シンとんぼ(15)耕地面積に占める有機農業の割合を25%に拡大(2050)④2022年10月22日
シンとんぼは、農業現場でも十分に実践が可能で、環境影響が正しく低減され、国産農産物の生産が向上して、国民の胃袋を国産で賄える状態になることを切に願いつつ、「みどりの食料システム戦略」の環境保全戦略の3つ目「有機農業を100万haに拡大」というKPIに切り込んでいる。
今回は、有機農産物の安全性について検証してみる。
シンとんぼの知る限りでは、有機農産物のPRの際には「自然は美味しい」とか「自然は安全」とか謳っていることが多いと思う。それはそれで、無農薬野菜を作るのにかかった農家の苦労といいものを届けたいとの篤い思いが一杯詰まっており、素晴らしいことだと思う。
ただ、「自然は安全」というフレーズを客観的に検証してみると、この自然=安全という図式には疑問が残る。一般的に「安全」というと、「人間にとって毒になるものを含んでいない」と解釈されることが多いと思う。だけど、本当は「これは、自然環境において無農薬・無化学肥料で育て、多少の天然毒は含んでいるかもしれませんが、人間の健康をすぐさま害するレベルのものではありませんので安全です。」と表現する方が正確なのではないだろうか?
農作物における天然毒とは、小麦などの穀物が病害に侵された時に発生する「かび毒」や、虫にかじられたり病原菌に侵された時に農作物体内に発生する抵抗物質(ファイトアレキシンと呼ばれる)などが知られている。病害虫に侵されなくても、農作物体内には様々な外的に備えるための抵抗物質が作られており、これらの中には、人の体にいい影響を与えるものもあるが、アレルギーを起こしたり、発がん性など悪い影響を与えるものもあるとのことだ。このうち、悪い影響を及ぼすものとしては、農薬工業会のHP(下記注)に掲載されている米国のエイムズ博士の様々な化学物質の発がん性危険度を調べた結果をみるとわかりやすい。それによると、残留農薬や水質汚染などから人が摂取する発がん物質の量はきわめて微量であるのに対し、天然由来の物質や調理した過程で食品から発生する発がん物質の方がはるかに多く、加えて自然のままで発がん物質を含まない野菜・果物はほとんどないことも確かめたとしている。
ということは、発がん性に限っていれば、安全と思っている「自然」の農産物の方がはるかに発がんリスクが高いことになる。ただ、このようにリスクのある物質が有機農産物に含まれていたとしても、偏りなく適度に摂取することでリスクを分散できるし、得られる栄養価としてのメリットも大きいので、過度に神経質になる必要はない。ただ、有機農産物の安全性を客観的に検証した場合、実際には、リスクのある物質を含む量は有機農産物の方が多いという調査結果があり、逆に農薬を使ってかび毒を抑えた方がより安全な農産物を生産できるといった例もあるということだ。この事実を知ると、毒性を調べつくして安全性が確認できている農薬を使用することにそんなに目くじら立てる必要も無く、それよりも食料の安定確保のためにも、農薬を正しく使った方がいいように思うのだがいかがだろうか?
(注)(https://www.jcpa.or.jp/qa/a1_10.html)
重要な記事
最新の記事
-
米粉で地域振興 「ご当地米粉めん倶楽部」来年2月設立2025年12月15日 -
25年産米の収穫量746万8000t 前年より67万6000t増 農水省2025年12月15日 -
【年末年始の生乳廃棄回避】20日から農水省緊急支援 Jミルク業界挙げ臨戦態勢2025年12月15日 -
高温時代の米つくり 『現代農業』が32年ぶりに巻頭イネつくり特集 基本から再生二期作、多年草化まで2025年12月15日 -
「食品関連企業の海外展開に関するセミナー」開催 近畿地方発の取組を紹介 農水省2025年12月15日 -
食品関連企業の海外展開に関するセミナー 1月に名古屋市で開催 農水省2025年12月15日 -
【サステナ防除のすすめ】スマート農業の活用法(中)ドローン"功罪"見極め2025年12月15日 -
「虹コン」がクリスマスライブ配信 電話出演や年賀状など特典盛りだくさん JAタウン2025年12月15日 -
「ぬまづ茶 年末年始セール」JAふじ伊豆」で開催中 JAタウン2025年12月15日 -
「JA全農チビリンピック2025」横浜市で開催 アンガールズも登場2025年12月15日 -
【地域を診る】地域の農業・農村は誰が担っているのか 25年農林業センサスの読み方 京都橘大学学長 岡田知弘氏2025年12月15日 -
山梨県の民俗芸能「一之瀬高橋の春駒」東京で1回限りの特別公演 農協観光2025年12月15日 -
迫り来るインド起点の世界食糧危機【森島 賢・正義派の農政論】2025年12月15日 -
「NARO生育・収量予測ツール」イチゴ対応品種を10品種に拡大 農研機構2025年12月15日 -
プロ農家向け一輪管理機「KSX3シリーズ」を新発売 操作性と安全性を向上した新モデル3機種を展開 井関農機2025年12月15日 -
飛翔昆虫、歩行昆虫の異物混入リスクを包括管理 新ブランド「AiPics」始動 日本農薬2025年12月15日 -
中型コンバインに直進アシスト仕様の新型機 井関農機2025年12月15日 -
大型コンバイン「HJシリーズ」の新型機 軽労化と使いやすさ、生産性を向上 井関農機2025年12月15日 -
女性活躍推進企業として「えるぼし認定 2段階目/2つ星」を取得 マルトモ2025年12月15日 -
農家がAIを「右腕」にするワークショップ 愛知県西尾市で開催 SHIFT AI2025年12月15日


































