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特集:30年産米全国JA調査

2018.11.13 
【30年産米作柄】全国主要213JAの集計結果一覧へ

30年産米作柄 地域差大きく
需給は均衡 備蓄・飼料米減

 本紙がほぼ毎年行っているJAの米担当者に聞いた30年産米の作柄についての集計によると全国作況は「98」となった。一方、農水省は9月15日現在で発表した「100」を10月15日現在では「99」に下方修正した。本紙によるJAの米担当者への聞き取りでは作柄が良好だった地域がある一方、猛暑と干ばつ、台風、水害の影響などで「刈り取ったら思ったよりも取れていない」との声や、集荷が進むなか「平成15年以来の90以下の凶作。販売契約に応えられずJAの米事業に打撃」などの声も聞かれ、全体では平年並みの収量となる見込みだが地域差が大きいことも示された。

◆栽培管理 難しく

30年産米・茨城県 調査は各県での米作付け面積上位のJAを選び、全国240JAを対象に電話による聞き取りを実施した。調査期間は10月23日から29日まで。協力を得た213JAの回答を集計した。その結果全国では「98」との結果となった。
 本紙集計で北海道は「89」となった。担当者からは6月の低温、日照不足が要因との声がほとんど。生育初期に茎数が確保できなかったことが収量減につながったとの声だ。
 東北では太平洋側は平年並みの地域も多いが、秋田、山形など日本海側は94、95などの作況となった。また、宮城県内のJAからも収穫を始めたら収量が少ないことが判明し「平成15年以来の不作が実態」との声が聞かれた。見込んでいた集荷量より15%程度の減になっており、農家からは「刈ってみて、あれ?という感じで、1俵から1俵半収量が落ちている」と言われているという。
 JAによると6月に低温となり穂数が平年を下回ったことに加え、8月の出穂期の後に数日間低温が続いて登熟初期に影響したのではないかという。そのうえ台風24号の強風でかなり稲が擦れ稲刈り時には、すでに脱粒していたほ場もみられたとのことだ。冷害になる気候ではなかったが複合的な要因で不作となったのではと推測するが、「大規模化が進み細かい肥培管理ができなくなった面もあるかもしれない」との指摘も聞かれた。
 北陸では新潟が作況95となった。県内JAからは7月上旬から8月上旬までまったく降雨がなく渇水対策本部を設置したほどの干ばつに見舞われ登熟せず刈り取りできないほ場もあったという。また、登熟しても高温障害も懸念された。ただ、「粒は小さく収量は少ないものの、品質はまずまず」との声もあった。


◆気候変動への対応も

 関東のあるJAからは2年続きで台風と長雨で被害を受けたところに、今年は一転、猛暑となり気候変化に「農家も手が回らない」との声も聞かれた。
 西日本では豪雨被害のほか、年々高温になっており新品種の導入が求められており、試験研究機関に頼るだけではなくJAも独自に試験栽培をしていくとの方針も聞かれた。また、地域全体として作付け面積が増えないことが課題だとする声も少なくない。作付けを呼びかけても高齢化や「米価は安定してきているがまだ低い」との理由などで営農意欲が低下しているとの声も寄せられた。中山間地域では「分けつ後はシカ、穂が出るとイノシシ」と鳥獣被害を訴える声は多い。
 作況指数が比較的高い九州では「天候が良く台風に当たらなかった」、「ウンカの発生が少なかった」という。ただ、高温障害や台風によるもみ擦りなどによる品質悪化を懸念する声も聞かれた。
 グラフは作況が昨年よりも下がったか、100以下の見込みと回答したJAから回答を得たその主な要因を地域別に集計したもの。
 北海道は低温と日照不足が多く、東北は地域によってさまざまな要因があることが示された。掲載はしていないが北陸も東北と同じようなグラフパターンとなった。このほか関東・東山では高温・猛暑が8割近くを占めた。
 一方、九州・沖縄は長雨、台風、水害がもっとも多いが、これは四国と近畿も同じだった。中国と東海は高温・猛暑と長雨、台風、水害の2つで6割から7割を占めた。


◆経営支える仕組みを

 こうした作柄のなかJA担当者からは「天候不順、直接支払いの廃止、減反の廃止。先が見えず農家に不安が生まれた」との声が聞かれた。10㌃7500円の米の直接支払い交付金の廃止は「厳しい」との意見も多い。
 とくに収量が減り所得減少が見込まれる地域では農家への打撃を心配する。JAも所得確保対策に動いている。概算金が前年産と同額だったが収量減となったことから追加払いを検討しているJAも。実際に概算金に上乗せを決定したJAもある。
 また、実需者との協議し網目を変更して契約数量を確保するなどの取り組みも聞かれる。
 一方、備蓄米として出荷する予定の米も収量が上がらなかったため、契約数量を主食用から確保する事態にもなっている。JAによっては生産者の所得確保のために備蓄米の事前契約には応札しないことを決めたと担当者から聞いた。
 飼料用も同様に作付けを減らした。昨年より1割減程度という地域もあるが、「半減した」というJAも。数量によっては主食用米と同水準の所得が確保できる交付金があるものの、財務省審議会が飼料用米助成の見直しを提起しているなどと聞くと、制度が維持されるか、やはり生産者に不安が広がり作付け転換は進まないという。
 それでは主食用が過剰になるかといえば、「生産数量の目安の範囲内でしっかり作付けを呼びかけたが、2年続きで実需者が求める数量まで生産できなかった」というJAも。このJAの作柄は平年並みだったが、原因は高齢化の一方、大規模集約化を進めたものの担い手不足で需要に応じた米づくりができていない面もあると指摘する。
 「就農したいという若い人もハウス栽培ばかり」「米価が上がらなければ後継者は育たない」との意見も聞かれた。日本の農業の基幹である水田農業の生産力弱体化をまねかないよう政策見直しが問われる。

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