生産資材:シリーズ
【動き始めたバイオスティミュラント】(2)アクプランタ社長の金鍾明氏に聞く 科学的に作用を説明できる資材こそBSに2025年6月9日
日本におけるバイオスティミュラント(BS)の定義は、欧米を参考にした農水省「バイオスティミュラントの表示等に係るガイドライン」(GL)によってある程度は固まり、製品の表示に係る効果の根拠となる情報の確認方法も示された。しかし、どの成分が何に効果があるのか、どのように使用すれば効果が上がるか、といった具体的な検証は課題として残されている。こうした情報はBS資材を利用する農家にとっては必要不可欠だ。そこで、研究者であり、自社でもBS資材「スキーポン」を開発した、アグリバイオスタートアップ、アクプランタ(東京)社長の金鍾明氏に解説していただいた。同社は国内のほか、米国やウガンダなど海外も実証実験を進めている。
ウガンダを訪問し、地域農業の課題や作物の栽培方法を調査する金鍾明氏
――農家にとって大事なことは。
まず安全が第一で、効果を実際に証明や説明ができるかどうか。「なんとなく使って良かった」という感覚や感想より、生物学的に効果や現象を説明できるメカニズムです。例えば「何にでも効く」は疑問です。メカニズムが分かれば具体的な効果を言えますし、派生して別の効果があることも説明できます。メーカーは科学的メカニズムをもとに、具体的に何に効くか効かないのか、効く可能性があるか、ロジックを備えることが大事です。疑問点が発生したら資材メーカーがそれに答える。そのための解析や分析を同時進行していくことで健全な業界が成熟していくでしょう。
農水省のガイドラインが決まった後も、農家が実際に選ぶ際には、安全性と、実際に何がどう効くのかの説明が大事になります。使用する量や時期をきちんと決めて徹底しないと、実際に効いたのかどうかが分からなくなりますから。
「スキーポン」を紹介する大阪・関西万博のウガンダ共和国のパビリオン
適材適所、複数の資材を選ぶ
――今後の開発トレンドは。
新しい物質の解析には一定の時間がかかります。ある程度解析されている成分も商品化のハードルがあります。一方で、農業分野に参入したい(異業種などの)企業は数多い。海藻抽出物や腐食酸の原体は国内外の多くのメーカーが販売しています。手に入りやすい原体を入れた資材が一番簡単で、それを適当に混ぜて売ることも想定できますが、それでは効果も明確でなくなる。ですから、有効成分の登録など何らかの規制が必要だと考えます。開発や研究に時間がかかるでしょうが、研究で効果がはっきりして説明もできるBS資材も増えてくるでしょう。いずれは「科学的に作用機序を説明ができる資材こそBS」という位置づけに変わっていくことを期待しています。
――「みどりの食料システム戦略」との関係は。
みどりの食料システム戦略は複合的です。複数の新技術をうまく組み合わせて目標達成を目指しています。BSで栄養吸収能力が高まれば化学肥料は多少減らせるかもしれませんが、BSだけで化学肥料を半減して十分な収量を維持できるとは今のところ思えません。BSの使用により減肥料や収量アップ、環境対策を一気に解決できると期待される農家さんもいますが、実際にはそれぞれの切り口で対応できる資材を選び、いかに効果的に使えるかどうかがポイントです。
ですから、メーカー側としては、何にでも効くようなことを喧伝するのではなく、それぞれのBSが発揮するシンプルな機能を正確に謳うことが、農家に対しても真摯で誠実な向きあい方だと思います。様々な成分を混ぜて多くの効果があるという資材もありますが、比較試験では逆に、謳っている効果がまったく検証できないものもありました。手間いらず何でもありのオールインワン資材に頼ることなく、これまでどおり適材適所、複数の資材で対応する必要があると思います。
――データの開示が必要だ。
BS製品の宣伝に使われている効果は、感覚値や大雑把な試験の結果でしかない場合も多く、再試験しても再現できない場合が多くあります。一方で農家が実際に使い、効果の有無で選ぶ、市場選択能力が必要にはなってきます。トライアンドエラーで使う必要もあるでしょうが、効果は場所や条件で結果が変わります。環境ストレスの場合には、加わるストレスの強さの違いで、結果が変わることもあります。
また、メーカー側としては、良い効果が出なかった試験条件も、農家が使用する上では重要なデータとなるので、ある程度開示していくことが大事です。「100%効く」のではなく、条件や使い方で効果が変わる。それに合わせて使ってほしいと。はっきりとした効果が見えづらいものであれば、あくまで保険的に利用するものと伝えた方がいいのではないかと思います。
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