JAの活動:新世紀JA研究会 課題別セミナー
【JAグループの園芸、米穀事業】「売ってもらう」から「自ら売る」へ2017年5月19日
加工・業務の需要に対応
卸と連携し契約取引を拡大
JA全農園芸部次長金子千久氏
JA改革は、組合員の生産・販売に最も関わりの深いJA全農の事業改革が焦点になっています。新世紀JA研究会が4月21日に開いた第7回の危機突破・課題別セミナーは、直接販売等について意見交換しました。今回は全農の「青果物流通をとりまく情勢と園芸事業の今後の対応方向」の報告と、それについての討議を中心にまとめました。米穀事業については次回に報告します。
◎とりまく情勢
(1)世帯構成の変化
世帯構成は、(1)単身世帯が増加(全世帯に占める割合は平成2年の1300万世帯から平成27年には3200万世帯に増加)、(2)高齢化社会の進展、(3)共働き世帯数の増加と専業主婦世帯数の減少が見込まれます。
(2)消費の変化
世帯構成・ライフスタイルの変化や高齢化の進展等により、消費者の食生活は調理の簡便化による加工・調理食品の消費増や食の外部化(中食・外食)が進展しており、惣菜の市場規模は平成15年から平成27年の12年間で約2兆5000億円増加(伸び率138%)し、今後も増加が見込まれています。
(3)野菜消費の変化
野菜の用途別需要は、少し古い数字になりますが、平成22年で家計消費用が46%、加工・業務用が56%となっており、平成42年には加工・業務用が67%まで増加するものと見込まれます。また、サラダの購入量も増加傾向にあります。この影響もあって野菜消費量は近年回復傾向にあります。こうしたことから、加工・業務用需要への販売拡大がポイントとなります。
◎園芸事業改革
こうした情勢を踏まえ、本会として以下の通り取り組みます。
(1)生産面
ア.加工・業務向け需要への対応強化
加工・業務向け野菜の生産振興として、適性品種の選定や新技術の導入による収量向上対策および端境期対策として取り組むとともに、実需者ニーズを反映した契約栽培の取り組みを強化し、国産比率の向上と取り扱いの拡大を目指します。
イ.輸入量の多い家計消費向け野菜の生産振興
パプリカやブロッコリーなど輸入量の多い家庭消費向け生鮮野菜について、収量拡大等の生産技術の確立、生産振興を通じて、国産品のマーケットシェアの向上を図ります。
ウ.産地労働力支援への対応強化
産地労働力支援は、JAが主体的に取り組むものと考えていますが、JA単独での対応が難しい場合は、全農が対応支援に取り組みます。具体的に収穫支援では地元パートナー企業等との連携、選果・選別・包装加工では、JAやJA域を越えた広域選果・パッケージ施設の設置等で対応を強化します。
(2)流通面
ア.流通コストの削減
JA域を越えた集出荷加工施設の拡充や鉄コン・プラコンのリース、レンタルパレットの活用促進により、流通コストの削減に取り組みます。
イ.卸売市場との連携強化
卸売会社とのパートナー化をすすめ、量販店・生協等小売への予約相対取引に加え、加工・業務実需者向け販売を強化する卸売会社との連携を強化し、契約的取引の拡大に取り組みます。
(3)消費および加工・販売面
ア.直販事業の拡大
生産者手取りの確保、農業経営の安定に向け、これまでの「売ってもらう」から「自ら売る」に転換します。具体的には、JA全農青果センター㈱の持つコールドチェーン機能や包装加工機能・主要取引先の物流センター機能の強化、県域における直販施設の拡充等により、直販事業の拡大に取り組みます(平成30年度3300億円、平成36年度本会取り扱いの「過半」5500億円を目指します)。
イ.重点取引を明確にした販売強化
加工・業務用需要の増加に対応して、外食・中食向けサプライヤー企業との事業連携・出資やコンビニベンダー・食品加工会社向け一次加工施設の設置などにより、加工・実需者への販売強化に取り組みます。
ウ.国産青果物を原料とする加工食品の開発
カット・チルド・冷凍野菜・カットフルーツ・高付加価値商品(フリーズドライ、レンジアップ等)の商品開発に取り組みます。
エ.国産青果物の消費拡大
国産青果物のメリット訴求のためのイベントの実施や食品メーカー等とのコラボによるメニュー提案、若年層向け料理教室の開催など職員活動に取り組みます。
(写真)JA全農園芸部次長金子 千久氏
このページ「紙上セミナー」は新世紀JA研究会の責任で編集しています。
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