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農政:どうするのか この国のかたち―食料・農業・農村を考える

【インタビュー・細田博之・衆議院議員自民党憲法改正推進本部長に聞く】大切な食料安全保障の確立2018年1月10日

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・聞き手:谷口信和・東京農業大学教授
・農政の安定性確保めざす
・憲法と食料・農業
・森林環境税は食料安保
・基礎的食料生産を大切に
・前向きな政策で支援

 農業を核にした地域社会の持続的発展がなければ「この国のかたち」は成り立たない。食料・農業政策はどうあるべきか。今回は自民党憲法改正推進本部長の細田博之衆議院議員に聞いた。聞き手は谷口信和東京農業大学教授。

◆憲法と食料・農業

 谷口 憲法の土台には農業があるだろうと私は思っています。それは単にどんな文言が憲法に書き込まれているかということではなく、国家を考えるベースに農業観、国土観といったものが必要ではないかということです。
 その点についてお話しいただくために、昨年9月にスイスが国民投票で憲法に食料安全保障を盛り込むことを可決しましたが、これに対する評価、ご意見から伺いたいと思います。

 
細田博之・衆議院議員自民党憲法改正推進本部長 細田 スイスはいろいろな項目について網羅的に憲法に盛り込んでいるようで、昨年9月24日の国民投票では、「耕地を基盤に国内農業基盤の確保」など、食料安全保障に関わる項目を追加することを決めました。これは一つの模範であり食料、農業にとっての必要性を私も感じます。
 ただ、現在の我が国の憲法改正論議は論点が4つほどに絞られています。個別の問題について抜本的に表現を変えていこうという流れよりは、とりあえず必要な緊急事態条項、九条改正、教育、地方自治と選挙に絞るという流れが中心になっています。ただ、気候変動も激しく世界的な飢饉も起きかねない時代ですから、食料自給の確保、自給率の向上は大変大事だと思っています。関連する政策でいえばもう何十年来の懸案だった森林環境税の創設が実現したわけですが、実はその主張のいわば首謀者は私なんです。
 きちんと森林整備をしないと鳥獣被害が広がり、森林が荒廃して水害が発生しやすくなり、農地の耕作放棄も起きます。何とかして森林を整備しなければならないが、国には予算がないということで、森林整備の責任は全部地方の市町村に押し付けられました。今回の森林環境税は6200万人の方が年に1000円ずつ払うという画期的な制度です。やはり大都会が人口としては多いわけですから、大都会の反発もあるなかで県と市町村に分けて財源を分配しなければならないという恒久法です。1000円はずっと支払ってもらうということになります。
 ただ620億円では足りないかもしれませんから、その場合には上乗せしていかなければパリ協定が実施できません。これは食料の安定供給にも密接につながっています。気候変動によって大災害や大凶作が引き起こされる可能性を何とか低めようというわけです。森林環境税はそのための対策であるわけですから、政府においても食料問題をも含めた対策であるというふうに理解していだきたいと思います。

 

◆森林環境税は食料安保

 谷口 つまり、森林対策は食料安全保障の一環でもあるということですね。

 
 細田 林業と農業は密接につながっており、両者はほとんど同じ地域で行われているものです。林野庁や環境省だけでなく、この制度の必要性を経済済産業省や総務省にも訴えてきました。地方の市町村が崩壊していいのかという問題提起です。長い間そういう主張をしてきたなかで、やっと国レベルで森林環境税が実現することになりました。

 
 谷口 森林整備のための税制は2003年の高知県から始まって、大都会を抱えた神奈川県でも導入されましたが、とうとう国レベルでも導入されたということに対しては私にも大変感慨深いものがあります。

 
 細田 実際に、これからパリ協定は厳しくなってきます。もう石炭は掘るな、燃やすなという動きがあります。石油やガスなどは開発を進めるな、地下にある大事な資源を無駄使いするなという方向に行っています。やはり炭酸ガスの大量の吸収源としては木を太らせることが大事だということです。ぜひ森林環境税を有効に使ってほしいという気持ちで一杯ですが、それはまさに森林環境税が食料安全保障でもあり、農村の環境整備でもあり、地球環境問題への対応だということでもあるからです。

自民党憲法改正推進本部長の細田博之衆議院議員のインタビューのようす。聞き手は谷口信和・東京農業大学教授。

 

