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青果物:元気な国内農業をつくるためにいま全農は

【園芸総合対策部】野崎和美部長に聞く 加工・業務用野菜産地を確立、産地間「競争」から「協調」へ2014年3月12日

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・大きく変化した野菜需要の環境
・外食・中食の野菜需要は1兆4500億円
・生産者の収入が確保できる提案を
・県間連携でエリア内の対策を強化
・国内の産地づくりで輸入野菜対策も
・収穫作業の受託などで生産者の支援も

 昨年4月の機構改革で「園芸総合対策部」としてスタートして約1年となる。市場流通については、従来からの価格安定事業や需給調整、債権管理を、また品目別の対策についても従来通り進めていくことにしている。「総合対策部」となった最大の理由は、加工・業務用野菜事業の確立だといえる。その具体的な内容について野崎和美部長に聞いた。

JAグループのシェアをアップする

 

◆大きく変化した野菜需要の環境

野崎部長 従来の園芸農産部と大きく異なるのは、「加工・業務用野菜を生産・振興していくこと」が重要課題となったことだと野崎部長は強調する。
 その具体的な表れの一つが、昨年12月にキューピー(株)との合弁で、業務用サラダ野菜メーカーとして設立した(株)グリーンメッセージだ。昨年4月から新会社設立と新会社への原料供給のための産地づくりに取組んできた。合わせて、グリーンメッセージ以外の加工・業務用の取引先向け産地づくり強化だ。
 加工・業務用需要に対応するということは、かねてからいわれてきており「古くて新しい課題」だといえる。しかし、野崎部長は、茨城県本部など先進的な県本部や経済連では、平成6年ころから、当初は漬物とかが中心だったが取組まれてきているし、食品メーカーであるカゴメやカルビーへ原料供給は40年近く前から行われていたと指摘する。
 しかし最近の顕著な傾向として、世帯構成やライフスタイルの変化などから、食生活における「簡便化」志向が増大し、「食の外部化」が進展してきている。それは、食料費に占める生鮮食品の支出割合が、昭和40年(1965年)の48.4%から平成22年(2010年)には27.7%に減少。一方、中食が増大して惣菜・調理品の支出割合が6同3%から同11.3%に、さらに外食の支出割合も7.3%から18.2%へと増加していることをあげる(図1)。

(写真)
野崎部長

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◆外食・中食の野菜需要は1兆4500億円

 こうしたことを背景に、国内の野菜需要が家計消費から加工・業務用にシフトし、平成2年には加工・業務用需要が51%と家計消費用を上回り、以後この傾向は強まっている(図2)。

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 そして「定時・定量・定価・低質」を求める加工・業務ニーズに応えるために、加工・業務用需要に占める輸入品の割合が平成2年の12%から22年には30%へと増大してきている。
 野崎部長は「外食産業・中食産業(惣菜事業)における野菜需要マーケットは1兆4500億円(840万トン)(22年、全農の推計)」と「非常に大きく、今後も一層拡大する」と予測。そのなかでも消費者の簡便化需要の高まりを背景に、量販店・コンビニ店舗でのカット野菜、惣菜アイテムは大幅に増加しており、カット野菜市場は約1800億円(22年)と大きく拡大してきていると指摘する(図3)。

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◆生産者の収入が確保できる提案を

toku1403130502.jpg こうした環境変化に対して、JAグループの青果物販売は卸売市場を通じた量販店などへの原体供給が中心で、加工・業務用への取扱量は6600億円と加工・業務用の野菜需要の45.5%を占めているに過ぎない。さらにその6600億円のうち全農グループ直販は317億円にとどまっているという。
 JAグループとしては、今後、「こうした野菜生産・販売の構造的な変化に乗り遅れることなく、的確に対応することが必要」であり、こうした実情を「各産地に理解していただいて、加工・業務用の専用産地を開発していきたい」と考えて取組んでいる。
 加工・業務用産地の開発にあたっては、実需者が求める「カットに合う品質・規格で提案をし、定時・定量で出荷していかないといけない」。そのためには「加工・業務用にあった品種や栽培技術さらに作型を含めて産地に提案していくことが大切」であり、加工・業務用野菜の契約単価が多少安くても単収が増えることで「10a当たりの収入は確保できる」提案だともいえる。
 さらに加工・業務用では市場出荷に比べて規格が簡素化されるだけではなく、段ボールではなく通いコンテナや鉄コンテナを使い、出荷や物流コストを下げたりすることで、「相対的に手取り収入を増やす」ことが可能になるし、省力化・効率化された時間や労働力を活かして規模を拡大することも可能になる。

