近畿大学発ディープテックスタートアップ 次世代の畜産業創出に挑戦 ビーフソムリエ設立2025年1月20日
近畿大学生物理工学部遺伝子工学科の松本和也教授は、肉用牛の将来の肉質等を採血検査によって可視化できる「AIビーフ技術」を開発。この技術を用いた枝肉形質予測診断サービスを提供する、株式会社ビーフソムリエが2024年12月に設立された。
近畿大学生物理工学部の松本研究室は、約20年間にわたり畜産業界の肉用牛に関する研究を実施。2022年に「AIビーフ技術」を世界で初めて開発した。この技術は、肥育中の牛からわずかな量の血液を採取し、血液中の135種類のタンパク質の情報をAIで分析することで、出荷時期のサシの状態や、枝肉の重量、口溶けや風味に影響するオレイン酸の含有量などを予測することができる。
その後、事業化に向けた取り組みが行われ、このほど、肉用牛の枝肉形質の生体予測診断プラットフォームを活用したサービスを提供する、株式会社ビーフソムリエを設立。社名は、印象的で分かりやすく、美味しい牛肉というイメージに繋げる目的で、「ビーフソムリエ」と名付けられた。
畜産飼料の海外依存が極めて高い日本では、近年の物価高や円安状態により肉用牛の生産コストが増加して牧場の経営を圧迫している。さらに、肉用牛特有の個体差(成長のばらつき)があるため、同じコストをかけた牛でも出荷時の単価が異なることも経営圧迫の要因となっている。
この成長のばらつきを均一化させるため、出荷の1年以上前の段階で将来の肥育状態を分子レベルで計測・可視化することができるAIビーフ技術を用いることで、肥育途中での肉質改善が可能となる。
同社は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の大学発新産業創出プログラム(START)プロジェクト推進型起業実証支援を経て、JSTのSTART事業にて事業プロモーターを務めた元インキュベイトファンド株式会社の仁木隆大氏が代表パートナーを務めるAbelia Capital(東京都港区)からシードラウンドにおける資金調達を実施した。
肉用牛を飼育する生産者等に向けて
出荷の1年以上前に将来の枝肉形質を調べることができるため、効率的な牛群管理に利用可能で、生産性の向上や経営の安定化に繋がる。また、ブランド牛の特徴をデータから可視化することができるため、他のブランド牛との差別化を図ることができ、品評会等に出品する個体の選択にも役立つ。
飼料会社においては、新しい飼料開発や開発した飼料の販売促進のためのデータとして活用が可能。さらに、獣医師においては、科学的根拠に基づいたコンサルティングが可能となる。
肉牛を取扱う店舗等に向けて
食肉卸では仕入れ予測からの仕入れ値や量を最適化でき、食品小売では肉のデータに基づいたブランドの創出やマーケティングにも利用可能。銀行など金融機関においては、子牛の融資モデルへの活用も考えられる。
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