◆基礎的食料生産を大切に

 谷口 日本の農業についてはどうあるべきだとお考えでしょうか。

 
 細田 食料問題の基本は、何といっても75億人を賄うことは大変なことであって、世界人口は今後さらに増えていくということを考えなければならないと思います。日本もいざというときにどこからも買えないということになってはいけない。
 輸出に力を入れるといっても内需を満たすことができないようではいけない。ところが今、農業はたとえば米については採算が合わないからもう作らないという風潮もあるわけですね。そして国による需給調整もやめることになっている。今のところ米の値段が上がっているからいいじゃないかと言う人もいますが、やはり生産者が満足する環境を作らなければなりません。そのためにはあまり短期的なことばかり言っていてはいけない。短期的には米も投機商品みたいになってきましたから。ちょっと過剰だとなると先物相場が下がったりします。気候変動によっても変わりますから、やはり余裕をみておく必要があるのは確かです。
 付加価値を高める農業の6次産業化も必要ですが、すべての地域がそれをやれるわけではありません。もちろんいろいろな工夫をして所得を上げていかなければなりませんが、基本である食料安全保障のためには、こつこつと米や麦なども含めて基礎的な食料生産を大事にしていかなければならないと思います。

 
 谷口 最近は小麦もがんばっていて、国や道県の農業試験場などが新しい品種を開発しています。たとえば福岡県では博多ラーメン用の小麦が開発され、ラー麦として栽培し利用しています。

 
 細田 転作作物も含めてそのように特定用途のものが増えていますし、多用途米も確かに有効な手段になっています。たとえば、飼料用米はむしろ畜産に貢献していますね。

 
 谷口 飼料用米への支援策を含めて農政で何がいちばん求められているかといえば私は政策の安定性だと思います。10年20年変わらずに、これでいくんだという政策の安定性だと思います。生産者が、少し農産物の価格は安くてもこれで行こう、という気持ちになれる持続性がいちばん求められていると思います。
 飼料用米についても、いつ予算が打ち切られてしまうか分からないのでは現場も投資意欲がわきません。具体的な助成金の水準も大事ではありますが、むしろ「猫の目農政」などといわれないように、法制化するなど、何とか落ち着いた政策にしていただければと思います。

  
 細田 安定性が必要だというのはその通りだと思います。それから米についていえば地球温暖化で北海道が適地になったということもあって主食用米をどんどん生産すれば供給が過剰になってしまうわけです。ただ、余りものに値段はつきませんから需要に応じた生産が必要だと思います。
 そうはいっても実際に生産が過剰になることがあれば政府もきちんと対応しなければいけない。そのことだけは政府もきちんと言ってほしい。それをしないと生産者という根底が崩れていって、日本の基本的な供給レベルが下がってしまいますから。

 

◆前向きな政策で支援

谷口信和・東京農業大学教授 谷口 需要に合わせた生産については、農協が果たしている役割が大きいと思いますから、そこはきちんと評価していただきたいと思います。改革も必要ではありますが、ぜひとも現場を励ますような政治を期待したいです。

 
 細田 たとえば生産者の支援策として融資する場合に、生産者がいろいろな努力や試みをしてもうまくいかないときは、それを棒引きするぐらいのことをやったほうがいいと私は言っています。支援策には無利子融資があるといっても、そんなに簡単に採算がとれるかどうか分からないし、借金が残れば故郷を捨てなければならないことにもなってしまう。
 実際に過去にはそうした人たちもいたので、それを恐れていては投資する気持ちが萎えてしまう。だから気持ちが萎えないように、国も県もそこを補完するような前向きの政策をとらないと本当の意味で付加価値の高い農業への転換は難しい。とくに米を中心に作ってきた地域、あるいは中山間地域には前向きな政策を考えていかなければならないと思います。

 
 谷口 秋田県は大豆生産でがんばっていて、最近では7月から10月の枝豆供給では東京中央卸売市場のトップになっています。品種改良と普及の成果です。米は大事ですが、ある程度は米依存から脱却しなければなりません。

 
 細田 そうですね。同時に多収穫米を集中的に生産して弁当やおにぎり向けに販売するような、いかにして品種と市場を見極める工夫をするのかといった取り組みも期待されているということだと思います。
 農業が将来とも国の活力の源となって発展していくには農業者の所得向上が必要で、農協の販売事業は極めて重要だと思いますから、われわれも農協の自己改革を後押ししていきたいと考えています。

 

インタビューを終えて

 憲法改正の自民党案の取りまとめで超多忙の中のインタビューだったが、落ち着いて農政の話題に付き合って下さった真摯な姿勢に感銘を受けた。▼折しも平成31年度税制改正において森林環境税創設が決められたが、これが食料安全保障や農村環境整備につながると熱く説く氏の言葉に政治家としての信念を垣間見た。▼平成30年産米からの生産調整方針転換で再び米過剰が発生するような場合には政府がきちんと対応すると言うべきだと断言した氏が安倍政権を支える最大派閥の長であることの意味は小さくない。 (谷口信和)

 

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