◆県間連携でエリア内の対策を強化

 全農では、加工・業務用野菜の産地を開発していくことで、品目別にいくつかの産地をつないで周年供給できる体制をつくり、実需者に提案していくことで、JAグループとしての加工・業務用野菜でのシェアを向上させていく。
 そのために、園芸総合対策部と各県本部・JA全農青果センター(株)が連携し、大消費地圏での販路拡大を図っていくことにしている。
 それと合わせて、遠距離輸送をすると物流コストがかかり求められる価格を上回る可能性があるので、顧客やその工場に近いところで産地化を図っていくことが必要だと考え、ブロック別直販連絡会議を設置して、ブロック内の県本部・経済連間連携を強化して、エリア内の新規取引開拓、安定供給体制の確立を進めている。
 もちろんそのエリアですべての作物が生産できるわけではないので、遠距離物流のコストをいかに抑制していくかもあわせて検討されている。また、このブロック別・エリア別に産地リレーを組み立てることもいま検討している。
 このブロック別連絡会議は、すでにスタートし本所も参加している中・四国地区に続いて、今年1月に九州地区、2月に東北地区で設置され、各エリア内での商品づくりや共同営業、産地づくりなどの検討が開始されている。
 中・四国地区は、岡山県本部が中心になって、生協のCSネットへの販売促進を行うために7?8年前から取組まれている。また、ブロック別会議ではないが、首都圏を中心とする生協のコープネット事業連合とは、その領域である8都県本部が連絡協議会を設置し、連携強化をはかっている。
 加工・業務用では、関東甲信地区は、首都圏という大きな消費地に隣接していることもあり、平場の産地と高冷地産地がうまく連携してリレー供給ができている。

◆国内の産地づくりで輸入野菜対策も

 従来の市場流通では、産地間競争の色合いが濃かったが、加工・業務用で年間通した安定供給を実現するためには「産地間協調とか連携あるいはリレーということが重要になる」と、「競争から協調」へ産地の考え方を変えなければならないと野崎部長は強調し、全農として、産地の状況をみながらいかに組み立てて提案していくかが大事でだと話す。
 さらに生産者に対しても「市場流通とそん色ない、あるいは市場流通よりもメリットがある提案をしていくことが大切」だと考えている。
 加工・業務用野菜産地づくりの具体的な進め方としては、「品種の選定そしてモデルほ場というステップを踏みながら産地づくり」を進めている。とくに、加工・業務で使用頻度の高いキャベツ、レタス、タマネギ、ニンジン、ネギなどで、販売先ごとに安定供給体制を構築するために、時期別・品目別に複数産地化を図ること。端境期解消に向けて、12月から2月のレタスと4月から5月のキャベツのモデル農場づくりに重点的に取組んでいる。
 冬場のレタスの場合、台湾レタスの輸入が増えているので、沖縄から九州・四国・西南暖地でレタスの産地づくりをする必要があると考えている。なぜならば、端境期対策だけではなく、「安定的に調達できるようにする」ために年間を通して一定量を輸入しようという動きになり、国産品の市場に影響を与えるからだ。
 そのため今年に入ってから野崎部長は熊本・長崎・沖縄を回ってきたが、契約栽培を積極的にやっていこうという動きはあるが「まだ面的な広がりにはなっていないので、面的に広げていくことが重要だ」と考えている。

◆収穫作業の受託などで生産者の支援も

 また最近は県本部段階で、「水稲農家に対する野菜の提案」も行っている。具体的には、秋田県での白ネギ、新潟県でのネギ、タマネギの生産振興がスタートしている。愛知県では新たなキャベツ産地づくりの取組みもなされている。そのなかには、農機レンタル事業を組み合わせた事例もあるという。
 水稲農家ではないが、岡山県本部では、高齢化した生産者がキャベツや白菜などの重量野菜を栽培する場合、肥培管理はできるが、収穫作業が重労働でできないので、収穫については「作業受託」の支援部隊が引き受けて一気に収穫・出荷作業をするという取組みを行っている(図4)。
 このほか、大分県や茨城県でも県域での農作業受託の取組みが始まっているという。JA島原雲仙のようにJAで取組んでいる事例もある。
 生産法人や大規模農家あるいはこれから規模を拡大していこうとする生産者にとっては、市場販売のように暴騰も暴落もなく契約によって安定的な収入が確保できる加工・業務用は、経営の基盤強化・安定化させるために必須だといえる。
 園芸総合対策としては、全農の営農販売企画部、生産資材部、肥料農薬部と情報を共有化して、生産履歴管理の徹底、JAのTACとの連携による営農・生産指導での対応を強化し、加工・業務用におけるJAグループのシェア拡大に努めていく決意だと野崎部長は語ってくれた。

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◆市場への指導巡回強化も重点的課題

 加工・業務用事業以外では、昨年12月に市場が2社(京都、尼崎)倒産をした。この2市場は販売代金の回収遅延もなく「安心していた」面があったと「いま反省している」という。
 今後、こうしたことを未然に防ぐために、予め対策を講じていくことにし、今年1月から契約市場の巡回と産地との協議を始めている。
 野崎部長は「世界的に見ても日本の市場機能はよい機能だと思うので、安定した経営を求めていきたい」と考えている。「そうでなければ、産地は安心して出荷することができない」ので、きめ細かく対応していくことにしている。

【特集・元気な国内農業をつくるために“いま全農は…”】

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