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JAの活動:農協改革を乗り越えて -農業協同組合に生きる 明日への挑戦―

積極的に組合員の意思反映・後半【JAあいち知多(愛知県)】2017年11月10日

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大好評の農業体験付「定期貯金」 ・・・作目別・青壮年組織などの代表が集まって地域の農業に関する事項に意思反映するための「地域運営協議会」があるほか、女性部、年金友の会、そして准組合員だけの組織である代議員会もある。
 こうした組織を新生JA発足時に作った。
 前田隆代表理事組合長は「合併時に、これからのJAは地域の人たちとスクラムを組んでいくことが大事だと考えました。准組合員に地域農業の応援団になってもらうという発想はそのころから実践しています」と胸を張る。
 その考えは具体的な事業として実践している。平成19年から販売している農業体験付「定期貯金」がその象徴だ。JAに定期貯金をすれば契約者は家族ぐるみで農業体験ができるという独自商品である。JAはそのために専門の農場を整備し、農家も参加しながら作付けや栽培管理を行っている。利用者には好評で1回の参加者が500人にもなるという。

(写真)大好評の農業体験付「定期貯金」

 

 「地域の農産物を食べてもらうことはもちろん、農業への理解を深めてもらう事業も大事にしてきました」。
 JAの貯金量は現在、1兆1000億円を超えているが、合併から16年間で4300億円増えたことになる。組合員数の増加と合わせて考えると前田組合長の言う「地域住民とのスクラム」をしっかり組んできた結果だともいえる。

 

◆JA出資法人で苗を供給

(株)JAファームちたの苗供給事業がタマネギの植え付け機械化をあと押し(写真)(株)JAファームちたの苗供給事業がタマネギの植え付け機械化をあと押し

 

 知多半島の農産物は多彩だ。もちろん大府市や知多市はイチジクやブドウが盛ん、半田市では畜産農家ががんばっており、美浜町はブランドみかん、そして南知多町は花が主流など、地域による違いはある。気候や土地条件などをふまえた農家の選択の結果だ。
 「農家が自分の得意な分野を地域特性に合わせて選び、複合経営を生計を立てているのが知多半島。それが地域農業を守るということです」と前田組合長は話す。
 JAの主要販売品目のうち、肉牛の24億円は別格としても鉢物8億円、フキ7億円、タマネギ5億円など1億円以上の品目は15品目ほどある。
 こうした多彩な農業生産をJAが直接支えようと立ち上げたJA出資法人が(株)JAファームちたである。平成22年に設立、苗の生産事業を行う法人だ。
 それまで営農センターが担っていた水稲育苗も含め、JAエリア内で生産されている野菜とイチゴ、花の苗を生産し供給している。
 生産者の苗づくりの労力を省き、農業経営の分業化を推進、栽培に専念できる体制づくりをめざして設立した。苗生産センターは約1haの敷地に発芽室から苗育成温室を備え、今年度は900万本の供給を見込んでいる。10名以上のパートタイマーのほか、季節によっては60名ほどのアルバイトにも来てもらうなど地域に新たな雇用も生み出している。

発芽室から苗育成温室を備えた苗生産センター(写真)発芽室から苗育成温室を備えた苗生産センター

 

 この施設は高齢化が進む生産現場の育苗を肩代わりして下支えするだけではない。機械化による若い担い手の規模拡大にも貢献している。
 とくにキャベツに加え、タマネギで機械化を進めているが、そのための苗の供給が若い担い手の規模拡大意欲につながり、約6haの作付けを実現した。JAは機械化を普及するため苗の供給とともに、定植機のレンタル事業も行っている。
 苗生産センターでは高品質で病害に強い苗づくりのために接ぎ木苗なども行い、当然のことだが、出荷に向けて生育、品質チェックも行う。自家育苗では少なからず出るロスがなく、提供される良質な苗から効率良く農産物を生み出す。
 JA出資型法人は耕作放棄を防ぎ、地域の農地の担い手になることを目的として設立されることが多い。前田組合長は、同JAにとっても「いずれはそれも課題になるだろう」というが、これまでの取り組みでは苗の供給事業による生産者の負担軽減が規模拡大意欲につながり、若い担い手のなかからはさらに優良農地を求める動きも出てきているという。「農業生産の拡大」というJAグループの目標に貢献する事業だといえる。

 


◆協同組合を拠り所に

 販売事業では平成22年に新たに特販部を設立したことも事業改革の一環として注目される。
 「市場出荷があくまで基本だが、価値あるものを区別して量販店などに直接販売しようということです。販売業者に地域農業への認識を高めてもらうことや、小規模でも多品目を生産している多様な担い手の所得向上も目的です」と前田組合長は話す。
 28年度は管内の大手量販店2店に地場産コーナーの設置を実現したほか、学校給食への地元農産物の取り扱い拡大も図った。
 そのほか市場出荷では規格外とされてしまう野菜をカット野菜として加工したり、弁当の惣菜として活用するなど、JAは加工事業にも力を入れている。
 管内には大型直売施設「げんきの郷」をはじめとして12か所の直売施設がある。出荷者登録をすれば生産者は自分で販売先を選択できる。
 「ただし、直売所は力の結集のもと。組合員であるという帰属意識を持ってほしいと常に強調している」と前田組合長は話す。
 青年部とは定期的に意見交換しているが、そこで若い世代に伝えているのは「農業は一人ではできない。小さい力を集めていこうというのがわれわれの組織。仲間意識を持っていこう」だという。
 准組合員の参加の仕組みや生産・販売事業改革にしても「農協改革」が叫ばれる以前から地域と組合員に向き合うなかですでに着手してきた。
 前田組合長が強調するのは、「協同組合」とは「みんなのために何かをしていこうと、みんなが出資した組織である」だ。「株式会社とはまったく違う。利益が出なくなったらやめるという考えはない。地域のみなさんの要望を受けて事業を作り出し利便性を高める工夫をして使ってもらう。撤退などないのがJAだし、知多半島から離れることもできないのが私たちの組織です」。
 地域から「JAが必要だ」と言われる成果をめざし続ける。

 

◆元気な人が元気なままで

「友遊苑」のデイサービスの光景。右は細谷施設長

(写真)「友遊苑」のデイサービスの光景。右は細谷施設長

 

 地域に根ざし総合事業を展開するJA。期待されている事業のひとつの高齢者福祉事業がある。JAあいち知多は管内に5施設ある。そのひとつ知多市の「友遊苑」の細谷貴子施設長によると、「最近は元気な人が元気なまま過ごせるようデイサービスを利用するようになってきました」と話す。外出するだけでも機能維持になり、ここは交流の場にもなっているから「とりあえず行こうかな」という高齢者が多い。それにともなって職員も過剰に面倒を見ないよう、自分でできることは自分でやってもらうという意識に変えなければならないという。
 JAの事業所であることの特徴は5施設全体で連携して利用者の旅行を企画したり、支店まつりへの参加、直売所からの加工品の提供などJAならではのサービスしたりできるという。JAの本部で毎年、介護士による高齢者介護についての報告会も開き、役職員が出席する。「地域の高齢者福祉でどんな問題があるのか、JAは役職員で共有しているのが強み」と前田組合長は話す。

 

JAあいち知多の概要

●組合員数:7万5286人
(うち准組合員5万8845人)
●職員数:1050人
●販売品取扱高:106.8億円
●購買品供給高:76.4億円
●貯金残高:1兆1181.9億円
●長期共済保有高:2兆727.2億円
(平成28年度)

 

※この記事の前半部分は、積極的に組合員の意思反映・前半【JAあいち知多(愛知県)】でお読み下さい。

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