生乳生産量減少が懸念、Jミルクの需給見通し2013年10月28日
(一社)Jミルクは10月25日、今年度第3四半期までの生乳・牛乳乳製品の需給見通しを公表した。
【生乳生産量】
8月までの生乳生産量は北海道では6月までは前年度を上回って推移していたが7月以降は前年度を下回って推移している。都府県では前年度を下回る基調が続いており、その結果、全国で5月以降は前年度を下回って推移。今後も生産生産量は前年度を下回って推移することが見込まれており、第3四半期(10?12月期)では北海道は前年比97.0%、都府県では同98.5%と見込まれている。
ただ、都府県では猛暑の影響からの回復も早く、北海道では1頭あたり乳量は増加していることや飼養管理の徹底も行われていることなどから、Jミルクではこの予測を上回る可能性もあるとしている。
【牛乳等生産量】
8月までの「牛乳」生産量は前年度と同程度かやや下回る水準で堅調に推移、「乳飲料」や「発酵乳」も前年度を上回って好調に推移している。
一方で「加工乳」と「成分調整牛乳」はこれまでと同じ傾向が続き、前年度を下回って推移している。
第3四半期の見込みは「牛乳」前年比98.8%、「牛乳類」同99.0%としたが、10月1日から乳価値上げにともなう牛乳類の出荷価格改定が実施されることから、需要動向を注視する必要があるという。
【用途別処理量】
生乳供給量が前年度を下回って推移していることから、乳製品向け処理量も7月以降、前年度を下回って推移している。
第3四半期の乳製品向け処理量見込みは前年比97.2%。ただし、生乳生産量の上ぶれや牛乳等向け処理量の下ぶれにより、この予測を上回る可能性もあるとしている。
【特定乳製品(脱脂粉乳・バター)の需給】
脱脂粉乳の生産量は前年度を下回って推移する見込み。一方、消費量は発酵乳や乳飲料の好調などのため、前年度を上回って推移する見込み。ただ、カレントアクセス輸入分として10月末までに5000t売り渡されるため、在庫量は第3四半期末(12月末)で4万1100tの見込み。これは3.5か月分にあたり前年比で102.1%。
バターの生産量は前年度を下回って推移、消費量も減少傾向が見込まれている。在庫量は12月までにカレントアクセス輸入分として3500tgが売り渡される予定となっていることから、12月末の在庫量は2万300tの見込み。これは3.2か月分にあたり、前年比106.7%。
【当面の課題と対応】
生乳生産は全国的に減少傾向となっているが、同時に国産牛乳乳製品需要の減少も見込まれ、生乳需給は縮小均衡で進みつつある。こうしたことからJミルクでは業界全体で国内生乳生産基盤の維持・拡大を図る取り組みが必要だとしている。
消費動向では、現在は出荷価格改定の影響は顕在化していないという。今後は市場での価格転嫁で消費減も懸念されるが、引き続き消費者に向けて格改定の背景にある飼料原料の高騰、円安などの要因について理解を広げることや、食生活にとっての牛乳乳製品の大切さを訴えるなど消費拡大の取り組みが重要になると強調している。
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