新しい仲間達に贈る言葉 コロナ激震と挑戦と新しい芽【記者 透視眼】2021年4月5日
2021年度が始まり、トップから新入職員への訓示が相次ぐ。目立つのはコロナ禍での経済激変と、新しい環境への備え、挑戦の心構え。協同組合や食農関連業界にとっても同じ。若い仲間達が起こす〈新風〉こそが発展の源だ。
「果敢な自己啓発」と中家全中会長
JAグループも先週、新規採用職員の訓示や研修会を行った。中家徹JA全中会長は1日、オンラインで、新人に自己啓発の意義を強調。コロナ禍でも田園志向の高まりなど農村見直しの兆しを踏まえ「ピンチをチャンスにする機会だ。果敢に挑戦し、JAグループで輝く人材に育ってほしい」と期待を込めた。同日は東京・大手町で職員訓示も行い、不断の自己改革遂行の決意を示し、「対話なくして自己改革なし」と強調した。
JA共済連の青江伯夫会長は新入職員の入会式で「災害多発の中で共済事業の役割と期待はますます高まっている」「われわれの仕事は、人と人とをつなぐ大きな幸せの懸け橋であることを認識してほしい」と絆重視の共済の意義を説いた。
食品は環境激変の中での適応力
コロナ禍での対応は食品産業にとっても死活問題だ。
1兆円食品産業の明治は1日、松田克也社長が新人訓示で「明治社員として『実現力』『適応力』『改革・改善』を実行してほしい」。森永乳業の宮原道夫社長は「全ての環境変化が加速していく。知識や経験を積み成長していくことを期待する」とした。
一方、4大乳業の一つ、よつ葉乳業(札幌市)の有田真社長は「当社は酪農家が設立した会社であり、酪農家と消費者の懸け橋になることが使命だ」とした上で、社是の〈適正乳価の形成、酪農経営の長期安定〉やスローガン〈北海道のおいしさを、まっすぐ〉などを挙げ、農協系乳業として「誇りを持って仕事をしてほしい」と述べた。
危機こそチャンスの萌芽
サントリーHDの新浪剛史社長は新入社員メッセージで、コロナ禍こそ「ピンチはチャンスの萌芽」と新しい成長の芽を見据えた。そして「若者にしかできない大胆な発想で夢の実現に向け挑み続けてほしい」とエールを贈った。
脱炭素対応の急務の製造業
気候変動対応、脱炭素社会への転換が加速する中で、製造業も大きな変革を迫られる。ホンダは1日、新体制が始動した。三部敏宏新社長は新入社員に自動車業界は100年に一度の変革期にあるとした上で「強風に抗い飛び立とうとするチャレンジがさらなる発展をもたらす。ホンダに新しい風を起こしてほしい」と若い力で〈挑戦〉を求めた。
ライフライン一角の自負
JA全農業務提携企業の新人メッセージも今の時代を映す。
コンビニ大手のファミリーマート。全農、農林中金と資本・業務提携し新たな飛躍に挑む。ファミマは経営陣が一新した。細見研介社長は「コロナ禍で、日本のライフラインの一角を支えてきた自負を、全社員が持っていることを忘れないで」と、コンビニの生活者に欠かせない存在感と位置づけを説いた。
世界視野にスシロー変身
全農提携先として今後も有望な回転寿司のスシロー。米需給緩和の中で、安定的な米の提供先としても重要だ。全農は、3月30日の2021年度事業計画説明の記者会見でもスシローの海外展開に期待を示した。
そのスシローだが、新年度に「スシローグローバルHD」から「フード&ライフ カンパニーズ」に社名変更した。1日付の全国紙全面広告で〈美味しいものを世界に広げよう。その想いが、スシローの枠におさまりきれなくなったので〉と打ち、現在アジア中心の出店を欧米に広げていく本格的な海外戦略を明言した。
海外出店のスシローは、全店直営店としてメニュー、サービスの品質を維持する。また社名変更の広告では、事業の柱の一つとして「川上領域への取り組み」を掲げた。「さまざまなパートナーと連携することで、原料、素材から差別化し、他社との違いをつくってゆく」とした。むろん主要パートナーには、米を中心に原料、食材を提供する全農も位置付く。
遠くに行くにはみんなで
コロナ禍での新年度、新人訓示、社名変更など組織、企業にとっても新たなスタートと重なる。協同組合に絡め、「早く行くには1人で行け。遠くに行くにはみんなで行け」とのアフリカのことわざを思い出す。目的地まで遠い道のりを確実に到達するには、みんなが助け合いながら行くことの大切を示す。相互扶助の精神でもある。記者の〈透視眼〉でのぞけば、環境激変の先に新たな〈未来〉も見える。若い力を翼に、協同組合が未来の先頭に立つことを望む。
(K)
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