担い手とJA職員の育成も課題-営農・経済フォーラム2017年9月5日
営農経済事業を軸にしたJA自己改革を加速化させようとJA全中が開いているJA営農・経済フォーラムが中日本地区JAを対象に9月4、5日に大阪市で開かれた。
同フォーラムは今年で3回目。JAの営農・経済担当常勤役員と幹部職員の研修会として開いている。
フォーラムではJA全中のJA支援部がJA営農・経済事業をめぐる情勢と今後の取り組み方向について報告した。
JA自己改革の取り組みについて28年度までは、優良事例は見られるものの「全体として「組合員を巻き込んだ具体的な行動につながっていない」と総括。今後の取り組み方向として自己改革の取り組み状況の点検と評価を行い、組合員との徹底した話し合い、取り組み内容とその成果を共有化することが重要だと指摘した。そうした組合員の参加・参画で自己改革を進めて、組合員から高く評価されることが重要になっており、平成31年4月にJA組合員1000万人にアンケートを実施するという取り組みも念頭に改革を加速化される必要がある。
最重要事項は「農業者の所得増大」と「農業生産の拡大」。そのため営農・経済事業の面では、販売事業を中心とした事業伸長とリスク管理の強化、JA・経済連・全農の機能分担の見直しを含めて、事業全体の再構築などが求められることが強調された。
事例報告ではJA花咲ふくいの小寺洋一専務が福井県の新ブランド米「いちほまれ」の生産振興とともに、麦・大豆の単収向上による所得向上の取り組み、メロン、大根などで達成した1億円園芸品目のさらなる拡大をめざす販路拡大策などを報告。販売事業の拡大を通じて担い手経営体を増やす取り組みを紹介した。 JA伊勢の前田政吉常務は同JAの営農振興基本方針について報告した。自己改革について「21世紀に貢献できるJAづくりへの変革のチャンス」だと捉えると同時に、基本的な考え方を▽多様な農業があってこそ地域農業が健全になる、▽独自でできることには限界。共感する仲間と「ともに」行動するなどに整理し、零細農家から集落営農・法人までの多様な人・組織づくり、適地適作の産物づくり、農家の相談ごとに行政や商工会、地域住民と連携する支援体制づくりなどの実践について話した。
JAおうみ冨士の木村義典専務は、販売収入拡大策として「もち麦」の生産拡大と冷凍米飯用として契約栽培する多収品種「やまだわら」などの生産と、耕種農家の農閑期所得の向上策としての近江キャベツの取り組みなどとあわせ、米フレコン出荷、低コスト肥料の開発、ICT活用などコスト低減の取り組みを紹介した。また、ファーマーズマーケットによる消費者との交流なども自己改革のなかに位置づけていることなども報告した。
基調講演は日本大学の川野克典教授と宮城大学の川村保教授が行った。川野氏は組合員のニーズに応えることは大事だが、「JAには期待を超える事業を示すことが求められている」と強調するとともに、改革の加速化を求めた。
川村教授は、JAは生産資材の購買事業から生産、農産物販売まで全工程に関わっており「バリューチェーンをコーディネートできる強み」を活かすべきなどと提起した。5日は分科会を行った。同フォーラムは13日に福岡市でも開く。
(写真)第3回JA営農・経済フォーラムの会場
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