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JAの活動:農協時論

【農協時論】人材育成と業務効率化から組合員との対話拡大をめざして 大林 茂松・JAグリーン近江組合長2024年2月6日

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「農協時論」は新たな社会と日本農業を切り拓いていくため「いま何を考えなければならないのか」を、生産現場で働く方々や農協のトップの皆様に胸の内に滾る熱い想いを書いてもらっている。今回は滋賀県のJAグリーン近江代表理事組合長の大林茂松氏に寄稿してもらった。

処理(事務仕事)はデジタル、対応(組合員との対話)はアナログで

大林組合長JAグリーン近江
大林茂松組合長

先日ある講演会で6年後の管内A町の人口について、16歳から41歳の女性の人口が2020年の約半分になると、実に切羽詰まったびっくりする話を聞いた。若い女性の人口が半減するという事は、人口減少が加速度的に進んで行くことである。

現にすでにその影響が人材(働き手)不足として顕在化してきたが、ではJAとしてどのように対応すべきなのか。

当JAでは先ず人材の育成について「グリーンウェイ」(経営理念を実現するための役職員の行動指針)を定め実践している。

「グリーンウェイ」とは、役職員が価値観を合わせとるべき行動や考え方を共有し、目指すべき方向性を明確にし、それに向けて一丸となって取り組む。そのことが組合員・利用者から評価され喜ばれ褒められると、役職員も働き甲斐や生き甲斐を感じることとなり職場の活性化につながる。そうすれば、職場環境もますます改善され、JAもよりよい方向に進み、そして同時に役職員も人として社会人として成長し、組織や地域社会に役立つ人材へと育ち、最終的に経営理念の実現も可能になる。

人材の確保については全体的な賃上げによる初任給の引き上げや役員による学校訪問、グリーンウェイの実践による離職の防止、年間を通じた新規採用、キャリア採用、県内JA経験者の情報ネットワーク(提案中)など力を入れている。

一方で限られた人材で可能な現在業務のDXと支店のスマート店舗化を進めている。

営農、経済事業や一部の管理業務は自動化が大変遅れており、特に営農経済事業においては肥料高騰対策をはじめ各種補助金申請等、生産者の申請を支援し生産者からは喜ばれているが、その事務処理は大きな事務量となっている。

また、肥料等の予約注文や米の出荷契約などもほとんどが人手でやっており、職員の採用が困難で人員不足の中、本来の組合員との対話がますます少なくなっている。

そのうえ組合員の世代交代によりデジタルでのやり取りの要望もあり、これからはデジタル技術によってJAのビジネスモデルそのものを変革(トランスフォーメーション)しなければならない。

単に仕事をデジタル化するのではなくて、事務処理を正確化し時間を短縮することによって、パソコンの前から組合員の前へ、出向く体制の強化と組合員提案へ向ける。言い換えれば「処理はデジタル・対応はアナログ」を実現する。

つまり、狙いは抜本的な「事業改革」と大幅な「経営改善」の一石二鳥である。そのためには経営基盤の強化とデジタル化を活用した新しいサービスの提供を進めることが大切で、先ずは動くことそしてトライしすることとし、現在野菜の集出荷合理化ツール、組合員との対話ツール、購買予約ツールなど、農業バイトアプリ、業務自主点検ツール、米の出荷契約ツールなどにトライしている。

また、昨年より組合長の思いなどをYOUチューブで職員に発信し、グリーンウェイ活動にも活用している。

支店のスマート店舗化については、金融のデジタル化を見据えて小型軽量かつ少人数で効率的な店舗展開をしている。JAバンクアプリをはじめとしたネットバンキングの普及、キャッシュレス決裁やデジタル取引の拡大等から、金融取引を目的とした来店機会は益々少なくなるので、対面カウンターを減らし、逆にデジタルより対面が好まれる相談機能は充実し、将来的には金融店舗のキャッシュレス化やペーパーレス化にも対応できるようにしている。

そして協同組合活動の活性化が図れるように組合員や地域の利用者等が参加できる催事スペース「コミュニティースペース」を設け、キッチンも備え女性部の料理教室や食農教育、子ども食堂、会議場、災害時の避難場所など何にでも使えまた、大型モニターも備え、他JAとのオンライン交流なども可能な店舗でもある。ここでも「処理はデジタル・対応はアナログ」である。

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