものなので、指摘された肥料を「使用した農産物の安全性に問題はない。また「内成分切れはあった」が、主要成分は「保証値が確保されているので、作物の生育に影響はない」という。また、現時点では両社の全農取扱い銘柄は、特別栽培、有機農産物の栽培に使用されている実態は「確認されていない」。
(関連記事)
・太平物産の肥料問題 農林水産省 (15.11.24)
・太平物産(株) 肥料の含有窒素量など公表 JA全農 (15.11.20)
・肥料回収対象修正 30銘柄 品質問題ない JA全農 (15.11.11)
・表示と異なる肥料販売 JA全農が回収へ (15.11.06)
重要な記事
最新の記事
-
米粉で地域振興 「ご当地米粉めん倶楽部」来年2月設立2025年12月15日 -
25年産米の収穫量746万8000t 前年より67万6000t増 農水省2025年12月15日 -
【年末年始の生乳廃棄回避】20日から農水省緊急支援 Jミルク業界挙げ臨戦態勢2025年12月15日 -
高温時代の米つくり 『現代農業』が32年ぶりに巻頭イネつくり特集 基本から再生二期作、多年草化まで2025年12月15日 -
「食品関連企業の海外展開に関するセミナー」開催 近畿地方発の取組を紹介 農水省2025年12月15日 -
食品関連企業の海外展開に関するセミナー 1月に名古屋市で開催 農水省2025年12月15日 -
【サステナ防除のすすめ】スマート農業の活用法(中)ドローン"功罪"見極め2025年12月15日 -
「虹コン」がクリスマスライブ配信 電話出演や年賀状など特典盛りだくさん JAタウン2025年12月15日 -
「ぬまづ茶 年末年始セール」JAふじ伊豆」で開催中 JAタウン2025年12月15日 -
「JA全農チビリンピック2025」横浜市で開催 アンガールズも登場2025年12月15日 -
【地域を診る】地域の農業・農村は誰が担っているのか 25年農林業センサスの読み方 京都橘大学学長 岡田知弘氏2025年12月15日 -
山梨県の民俗芸能「一之瀬高橋の春駒」東京で1回限りの特別公演 農協観光2025年12月15日 -
迫り来るインド起点の世界食糧危機【森島 賢・正義派の農政論】2025年12月15日 -
「NARO生育・収量予測ツール」イチゴ対応品種を10品種に拡大 農研機構2025年12月15日 -
プロ農家向け一輪管理機「KSX3シリーズ」を新発売 操作性と安全性を向上した新モデル3機種を展開 井関農機2025年12月15日 -
飛翔昆虫、歩行昆虫の異物混入リスクを包括管理 新ブランド「AiPics」始動 日本農薬2025年12月15日 -
中型コンバインに直進アシスト仕様の新型機 井関農機2025年12月15日 -
大型コンバイン「HJシリーズ」の新型機 軽労化と使いやすさ、生産性を向上 井関農機2025年12月15日 -
女性活躍推進企業として「えるぼし認定 2段階目/2つ星」を取得 マルトモ2025年12月15日 -
農家がAIを「右腕」にするワークショップ 愛知県西尾市で開催 SHIFT AI2025年12月15日


































