JAの活動:新世紀JA研究会第1回全国特別セミナー 国民の食を守る役割を明確に
【農林中金・河本紳常務】JAは「総合事業」選択 農林中金は農業振興を支援2019年8月20日
信用事業運営体制のあり方」検討の取り組みから
JAバンクでは「信用事業運営体制のあり方」検討(以下、「あり方検討」)に取り組み、2019年5月までにすべてのJAで今後の信用事業運営体制のあり方について組織決定を行っていただきました。
初めに「あり方検討」に取り組んだ経緯を少し振り返ります。2014年4月に農林水産業・地域の活力創造プランが改訂され、「単位農協のあり方」として「単位農協は農産物の有利販売と生産資材の有利調達に最重点を置いて事業運営を行う必要」があり、「農林中金・信連・全共連の協力を得て、単位農協の経営における金融事業の負担やリスクを極力軽くし、人的資源等を経済事業にシフトできるようにする」とされ、このために代理店スキームを含む信用事業譲渡の活用を積極的に進めると明記されました。
◆各JAで事業戦略を
その傍ら、組合員ニーズは時代とともに変化し、信用事業について言えばマイナス金利の継続などJAを取り巻く環境が大きく変化するなかで、この変化に応じて各JAが農業や地域への貢献に向けて、今後どのように取り組んでいくのかをあらためてわれわれ自らが検討する必要があると考えました。
このような状況を踏まえて、信用事業を含む各事業の今後のあり方を検討のうえ事業変革に取り組む必要があるとの課題認識のもと、各JAにおける経営基盤強化に向けた検討のなかで、今後の「信用事業運営体制のあり方」の検討を行い、全てのJAで2019年5月までに組織決定を行うこととしたものです。
各JAにおいては収支シミュレーションを行い将来の事業見通しを確認いただき、農業・地域の成長支援策や事業変革に向けた具体策など、今後の事業見通しを踏まえた事業戦略を検討いだきました。
そのうえで、合併や信用事業譲渡の活用などの組織再編の要否も併せて検討していただき、2019年5月までに各JAにおいて今後の「信用事業運営体制のあり方」を理事会等にて組織決定いただいたところです。
各JAの最終的な組織決定の結果は現在最終集計中ですが、約610あるJAのうち太宗のJAが「単独で総合事業を継続」もしくは「合併により総合事業を継続」を組織決定されており、多くのJAが今後も「総合事業を継続する」という選択をしたという結果となる見通しです。
2019年3月に「あり方検討」の結果の見通しを各JAに確認させていただき、そのなかで総合事業継続の理由を聞いたところ、多くのJAが「組合員・利用者ニーズへの対応」「営農経済事業における一層の機能発揮」を挙げています。
また、現在集計中の最終結果のとりまとめでは、「総合事業性の発揮」「経営基盤の強化」に向けて今後各JAで取り組むと聞いていますが、「総合事業性の発揮」については、「事業間で連携した訪問活動の展開」「信用・営農経済事業との情報連携の強化」「管内農業の実情に応じた農業関連資金の提供」に取り組むとの回答を多くのJAからいただいています。
また、「経営基盤の強化」に向けては、多くのJAで「あり方検討」の結果を中期経営計画に反映し、その各種施策に取組みつつ「農業・地域の成長支援」や「貸出の強化」に特に注力していくとの回答をいただいております。
◆課題残る信用事業
「あり方検討」は検討から実践へと移り、今後は各JAにおける取り組みに対して、具体的な成果や評価が問われるステージへと移ります。規制改革推進会議は2019年6月6日に答申を決定し、同21日に規制改革実施計画を閣議決定していますが、その答申には「令和元年5月末までの農協改革集中推進期間における自己改革が進められ、一定の進捗が見られた」とし、各JAの自己改革の進捗に評価する一方、「信用事業の健全な持続性」については「課題が残されている」と明記されています。
「あり方検討」の結果として多くのJAが総合事業継続を選択したという結果となる見通しですが、今後は信用事業運営継続に伴うリスクや負荷へしっかりと対応すること、そのうえで「農業金融機能の一層の強化」や「営農経済事業など他事業とも連携した取り組みの強化」等の展開を通して、総合事業ならではのサービスを組合員や利用者へ提供することで管内農業や地域の発展に貢献していくことが必要と考えています。
JAバンク中期戦略では、「農業・地域の成長支援」「貸出の強化」「ライフプランサポートの実践」「組合員・利用者接点の再構築」を4本の柱として取り組んでいくこととしています。各JAでは、「あり方検討」を通して検討した事業変革に向けた具体策等の実践により管内農業や地域の発展への貢献に向けて取り組んでいただくとともに、当金庫としても各JAの取り組みを全力で手伝いをさせていただきたいと考えています。
重要な記事
最新の記事
-
【JA全農の若い力】家畜衛生研究所(1)養豚農家に寄り添い疾病を防ぐ クリニック北日本分室 菅沼彰大さん2025年9月16日
-
【石破首相退陣に思う】戦後80年の歴史認識 最後に示せ 社民党党首 福島みずほ参議院議員2025年9月16日
-
【今川直人・農協の核心】全中再興(6)2025年9月16日
-
国のプロパガンダで新米のスポット取引価格が反落?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年9月16日
-
准組合員問題にどう向き合うか 11月15日に農協研究会開催 参加者を募集2025年9月16日
-
ファミリーマートと共同開発「メイトー×ニッポンエール 大分産和梨」新発売 JA全農2025年9月16日
-
「JA共済アプリ」が国際的デザイン賞「Red Dot Design Award2025」受賞 国内の共済団体・保険会社として初 JA共済連2025年9月16日
-
秋元真夏の「ゆるふわたいむ」北海道訓子府町で じゃがいもの新品種「ゆめいころ」を収穫 JAタウン2025年9月16日
-
山形県産「シャインマスカット」品評会出品商品を数量限定で予約販売 JAタウン2025年9月16日
-
公式キャラ「トゥンクトゥンク」が大阪万博「ミャクミャク」と初コラボ商品 国際園芸博覧会協会2025年9月16日
-
世界初 土壌団粒単位の微生物シングルセルゲノム解析に成功 農研機構2025年9月16日
-
「令和7年8月6日からの低気圧と前線による大雨に伴う災害」農業経営収入保険の支払い期限を延長(適用地域追加)NOSAI全国連2025年9月16日
-
農薬出荷数量は1.3%増、農薬出荷金額は3.8%増 2025年農薬年度7月末出荷実績 クロップライフジャパン2025年9月16日
-
林業の人手不足と腰痛課題解消へ 香川西部森林組合がアシストスーツを導入 イノフィス2025年9月16日
-
農業支援でネイチャーポジティブ サステナブルの成長領域を学ぶウェビナー開催2025年9月16日
-
生活協同組合ユーコープの宅配で無印良品の商品を供給開始 良品計画2025年9月16日
-
九州・沖縄の酪農の魅力を体感「らくのうマルシェ2025」博多で開催2025年9月16日
-
「アフガニスタン地震緊急支援募金」全店舗と宅配サービスで実施 コープデリ2025年9月16日
-
小学生がトラクタ遠隔操縦を体験 北大と共同でスマート農業体験イベント開催へ クボタ2025年9月16日
-
不在時のオートロックも玄関前まで配達「スマート置き配」開始 パルシステム千葉2025年9月16日