シンとんぼ(16)耕地面積に占める有機農業の割合を25%に拡大(2050)⑤2022年10月29日
シンとんぼは、農業現場でも十分に実践が可能で、環境影響が正しく低減され、国産農産物の生産が向上して、国民の胃袋を国産で賄える状態になることを切に願いつつ、「みどりの食料システム戦略」の環境保全戦略の3つ目「有機農業を100万haに拡大」というKPIに切り込んでいる。
前回、天然毒の存在を明らかにしながら、有機農産物の安全性について検証し、毒性を調べつくして安全性が確認できている農薬を使用することにそんなに目くじら立てる必要も無く、それよりも食料の安定確保のためにも、農薬を正しく使った方がいいように思うと述べた。
ただ、一般的な消費者の皆さんの感覚は、農薬というのは、「虫菌草を殺すことができるのなら虫菌草にとって農薬は毒なのであって、同じ生物である人間にとっても毒になるに違いない。」というものだ。そういった感情はわからないでもないが、かなり科学的な根拠に欠けているように思う。なぜなら、世の中のどんな物質にも必ず「毒性」があり、人間に対する安全性は、毒性の有無ではなく、その強弱と量によって決まるからだ。
つまり、わずか数ミリグラムから重たいもので1グラムにも満たない体重しかない害虫を殺せる毒物の量は、1グラムの害虫の5万倍の体重である人間(日本人の平均体重を50キログラムとして)にしてみれば、毒にも薬にもならないほど極僅かな量にしか過ぎない。
こんなことを農薬の害を受けるシンとんぼがいうのも違和感があるかもしれないが、客観的にみると農薬は害虫にとっては生命を脅かすものであるが、人間にとっては何ともない単なるその辺にある物質と同じであるということだ。このあたりは、どんなに説明しても詭弁だと認めてくれない部分であり、実際に受け入れてくれない消費者もいるだろうな。
ただ、このようなことは国やマスコミが正しく伝えてくれれば、だんだんと正しく理解してくれる消費者も増えてくると思うが、どちらかというと逆で、農薬は毒という前提で不正確な伝え方をしている場合が多く、農薬業界の人は大変な苦労を強いられているだろうなと勝手に想像している。
ただ、最終的に農産物を購入するのは消費者であるので、何を買うかの選択権は消費者側にある。そのため、販売側の責務としては、陳列している農産物がどのような方法で生産したものかを明確にしてあげる必要があるだろう。特に、一般品と有機農産物を並べて販売する場合は、どうしても価格差があるので、どうして割高になっているかを生産者の思いも含めてわかりやすく示してあげないといけない。でも、あるスーパーの事例では、有機農産物と一般品とを並べて売ると、安い一般品の方が先に売れ、どうしても割高な有機農産物が売れ残ると聞いたことがある。
正直なところ、消費者にとって農産物を購入する決め手は、お値段優先ということのようだ。
次回、有機農産物の販売面の課題を検証してみようと思う。
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