JAの活動:新世紀JA研究会 課題別セミナー
【覚醒】早急に「総審」開催を2016年11月18日
11日に「規制改革推進会議」から農協改革に関する提言が行われました。政府・与党は月内の取りまとめに向けて調整を本格化するとしています。内容は、(1)全農の農産物委託販売の廃止と全量買い取り販売への転換、(2)全農購買事業の新組織への転換(いずれも1年以内)(3)信用事業を営むJAを3年後目途に半減、(4)准組合員の利用規制についての調査・研究を加速するというものです。
農業所得向上の大義名分の下、農業生産資材の引き下げを議論しそれに向けた努力をしようとした矢先の今回の提言です。この動きを見れば「推進会議」もしくは政府の農協改革の目的は、農業所得の向上に名を借りたJA解体であることが明らかで、農業生産資材引き下げの議論はほんのお飾りだったことが分かります。前回も表向きはJA全中が作るJAの自己改革案を踏まえて改革を行うということでしたが、自己改革案の提示を待たずに中央会監査の廃止などが次々に決められていきました。
今回も最初からシナリオは決まっており、資材価格問題を導入口として、内容の検討をしないまま、いきなり冒頭のような提言が行われました。政府が言う農協改革は、全農の販売・購買事業改革、信用事業の譲渡問題にしろ、いずれも農業振興・所得の向上が大義名分となっていますが、それはまやかしの問題設定であり、本当の目的は総合JAの解体にあることは明らかです。
もともと、今回の農協改革の議論は農業振興の責任をJAに一方的に押し付けるという誤った認識のもとに行われていますが、この問題が深刻なのは、JAという協同組合の力を借りて農業振興すべく、その育成に努めなければならない農水省がJA解体の議論を主導しているということです。こうした官僚の暴走を食い止めるのは政治の力ですが、自民党による安倍一極体制のもとではままならない情勢です。地域におけるJAの力量・役割を評価している与野党の政治勢力は大きなものがあり、その力の結集が焦眉の急となっています。
一方、JAグループの方にも反省すべき点が多くあります。今回の提言は、平成26年6月の政府による「規制改革実施計画」で示されたJA解体のグランドデザインの延長線上にあり、当然予想されたものでした。
こうした政府の動きに対するJAグループの対応はあまりにも危機意識の薄いものでした。JAグループの対応方策は、平成27年秋にJA全国大会で決議した「創造的自己改革」ですが、その内容は一言でいえば、従来路線の踏襲であり、農水省がその内容を全否定しているものです。
このため、JAと農水省との距離がますます遠くなると同時に、JAは今回提言されたJA改革の諸課題の議論を深めてきませんでした。JAグループのスローガンは「自己改革」一色であり、その内容は従来路線の徹底というものでした。いまJA全中が提案している方策は、今更ながらの組合員アンケート調査ですが、そのようなのんびりしたことでは、全てが終わってしまいます。
また、今回の「推進会議」の提案は、いずれJAが認めなければ実現などしない、勝手に言わせておけば良いという考えも安易に過ぎるでしょう。政府は、「信用事業譲渡」、「准組合員の事業利用規制」というJA解体のスペードのエースを握っているからです。
◆ ◇
新世紀JA研究会では、すでに「新総合JAビジョン確立への提言(平成28年7月)」をまとめ、これによりJA改革を進めるよう、JA全中・農水省へ理解を求めています。今回の「推進会議」の提言の内容は、オール農協の問題であり、改革の議論を事業連に丸投げすることは許されません。JA全中は速やかに「総合審議会」を開催し、新総合JAビジョン想定のもと、将来の抜本的な組織・事業運営のあり方を検討し、内外にその内容を明らかにして世論を動かして行くことが重要です。
その際、JAとしてやるべきこと、やってはいけないことを明確にする必要があります。検討の視点は、コアコンピタンス(他企業に負けない組織の中核能力)である協同組合の運営方法を守ること、そのもとでの合理性の追求・新機軸の展開です。つまるところJAの将来視点に立った、協同組合イノベーションを巻き起こして行くことが求められています。
重要な記事
最新の記事
-
【JA全農の若い力】家畜衛生研究所(1)養豚農家に寄り添い疾病を防ぐ クリニック北日本分室 菅沼彰大さん2025年9月16日
-
【石破首相退陣に思う】戦後80年の歴史認識 最後に示せ 社民党党首 福島みずほ参議院議員2025年9月16日
-
【今川直人・農協の核心】全中再興(6)2025年9月16日
-
国のプロパガンダで新米のスポット取引価格が反落?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年9月16日
-
准組合員問題にどう向き合うか 11月15日に農協研究会開催 参加者を募集2025年9月16日
-
ファミリーマートと共同開発「メイトー×ニッポンエール 大分産和梨」新発売 JA全農2025年9月16日
-
秋元真夏の「ゆるふわたいむ」北海道訓子府町で じゃがいもの新品種「ゆめいころ」を収穫 JAタウン2025年9月16日
-
山形県産「シャインマスカット」品評会出品商品を数量限定で予約販売 JAタウン2025年9月16日
-
世界初 土壌団粒単位の微生物シングルセルゲノム解析に成功 農研機構2025年9月16日
-
「令和7年8月6日からの低気圧と前線による大雨に伴う災害」農業経営収入保険の支払い期限を延長(適用地域追加)NOSAI全国連2025年9月16日
-
農薬出荷数量は1.3%増、農薬出荷金額は3.8%増 2025年農薬年度7月末出荷実績 クロップライフジャパン2025年9月16日
-
林業の人手不足と腰痛課題解消へ 香川西部森林組合がアシストスーツを導入 イノフィス2025年9月16日
-
農業支援でネイチャーポジティブ サステナブルの成長領域を学ぶウェビナー開催2025年9月16日
-
生活協同組合ユーコープの宅配で無印良品の商品を供給開始 良品計画2025年9月16日
-
九州・沖縄の酪農の魅力を体感「らくのうマルシェ2025」博多で開催2025年9月16日
-
「アフガニスタン地震緊急支援募金」全店舗と宅配サービスで実施 コープデリ2025年9月16日
-
小学生がトラクタ遠隔操縦を体験 北大と共同でスマート農業体験イベント開催へ クボタ2025年9月16日
-
不在時のオートロックも玄関前まで配達「スマート置き配」開始 パルシステム千葉2025年9月16日
-
全国のうまいもの大集合「日本全国ふるさとマルシェ」東京国際フォーラムで開催2025年9月16日
-
産地とスーパーをつなぐプラットフォーム「みらいマルシェ」10月から米の取引開始2025年9月16日