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スペイン・モンドラゴンの主力企業が倒産2014年4月18日

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協同組合の企業経営に教訓

 労働者の協同組合組織として世界的に知られ、日本からも視察が絶えないスペインのモンドラゴンの主力である家電グループ・ファゴールが昨年、実質的に倒産したが、その経過と背景について、NPO現代の理論ファーラム(オルタクラブ研究会、古川純理事長)が、このほど「生産協同組合ファゴール家電の倒産とその教訓」についての研究会を開いた。リーマンショックによる世界的な経済危機、競争の激化、あるいはマネジメントの失敗など、いくつかの指摘があったが、組合員の参加による運営を基本とする協同組合組織と、市場経済を前提にした経営規模拡大による競争力強化との整合性など、今日の日本の生協やJAの事業にとっても重要な問題提起があった。

◆中央集権か、自主性尊重か

 モンドラゴンはスペインのバスク自治州に組織基盤を置き、110の労働者協同組合で構成され、るグループ組織。子会社147社を含め、傘下に179の協同組合組織でない企業を持つ。グループは工業、流通、金融、教育・研究の4つの部門からないり、海外を含めて、あらゆる事業分野に進出している。

◆海外へ事業拡大

モンドラゴンの家電グループの倒産で意見交換した研究会  グループの抱える従業員(労働者)は8万人を超えるが、本拠地のバスク自治州内で働いている人は4割に過ぎない。6割はほとんど海外か子会社で働く。このうちソシオと呼ばれる協同組合員は3万2000人で約4割。大部分がバスクに住む。
 ファゴール家電は、モンドラゴングループの先駆的組合で、シンボル的な存在。歴代6人代表のうち1人を除いてファゴール家電の出身者だという。従業員1万1000人(うち組合員65%)を有し、ヨーロッパを中心に17の子会社を持ち、企業グループの売上高でスペインで第5位、ヨーロッパの家電メーカーとしては4位にランク付されていた。
 これが昨年10月倒産した。研究会で報告したこの背景について、研究会で報告した明治大学経営学部のマット・ノイズ特任講師は、2008年のリーマンショック以来の経営悪化と、安い中国製家電の進出を挙げる。このためグループの売上げが落ち、悪化した経営を立て直すため、海外の企業を買収して拡大路線をたどることで乗り切ろうとした。
 しかし、リーマンショックは住宅と建設産業に端を発した経済危機であり、いわゆる“白物”を主力とする家電への影響が大きく、何度かモンドラゴングループによる資金支援も限界があり、各組合から負担を断わられ、清算を余儀なくされた。

(写真)
モンドラゴンの家電グループの倒産で意見交換した研究会

◆商業銀行の融資も

 マット特任講師は、「もっと大きくか、もっと小さくかの論争が内部であったようだ。これは従来の中央集権か組合の自主性重視かという問題でもあった」と言う。モンドラゴングループの支援以外にも、商業銀行からの融資に頼ったことも問題を悪化させたということも指摘する。
 さらに、こうした経営の状況や資金調達の事情を説明しなかったことから組合員や従業員の不信を買い、「『ファゴールは奪わなかったが、われわれをだました』ということで、市民のデモもあった」と報告。ただ、協同組合であるモンドラゴンにとって、従業員、特に組合員の解雇は避けており、ファゴールを解雇された従業員は、そのほとんどが、他の部門に移していると言う。

◆モデルを求めて

 報告後のディスカッションでは、協同組合による企業の拡大路線が焦点の一つになった。「協同組合組織による企業の海外進出や、拡大路線は世界でもモデルがない。モンドラゴンは常にそれを探している」との評価や、「協同組合が拡大する場合、外国では制度的に協同組合がつくれないことが多く、海外に拡大するには買収という形をとるしかない」などの意見が出た。
 また、拡大によって協同組合が、その地域を離れることについては、「出てはいくが、移転するのではなく、新しい地に根付くべきだ。組織は変わらないと生きていけない」。これを“マルチローカリゼーション”だとする“推進論”もあった。
 労働者の協同組合という特徴はあるが、協同組合組織が市場経済のなかで会社を運営する場合、組合員と従業員の関係、域外での事業拡大(グローバル化)、組織決定など、マネジメントとガバナンスのあり方に多くの問題があることをファゴールの倒産は教えている。


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