JA自己改革 組合員の評価が鍵-全中、女性大会で強調2017年1月30日
1月24日から25日まで東京都内で開催された第62回JA全国女性大会は2日めの講演テーマをJA自己改革とし、JA全中の比嘉政浩専務とJA全農の香川法男参事が講演した。
全中の比嘉専務は昨年11月の規制改革推進会議が提出した「意見」をめぐる政治・政策決定のプロセスを改めて整理した。 規制改革推進会議の意見は総理に提出される重みを持つものだが、全農の生産資材仕入れ事業や、委託販売の廃止、さらにJAの信用事業譲渡などの極端な内容が提起され、政府・自民党内部からも「高いタマ」との発言が出た。
JAグループは自主・自治の組織である協同組合に対する不当な介入だとして11月21日にはJA組合長ら1500人が参加した集会を開いたが、その前日に菅官房長官からJA全中の奥野会長に対して面談の申し入れがあり、奥野会長はこれまで議論されてきた改革課題が提起されることは理解できるが、一切議論されていない唐突な意見は受け入れられないことを強く表明し、これに対し菅官房長官は「それはその通り」と理解を示したという。
その後の政府・与党の調整で全農改革の課題については極論は修正され、JAの信用事業譲渡などの意見も削除された。
こうした議論を振り返って比嘉専務は「農業者・組合員のための自己改革は実践する。しかし、これを損なう意見にははっきりとノーを言わなければならない」と参加者に強調した。
そのうえで1月の全中理事会で決定した「農協法5年後検討状況をふまえたJA自己改革の取り組み状況と今後のすすめ方について」を取り上げ説明した。
基本は「食と農を基軸として地域にねざした協同組合」として正・准組合員を対象とした総合事業の展開によるJA全国大会決議の着実な実践。 それによって組合員から「JAはよくやっており不可欠な組織だ。解体・弱体化することは反対である」との評価を得ることがもっとも重要で、そのためにはJAの実践を組合員にしっかり伝え理解を得ることも大切になる。
さらにJA改革は政府・与党からの提起が発端になってはいるものの、組合員の願いやニーズに応える自己改革に取り組むことは協同組合の使命であり、この機会に実践できなければ組織解体・弱体化を招くという危機感を全職員が共有することが急務だと比嘉専務は話し、JA女性組織のリーダーもこうした情勢認識のもとに、各JA役職員、とくに若手職員への危機感共有を働きかけてほしいなどと述べた。
こうした情勢認識のもとでJA自己改革を進めるため、全中は2月から全県を個別に訪問して協議をすすめる方針だ。 JA全農の香川法男参事は今回の農協改革の議論では民間の自主的組織に対して政府が改革を主導することや、実際の姿と異なる一方的な報道に対して疑問を持ちながらも、JA全農の事業が十分に知られていないことも課題だと指摘した。そのためJA全農の取り組みを多方面に知ってもらうことが重要だとして「全農リポート2016」を女性組織リーダーに配付して説明した。
全農は協同組合であること、その事業規模は世界の協同組合の農業・食品産業部門でトップであること、国産食材にこだわったレストランや直売所も運営していること、そのほかスポーツ支援や環境SR活動など社会貢献活動にも力を入れていることなどを紹介した。 また、政府からは外部人材の登用促進を求める声もあるが、香川参事はすでに経営管理委員20名中5名は員外委員であり、その比率は高いことなども指摘した。
(写真)JA全中の比嘉専務、JA全農の香川参事
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